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第3章
第172話 リリス14歳 巡り会う運命2
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『私の人生は18歳の夏に突然終わったの。踏切に迷い込んだ男の子を助けようとして死んじゃったんだ。あっ、踏切って分からないよね。うーんと、要するに危ない目にあってた男の子を助けようとして死んじゃったんだ。それで貴女に生まれ変わったわけよ』
「何で貴女・・ミズキは私に生まれ変わったの?それにミズキの魂が私の中に残ってる理由も分かる?」
『そうだよね。そこ気になっちゃうよね・・・・私には親友がいたんだ。サクラ・・道永サクラ。それがその子の名前。サクラとは幼い頃から友達でね。リリスとアリーナみたいな関係だったんだ。
サクラと私は本を読むのが好きだった。中でもハマってたのが、”婚約破棄された悪役令嬢の雪辱”ってやつ。この世界みたいに貴族とか魔法、魔物なんかが当たり前の世界のお話。お気に入りだったこの本に出てくるのが悪役令嬢のナタリー・アルバート。私もサクラもこのナタリーが大好きだったんだ。悪役令嬢なんだけど、ポンコツ王子の浮気のせいで国外追放されたりとか、まぁ色々あるわけよ』
「あっ、そのあたりは夢で見てるわ。ミズキが、もうひとりの女の子とその話をしてたから。ミズキがお喋りしてた相手がサクラさんなのね、きっと・・」
『うん。サクラとはよく小説の話で盛り上がってたからね。そう言えば、アルミーダから貰った夢見のキャンディでリリスが見た夢。あれね、私のお気に入りの小説の話だから、リリスにとっては悪夢でも、私にとってはいい夢だったんだよね。私の魂が関係してあの夢を見たんだと思う。なんかごめんね。
それでそのナタリーは、どんな逆境に立たされても挫けない強さを持ってるの。そこが彼女の魅力なの。ある時なんてナタリーが婚約者のアーサーに朝・・・・あっ、話が脱線するとこだった。
とっ、とにかく私たちは悪役だろうが何だろうがナタリーが大好きだったの』
自分の事ではないとはいえ自分のモデル?ともいうべき小説の登場人物を褒められたり、大好きと言われてリリスはムズムズした。
「なんか・・自分が褒められてるようで照れくさいわ」
『あははっ、そうだよねぇ。とにかく私は事故で死んじゃったんだ。まだ18だよ。これから先、結婚して子供も産んで好きな人とおばあちゃんになるまで生きていけると思ってたのにさ。未練たらたらだったわけよ、人生に。どうしても”まだ生きたいっ!”って想いが強くて、生まれ変わったの。で、どうせ生まれ変わるなら大好きだった悪役令嬢に!っていうことで貴女に生まれ変わっちゃったの。おまけに図々しくも魂まで残っちゃったわけ。
要するに私、仙道ミズキの生への執着が強すぎたのが全ての原因』
「そうだったんだ。そんな簡単に思い通りの生まれ変わりができるのも驚きだけど、ミズキだからできたのかもね・・・貴女がそうするほど、18年の人生が楽しかったってことね。事故なんて辛かったよね」
『うん・・楽しかったよ。でも後悔はないんだ。あの男の子を助けたこと・・でも後悔はないけど、心残りはある・・・サクラは私が・・・・やめよう・・あー、湿っぽくなっちゃったねぇ。ごめんごめん』
ミズキは言葉を途中でとめ、想いを振り払うように頭を振った。
「ううん・・ねぇ、もしかしてこの世界もその小説そのものだったりするの?」
『ううん、違う違う!王国の名前も違うし、ほとんどみんなオリジナルだよ。ナタリーは見た目だけそっくりだけど、実際はリリス・・貴女だし・・あっ、でも悪役令嬢の家がアルバート家っていうのは一緒だ!それから 王子のアーサーは名前は同じだけど、見た目も性格もぜんっぜん違うから。こっちのアーサーの方が数万倍いい男だよ!』
拳を握りしめ力説するミズキに、リリスは笑いを漏らす。
『あっ、でもやっぱりいちばんのいい男はヘンリーだよ。あんなイケメンに愛されてリリスは幸せだよ』
ヘンリーの名前を聞いた途端、リリスの表情が固くなる。顔は青ざめ唇を噛みしめ、俯いた。心配したミズキが肩に手を置き、リリスの顔を覗き込む。
『リリス・・大丈夫?』
「私はどうしたらいいの。大事な人たちを失ったわ。大好きな人を・・・・・頑張ったのに、守れなかった・・・この弱さのせい」
そう言って手のひらを見つめるリリス。その手をそっと優しく取り、ミズキは言った。
『大丈夫だよ。リリスは失ってなんかないよ。みんな生きてるから・・』
「何で貴女・・ミズキは私に生まれ変わったの?それにミズキの魂が私の中に残ってる理由も分かる?」
『そうだよね。そこ気になっちゃうよね・・・・私には親友がいたんだ。サクラ・・道永サクラ。それがその子の名前。サクラとは幼い頃から友達でね。リリスとアリーナみたいな関係だったんだ。
サクラと私は本を読むのが好きだった。中でもハマってたのが、”婚約破棄された悪役令嬢の雪辱”ってやつ。この世界みたいに貴族とか魔法、魔物なんかが当たり前の世界のお話。お気に入りだったこの本に出てくるのが悪役令嬢のナタリー・アルバート。私もサクラもこのナタリーが大好きだったんだ。悪役令嬢なんだけど、ポンコツ王子の浮気のせいで国外追放されたりとか、まぁ色々あるわけよ』
「あっ、そのあたりは夢で見てるわ。ミズキが、もうひとりの女の子とその話をしてたから。ミズキがお喋りしてた相手がサクラさんなのね、きっと・・」
『うん。サクラとはよく小説の話で盛り上がってたからね。そう言えば、アルミーダから貰った夢見のキャンディでリリスが見た夢。あれね、私のお気に入りの小説の話だから、リリスにとっては悪夢でも、私にとってはいい夢だったんだよね。私の魂が関係してあの夢を見たんだと思う。なんかごめんね。
それでそのナタリーは、どんな逆境に立たされても挫けない強さを持ってるの。そこが彼女の魅力なの。ある時なんてナタリーが婚約者のアーサーに朝・・・・あっ、話が脱線するとこだった。
とっ、とにかく私たちは悪役だろうが何だろうがナタリーが大好きだったの』
自分の事ではないとはいえ自分のモデル?ともいうべき小説の登場人物を褒められたり、大好きと言われてリリスはムズムズした。
「なんか・・自分が褒められてるようで照れくさいわ」
『あははっ、そうだよねぇ。とにかく私は事故で死んじゃったんだ。まだ18だよ。これから先、結婚して子供も産んで好きな人とおばあちゃんになるまで生きていけると思ってたのにさ。未練たらたらだったわけよ、人生に。どうしても”まだ生きたいっ!”って想いが強くて、生まれ変わったの。で、どうせ生まれ変わるなら大好きだった悪役令嬢に!っていうことで貴女に生まれ変わっちゃったの。おまけに図々しくも魂まで残っちゃったわけ。
要するに私、仙道ミズキの生への執着が強すぎたのが全ての原因』
「そうだったんだ。そんな簡単に思い通りの生まれ変わりができるのも驚きだけど、ミズキだからできたのかもね・・・貴女がそうするほど、18年の人生が楽しかったってことね。事故なんて辛かったよね」
『うん・・楽しかったよ。でも後悔はないんだ。あの男の子を助けたこと・・でも後悔はないけど、心残りはある・・・サクラは私が・・・・やめよう・・あー、湿っぽくなっちゃったねぇ。ごめんごめん』
ミズキは言葉を途中でとめ、想いを振り払うように頭を振った。
「ううん・・ねぇ、もしかしてこの世界もその小説そのものだったりするの?」
『ううん、違う違う!王国の名前も違うし、ほとんどみんなオリジナルだよ。ナタリーは見た目だけそっくりだけど、実際はリリス・・貴女だし・・あっ、でも悪役令嬢の家がアルバート家っていうのは一緒だ!それから 王子のアーサーは名前は同じだけど、見た目も性格もぜんっぜん違うから。こっちのアーサーの方が数万倍いい男だよ!』
拳を握りしめ力説するミズキに、リリスは笑いを漏らす。
『あっ、でもやっぱりいちばんのいい男はヘンリーだよ。あんなイケメンに愛されてリリスは幸せだよ』
ヘンリーの名前を聞いた途端、リリスの表情が固くなる。顔は青ざめ唇を噛みしめ、俯いた。心配したミズキが肩に手を置き、リリスの顔を覗き込む。
『リリス・・大丈夫?』
「私はどうしたらいいの。大事な人たちを失ったわ。大好きな人を・・・・・頑張ったのに、守れなかった・・・この弱さのせい」
そう言って手のひらを見つめるリリス。その手をそっと優しく取り、ミズキは言った。
『大丈夫だよ。リリスは失ってなんかないよ。みんな生きてるから・・』
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