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11巻
11-2
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飛空機は盗まれないように鍵をかけて、とりあえず街道沿いの茂みの中に隠した。
そこから十分ほどかけて歩いて到着したカンスさんたちの故郷は、アクリの身長くらいしかない小さな石垣に囲まれた小さな村だった。
行商人さんも月に一度しか訪れないらしい。村の周りにある小麦畑で採れる小麦は、税を納めるために育てているもので、村人の主食は芋類だという。
その小麦畑の手入れをしていた人たちがこっちに気付いたようで、立ち上がった。
「おぉ! ダイのところのカンスにシーナちゃんじゃないか! なんだ、帰ってきたのか?」
「あら、可愛い子二人も連れて。もしかしてどっちかカンスのお嫁さん?」
「ならそっちの男の子はシーナちゃんのお婿さんかっ!?」
みんなが僕たちを見て、そんな憶測を述べた。
ファントムの二人もいるはずだけど、完全に気配を消して隠れているので誰も気付かない。僕もどこにいるかわからない。
「ちげぇよ! この人たちは俺が働いている工房の同僚たちだ!」
カンスさんが怒鳴りつけたが、カンスさんの知り合いの農家の人は不思議そうに言う。
「ダンゾウは一緒じゃねぇのか? もしかして何かあったのか?」
「……ちょっと理由があってな。でも、元気でやってるよ」
カンスさんは一瞬だけ言葉を詰まらせたが、皆さんに心配させないように大きな声で言った。
「元気でいたらそれでいいや。早いとこダイさんに顔を見せてやれ」
「いや、まずは――」
「先にカンスさんの家に行きましょう」
カンスさんはダンゾウさんの家に行こうと言おうとしてたみたいだけど、僕はそう提案した。
ユーリシアさんもリーゼさんも頷いてくれた。
「ありがとう、クルト」
シーナさんが僕に言うけれど、お礼を言われるようなことじゃないと思う。
いまから急いだところでダンゾウさんたちに追いつくのは無理だし、ミミコさんの言う通り、ミレさんが危険な目に遭っている可能性は低いから、慌てても仕方がない。
それに僕もお世話になっている二人の両親に挨拶をしたいしね。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
私――ユーリシアはクルトたちとともに、カンスに案内されて村に入った。
長閑な村だった。
初めてアクリと一緒に出掛けた養豚場のある村を思い出す。
あの予言者かぶれの爺さん、元気にしているだろうか?
勇者として魔王を退治しろって言われて、何バカなことをって思ったけれど、本当に魔神王を倒しちゃったんだよな。
将来、クルトが工房主を引退したらこういう田舎に引っ込んで二人でのんびりと暮らすのも悪くないな。
と、クルトの淹れた紅茶を庭でのんびりと飲んでいるところを想像していたら――
「ユーリさん、二人でのんびり暮らしたいなんて思っていませんわよね? クルト様の妻の座はあなただけではありませんよ」
「久々だが、心を読むな、リーゼ」
「ユーリさんがひどい妄想をするからです」
想像の中くらい好きにさせてほしい。
ふと見回せば、村の中央では子どもが井戸で水を汲んでいる。
かなり大変そうだ。
手伝いに――
「ちょっと僕、手伝ってきます! すぐに終わりますから」
クルトが真っ先に手伝いにいった。
「さすがクルト様です」
「本当だな。困っている人は放っておけない」
そのおかげで事件に巻き込まれることも何度もあったが――
「お待たせしました」
「クルト、おかえ……り。お前、何をしたんだ?」
「え? 何って、手押しポンプを作ってきました」
一瞬の間に、井戸に見慣れない装置が設置されていた。
子どもが嬉しそうにポンプのレバーを押すと、水が出てくる。
どうやら、桶一杯分の水が即座に出てくるという便利な仕組みになっているみたいだ。
工房にある、レバーを捻るだけで水が出続ける魔道具よりはまだ常識のある装置か。
「……村のみんなも喜ぶよ。ありがとう、クルト」
カンスが引きつった笑みを浮かべて言った。
あまり長居したら、この村がクルトによってとんでもない村に変わってしまいそうだな。
カンスたちの家は村の奥のほうにあった。
家の前には大きく白い犬がいて、こちらを見るなり走ってくる。
ものすごい勢いだ。
久しぶりに帰った主人を出迎えている――というのとは違う気がするけど。
「忘れてた! 気を付けてください! あいつ、綺麗な女性を見ると股に顔を突っ込む癖があるので」
「えっ!?」
カンスがそう言った時、私とリーゼは思わず手でガードする。
綺麗な女性って――ま、まぁ、そう思われるのは恥ずかしいが、しかし――
「わっ!?」
声を上げたのはクルトだった。
犬はクルトの股に顔を突っ込んでいる。
「や、やめてください」
「ペス、離れなさい! そもそもクルトは男の子よっ! ちょ、力強い」
「離れろ、ペス!」
シーナとカンスが力ずくで犬をクルトから引き剥がす。
……なんだろう、女として負けた気がする。
「あの犬……私でもクルト様の大切な部分に顔をうずめたことがないというのに――」
そしてリーゼは犬に嫉妬するな。
私だってそんな経験はない。
「どうしたんだいペス……そんなに興奮して綺麗なお嬢さんでも来たの? あら? カンスにシーナ、帰ってたのかい?」
「「ただいま、母さん」」
玄関から出てきたのは、どちらかといえばカンス似の、気の強そうなご婦人だった。
この人が二人の母親らしい。
「まったく、帰るなら連絡入れるように前に言ってあっただろ? そちらの方たちは?」
「紹介するよ。工房でお世話になっているユーリシアさんとリーゼさん」
「それと彼がクルトくんだよ」
カンスとシーナが私たちを紹介する。
「はじめまして、ユーリシアです」
「私はリーゼです。クルト様の婚約者です」
「私もクルトの婚約者だ」
リーゼが要らぬ肩書きを追加したせいで、私も思わず対抗してしまった。
「クルトと申します。カンスさんとシーナさんにはとてもお世話になっています」
「へぇ、あんたたちの同僚にしてはいい子じゃないか。私はマドナだよ。中に入って待ってな。いま父ちゃんを呼んでくるから」
そう言って、カンスの母親のマドナさんは家の裏手に向かった。
……あれって――
「すみません、あんな母親で」
「いいえ、とても素敵なお母様ですよ」
「そうだな。ただ、本当に農家なのか?」
私は思わずそう呟く。
歩き方だけでもわかる。
ただ者ではない。
もしかしたら私が最初に会った頃のカンスと同じか、それ以上に強いんじゃないか?
「言っていませんでしたね。うちの両親は元々、夫婦で冒険者をしていたんです」
「私が生まれるまでは兄さんをおぶってオークとか狩ってたみたい」
カンスとシーナが教えてくれた。
子どもを背負ってオーク狩りって、なんともパワフルな。
さすがに首が据わるまでは大人しくしていたと思うが、それでも凄い。
……あれ? でも私もアクリと一緒に魔族と戦ったり悪魔と戦ったりしているから、あまり他人のことを言えないんじゃないか?
反省しよう。
「カンス、シーナ、帰ったか」
しばらくしてマドナさんと一緒に帰ってきたカンスの父親は、カンスやマドナさんに輪をかけて大きい、筋肉質の身体の持ち主だった。
マドナさんよりも、いや、いまのカンスよりも強いだろう。
こうして二人を見ると、細身のシーナがよく生まれたなって思う。
「客人もよく来た、俺はダイだ。何もない村だが、歓迎する」
そんな言葉に私たちも挨拶を返していると、カンスがとんでもないことを言う。
「親父、少し痩せたんじゃないか?」
これで痩せてるのかっ!?
「ああ。最近ジャガイモが不作でな。土がよくないのかもしれない。それで、どうした? 単純に帰郷ってだけなら、ダンゾウがいないのはおかしい。何があった?」
「……ちょっとな。詳しくは話せないんだが、ダンゾウが行方不明になって追いかける必要がある。その手がかりを探しにきたんだ」
「そうか――詳しく話せないなら聞くつもりはない。ちょうどよかった、あいつの家は俺が管理している」
そう言うとダイさんは棚の中からシンプルな鍵を取り出してカンスに投げた。
鍵がかかっていたのか。
これは助かった。
クルトならどんな鍵でも針金一本で開錠できると思うが、こいつのことだから「誰かが管理をしているのなら、勝手に入るのはダメですよね? 鍵を借りに行きましょう」って鍵を探して回る必要があった。
「じゃあ、ちょっと見に行ってくる」
「シーナ、案内してやれ」
ダイさんはそう言うと、カンスの腕を掴んだ。
「ちょうどいいからカンスは俺と付き合え。久しぶりにスパーリングできる相手が欲しかったんだ」
「え? ちょ、待て、親父。俺は――」
「ごたごた言うな。久しぶりに会ったんだ、親孝行くらいしていけ」
カンスは抵抗もむなしく、ダイさんに引きずられていった。
「シーナさん!? カンスさん、大丈夫ですか?」
こんな親子の会話、きっと見たことがないのだろう。クルトがおろおろしている。
私も少し引いている。
「大丈夫よ。父さんなら骨を折らずに相手を無力化することくらいできるから。それよりダンゾウの家に行きましょ」
シーナは日常茶飯事だと言わんばかりに、私たちをダンゾウの家に案内してくれた。
本当に大丈夫なのか?
ダンゾウの家は川辺にあった。
穏やかな流れの澄んだ川で、小魚もよく見える。
私たちの工房があるヴァルハにも川はあるけど、あそこの漁業権は(川なのに)海運ギルドが独占しているから釣りができないんだよな。
水車が併設された、脱穀のための作業小屋もある。
「立派な水車ですわね」
「この水車はダンゾウのお父さんが作って管理をしていたの。小麦が豊作の年とかは、ここで脱穀した小麦でパンを焼いてお祭り騒ぎだったなぁ」
シーナが懐かしそうに言う。
「私たちが村から出た後は、みんなで持ちまわって管理していたみたい――と、鍵が開いたわよ」
シーナは鍵を外して中に入る。
かなり埃がたまっていて、長い間誰も使っていないのが窺えた。
「結構本があるな」
私は棚の本を一冊手に取った。
ヤマトの国の冒険譚か。
それにしても、本は決して安いものではない。特にこういう田舎だと手に入りにくいはずだが……
そんな私の疑問に気付いたのか、シーナが口を開く。
「ダンゾウのお父さんが読書家だったんだって。それでダンゾウもその本を使って文字を覚えて。それて、村を出るまでは私と兄さんがその本を使って文字を教えてもらったの」
「なるほど、この本は文字を覚えやすいように工夫されていますね。一冊の中に日常に必要な言葉が全て入っています」
クルトが本を横から見て言う。
これってそういう本だったの?
ただ――
「クルト、壁の向こうとか床の下に隠し部屋はないよな?」
「はい、どちらも何もありません」
クルトが言うのなら隠し部屋はないのだろう。
この部屋にもダンゾウの行き先の手がかりになるものはなさそうだし、こりゃハズレかな。
元々期待はしていなかったが。
「何もなさそうですわね。一応本だけは回収していきましょうか」
「そうですね。あとは屋根裏部屋を探しましょう」
「「「え?」」」
屋根裏部屋?
天井を見上げても、普通の家の天井だ。
不思議な場所は見つからないが――クルトが鞄の中からロープの先端に鉤爪のようなものをつけ、くるくると回して天井に向かって投げた。
鉤爪が天井の一部に引っかかると、天板が外れ、縄梯子が落ちてくる。
全然気付かなかった。
梯子を上がっていくと、本当に部屋になっていた。
「クルト様、なぜおわかりになられたのですか?」
「家の形状ですね。外からパッと見た感じだとわかりにくくなっていますが、煙突のようなものがあるんです。でも、天井にはその穴がなかったので、きっと二階があるんだろうなって。それで、何回も外している感じの天板が見えたので、そこだろうって目星が付きました」
屋根に煙突?
そんなの見えたか? って目線を送ると、リーゼもシーナも首を横に振る。
やっぱりクルトの観察力は凄いな。
それなのに、なんで自分やハスト村が凄いってことに気付かないのか……まぁ、気付いたら意識と丸一日分の記憶を失うので、気付かれても困るが。
ともかく、いまはこの屋根裏部屋だ。
「何か燃やしたあとがありますわね」
「紙のようだな。もしかしたら重要な書類だったのかもしれないが――」
「だったら、元に戻してみましょう」
クルトはそう言って灰を集めて、何か薬液のようなものを垂らす。あれやこれやしていると、灰が元の紙に戻っていった。
うん、このくらいだと動じなくなってきたな。
「クルト、これって再生できてるの? 全然読めないんだけど」
再生した細長い紙には斜めに文字が書かれているが、シーナの言う通り、文章になっていなかった。
何かの暗号だろうか?
たとえば、一文字ずらすとか、二つの文字で一つの意味になるとか。
「きっとこの棒を使うんだと思います」
クルトはそう言ってどこからか棒を取り出した。
「って、本当にどこから取り出したんだ?」
「はい、薪に使われていた棒を元に戻しました」
「そっか。元に戻しちゃったか」
紙を元に戻せるんだから、薪くらい元に戻せるよな?
「この紙、ここに穴が開いていますよね? そしてこの角材にも。だから、この穴を合わせて、くるくると角材に紙を巻き付けていくと――はい、文章が浮かび上がりました」
本当に文章になった。
で、一体何が書かれているんだ?
「ニンムミカドノコウケイハッケンシスミヤカニトウゲンキョウヘ」
……なんだこれ?
任務、帝の後継発見し、速やかにトウゲンキョウへ……だろうか?
「帝って、たしかヤマトの国の皇帝みたいなものだよな? その後継を見つけたらトウゲンキョウに連れていけってことか? ミレが帝の後継者だから、トウゲンキョウって場所に連れていった……ってことか? クルト、何かわかるか?」
「すみません。僕にわかるのは、この文字が書かれたのは約三年前で、ダンゾウさんの書く文字とは違うこと。おそらくダンゾウさんと近い年齢の人が書いたものと思われることくらいですね」
わかり過ぎだ。
どんなプロファイリングだよ。
しかし、これは明らかに誰かからの指示だ。
ダンゾウは何者かの指示で動いていた。
きっと、あいつはこの国で働くスパイだったのだろう。
スパイの中には、何世代も同じ場所で過ごし、周囲に馴染んで暮らす者もいるという。
そう思うと、水車小屋を作り、その隣に住んでいた理由もわかる。
脱穀中は暇なので、複数人が集まったら雑談を始める。
とりとめのない雑談であっても、その中に重要な情報が隠されていることだってあっただろう。
「ユーリさん、さっきの本に面白い記述がありました。なんでも、ヤマトの国には一年中桃の花が咲いている桃源郷と呼ばれる場所があるそうです」
リーゼがさっき読んでいた冒険譚の本を見て言った。
「トウゲンキョウってそこのことか……でもその本ってフィクションなんじゃないのか?」
「たとえフィクションであっても、伝承の元となった場所はあるはずです」
リーゼの言うことももっともだな。
と考えていたら、クルトがまた何かしている。
「クルト、何してるんだ?」
「ここに何か隠されているみたいなんです」
「壁の中に?」
クルトが壁の板を一枚剥がす。
すると、そこからまた紙が出てきた。
こんなところに隠しておくなんて、重要な情報が――
「これも暗号か?」
今度は文字にもなっていない、ミミズが這ったような文字だ。
これは一体何が――
「わ、わぁぁぁっ!? なんで!? なんでこれがここにあるの!?」
「シーナ、知っているのか?」
「これ、私が初めてダンゾウのところで練習に書いた文字だよ。もう処分したって言ってたのに」
「じゃあこっちのは?」
「兄さんの文字ね」
シーナが恥ずかしそうに言った。
初めて書いた文字なら、こんなことになっても当然か。
「でも、なんでこんなところに隠してあったんだ?」
「たぶん、これが見つかったらシーナさんに捨てられちゃうからじゃないですかね? ダンゾウさんにとってこの紙はきっと、シーナさんとカンスさんとの大切な思い出なんですよ」
クルトが言った。
「……ダンゾウ」
シーナが喜んでいるのか恥ずかしがっているのかわからない表情を浮かべた。いや、どちらも同時に感じているのだろう。
ダンゾウだって同じだ。
たとえスパイであったとしても、私たちと一緒に工房で過ごし、見せてきたあの姿が全て偽物だったわけではない。
「ユーリシアさん、リーゼさん、クルト……ダンゾウをお願いします」
「任せてくれ」
「はい、必ず連れ戻しますわ」
「もちろんです。僕たちは仲間ですから」
集められる情報は集まった。
目指す場所は桃源郷と呼ばれる場所だ。
きっと、その元となった場所がどこかにあるはずだ。
そこから十分ほどかけて歩いて到着したカンスさんたちの故郷は、アクリの身長くらいしかない小さな石垣に囲まれた小さな村だった。
行商人さんも月に一度しか訪れないらしい。村の周りにある小麦畑で採れる小麦は、税を納めるために育てているもので、村人の主食は芋類だという。
その小麦畑の手入れをしていた人たちがこっちに気付いたようで、立ち上がった。
「おぉ! ダイのところのカンスにシーナちゃんじゃないか! なんだ、帰ってきたのか?」
「あら、可愛い子二人も連れて。もしかしてどっちかカンスのお嫁さん?」
「ならそっちの男の子はシーナちゃんのお婿さんかっ!?」
みんなが僕たちを見て、そんな憶測を述べた。
ファントムの二人もいるはずだけど、完全に気配を消して隠れているので誰も気付かない。僕もどこにいるかわからない。
「ちげぇよ! この人たちは俺が働いている工房の同僚たちだ!」
カンスさんが怒鳴りつけたが、カンスさんの知り合いの農家の人は不思議そうに言う。
「ダンゾウは一緒じゃねぇのか? もしかして何かあったのか?」
「……ちょっと理由があってな。でも、元気でやってるよ」
カンスさんは一瞬だけ言葉を詰まらせたが、皆さんに心配させないように大きな声で言った。
「元気でいたらそれでいいや。早いとこダイさんに顔を見せてやれ」
「いや、まずは――」
「先にカンスさんの家に行きましょう」
カンスさんはダンゾウさんの家に行こうと言おうとしてたみたいだけど、僕はそう提案した。
ユーリシアさんもリーゼさんも頷いてくれた。
「ありがとう、クルト」
シーナさんが僕に言うけれど、お礼を言われるようなことじゃないと思う。
いまから急いだところでダンゾウさんたちに追いつくのは無理だし、ミミコさんの言う通り、ミレさんが危険な目に遭っている可能性は低いから、慌てても仕方がない。
それに僕もお世話になっている二人の両親に挨拶をしたいしね。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
私――ユーリシアはクルトたちとともに、カンスに案内されて村に入った。
長閑な村だった。
初めてアクリと一緒に出掛けた養豚場のある村を思い出す。
あの予言者かぶれの爺さん、元気にしているだろうか?
勇者として魔王を退治しろって言われて、何バカなことをって思ったけれど、本当に魔神王を倒しちゃったんだよな。
将来、クルトが工房主を引退したらこういう田舎に引っ込んで二人でのんびりと暮らすのも悪くないな。
と、クルトの淹れた紅茶を庭でのんびりと飲んでいるところを想像していたら――
「ユーリさん、二人でのんびり暮らしたいなんて思っていませんわよね? クルト様の妻の座はあなただけではありませんよ」
「久々だが、心を読むな、リーゼ」
「ユーリさんがひどい妄想をするからです」
想像の中くらい好きにさせてほしい。
ふと見回せば、村の中央では子どもが井戸で水を汲んでいる。
かなり大変そうだ。
手伝いに――
「ちょっと僕、手伝ってきます! すぐに終わりますから」
クルトが真っ先に手伝いにいった。
「さすがクルト様です」
「本当だな。困っている人は放っておけない」
そのおかげで事件に巻き込まれることも何度もあったが――
「お待たせしました」
「クルト、おかえ……り。お前、何をしたんだ?」
「え? 何って、手押しポンプを作ってきました」
一瞬の間に、井戸に見慣れない装置が設置されていた。
子どもが嬉しそうにポンプのレバーを押すと、水が出てくる。
どうやら、桶一杯分の水が即座に出てくるという便利な仕組みになっているみたいだ。
工房にある、レバーを捻るだけで水が出続ける魔道具よりはまだ常識のある装置か。
「……村のみんなも喜ぶよ。ありがとう、クルト」
カンスが引きつった笑みを浮かべて言った。
あまり長居したら、この村がクルトによってとんでもない村に変わってしまいそうだな。
カンスたちの家は村の奥のほうにあった。
家の前には大きく白い犬がいて、こちらを見るなり走ってくる。
ものすごい勢いだ。
久しぶりに帰った主人を出迎えている――というのとは違う気がするけど。
「忘れてた! 気を付けてください! あいつ、綺麗な女性を見ると股に顔を突っ込む癖があるので」
「えっ!?」
カンスがそう言った時、私とリーゼは思わず手でガードする。
綺麗な女性って――ま、まぁ、そう思われるのは恥ずかしいが、しかし――
「わっ!?」
声を上げたのはクルトだった。
犬はクルトの股に顔を突っ込んでいる。
「や、やめてください」
「ペス、離れなさい! そもそもクルトは男の子よっ! ちょ、力強い」
「離れろ、ペス!」
シーナとカンスが力ずくで犬をクルトから引き剥がす。
……なんだろう、女として負けた気がする。
「あの犬……私でもクルト様の大切な部分に顔をうずめたことがないというのに――」
そしてリーゼは犬に嫉妬するな。
私だってそんな経験はない。
「どうしたんだいペス……そんなに興奮して綺麗なお嬢さんでも来たの? あら? カンスにシーナ、帰ってたのかい?」
「「ただいま、母さん」」
玄関から出てきたのは、どちらかといえばカンス似の、気の強そうなご婦人だった。
この人が二人の母親らしい。
「まったく、帰るなら連絡入れるように前に言ってあっただろ? そちらの方たちは?」
「紹介するよ。工房でお世話になっているユーリシアさんとリーゼさん」
「それと彼がクルトくんだよ」
カンスとシーナが私たちを紹介する。
「はじめまして、ユーリシアです」
「私はリーゼです。クルト様の婚約者です」
「私もクルトの婚約者だ」
リーゼが要らぬ肩書きを追加したせいで、私も思わず対抗してしまった。
「クルトと申します。カンスさんとシーナさんにはとてもお世話になっています」
「へぇ、あんたたちの同僚にしてはいい子じゃないか。私はマドナだよ。中に入って待ってな。いま父ちゃんを呼んでくるから」
そう言って、カンスの母親のマドナさんは家の裏手に向かった。
……あれって――
「すみません、あんな母親で」
「いいえ、とても素敵なお母様ですよ」
「そうだな。ただ、本当に農家なのか?」
私は思わずそう呟く。
歩き方だけでもわかる。
ただ者ではない。
もしかしたら私が最初に会った頃のカンスと同じか、それ以上に強いんじゃないか?
「言っていませんでしたね。うちの両親は元々、夫婦で冒険者をしていたんです」
「私が生まれるまでは兄さんをおぶってオークとか狩ってたみたい」
カンスとシーナが教えてくれた。
子どもを背負ってオーク狩りって、なんともパワフルな。
さすがに首が据わるまでは大人しくしていたと思うが、それでも凄い。
……あれ? でも私もアクリと一緒に魔族と戦ったり悪魔と戦ったりしているから、あまり他人のことを言えないんじゃないか?
反省しよう。
「カンス、シーナ、帰ったか」
しばらくしてマドナさんと一緒に帰ってきたカンスの父親は、カンスやマドナさんに輪をかけて大きい、筋肉質の身体の持ち主だった。
マドナさんよりも、いや、いまのカンスよりも強いだろう。
こうして二人を見ると、細身のシーナがよく生まれたなって思う。
「客人もよく来た、俺はダイだ。何もない村だが、歓迎する」
そんな言葉に私たちも挨拶を返していると、カンスがとんでもないことを言う。
「親父、少し痩せたんじゃないか?」
これで痩せてるのかっ!?
「ああ。最近ジャガイモが不作でな。土がよくないのかもしれない。それで、どうした? 単純に帰郷ってだけなら、ダンゾウがいないのはおかしい。何があった?」
「……ちょっとな。詳しくは話せないんだが、ダンゾウが行方不明になって追いかける必要がある。その手がかりを探しにきたんだ」
「そうか――詳しく話せないなら聞くつもりはない。ちょうどよかった、あいつの家は俺が管理している」
そう言うとダイさんは棚の中からシンプルな鍵を取り出してカンスに投げた。
鍵がかかっていたのか。
これは助かった。
クルトならどんな鍵でも針金一本で開錠できると思うが、こいつのことだから「誰かが管理をしているのなら、勝手に入るのはダメですよね? 鍵を借りに行きましょう」って鍵を探して回る必要があった。
「じゃあ、ちょっと見に行ってくる」
「シーナ、案内してやれ」
ダイさんはそう言うと、カンスの腕を掴んだ。
「ちょうどいいからカンスは俺と付き合え。久しぶりにスパーリングできる相手が欲しかったんだ」
「え? ちょ、待て、親父。俺は――」
「ごたごた言うな。久しぶりに会ったんだ、親孝行くらいしていけ」
カンスは抵抗もむなしく、ダイさんに引きずられていった。
「シーナさん!? カンスさん、大丈夫ですか?」
こんな親子の会話、きっと見たことがないのだろう。クルトがおろおろしている。
私も少し引いている。
「大丈夫よ。父さんなら骨を折らずに相手を無力化することくらいできるから。それよりダンゾウの家に行きましょ」
シーナは日常茶飯事だと言わんばかりに、私たちをダンゾウの家に案内してくれた。
本当に大丈夫なのか?
ダンゾウの家は川辺にあった。
穏やかな流れの澄んだ川で、小魚もよく見える。
私たちの工房があるヴァルハにも川はあるけど、あそこの漁業権は(川なのに)海運ギルドが独占しているから釣りができないんだよな。
水車が併設された、脱穀のための作業小屋もある。
「立派な水車ですわね」
「この水車はダンゾウのお父さんが作って管理をしていたの。小麦が豊作の年とかは、ここで脱穀した小麦でパンを焼いてお祭り騒ぎだったなぁ」
シーナが懐かしそうに言う。
「私たちが村から出た後は、みんなで持ちまわって管理していたみたい――と、鍵が開いたわよ」
シーナは鍵を外して中に入る。
かなり埃がたまっていて、長い間誰も使っていないのが窺えた。
「結構本があるな」
私は棚の本を一冊手に取った。
ヤマトの国の冒険譚か。
それにしても、本は決して安いものではない。特にこういう田舎だと手に入りにくいはずだが……
そんな私の疑問に気付いたのか、シーナが口を開く。
「ダンゾウのお父さんが読書家だったんだって。それでダンゾウもその本を使って文字を覚えて。それて、村を出るまでは私と兄さんがその本を使って文字を教えてもらったの」
「なるほど、この本は文字を覚えやすいように工夫されていますね。一冊の中に日常に必要な言葉が全て入っています」
クルトが本を横から見て言う。
これってそういう本だったの?
ただ――
「クルト、壁の向こうとか床の下に隠し部屋はないよな?」
「はい、どちらも何もありません」
クルトが言うのなら隠し部屋はないのだろう。
この部屋にもダンゾウの行き先の手がかりになるものはなさそうだし、こりゃハズレかな。
元々期待はしていなかったが。
「何もなさそうですわね。一応本だけは回収していきましょうか」
「そうですね。あとは屋根裏部屋を探しましょう」
「「「え?」」」
屋根裏部屋?
天井を見上げても、普通の家の天井だ。
不思議な場所は見つからないが――クルトが鞄の中からロープの先端に鉤爪のようなものをつけ、くるくると回して天井に向かって投げた。
鉤爪が天井の一部に引っかかると、天板が外れ、縄梯子が落ちてくる。
全然気付かなかった。
梯子を上がっていくと、本当に部屋になっていた。
「クルト様、なぜおわかりになられたのですか?」
「家の形状ですね。外からパッと見た感じだとわかりにくくなっていますが、煙突のようなものがあるんです。でも、天井にはその穴がなかったので、きっと二階があるんだろうなって。それで、何回も外している感じの天板が見えたので、そこだろうって目星が付きました」
屋根に煙突?
そんなの見えたか? って目線を送ると、リーゼもシーナも首を横に振る。
やっぱりクルトの観察力は凄いな。
それなのに、なんで自分やハスト村が凄いってことに気付かないのか……まぁ、気付いたら意識と丸一日分の記憶を失うので、気付かれても困るが。
ともかく、いまはこの屋根裏部屋だ。
「何か燃やしたあとがありますわね」
「紙のようだな。もしかしたら重要な書類だったのかもしれないが――」
「だったら、元に戻してみましょう」
クルトはそう言って灰を集めて、何か薬液のようなものを垂らす。あれやこれやしていると、灰が元の紙に戻っていった。
うん、このくらいだと動じなくなってきたな。
「クルト、これって再生できてるの? 全然読めないんだけど」
再生した細長い紙には斜めに文字が書かれているが、シーナの言う通り、文章になっていなかった。
何かの暗号だろうか?
たとえば、一文字ずらすとか、二つの文字で一つの意味になるとか。
「きっとこの棒を使うんだと思います」
クルトはそう言ってどこからか棒を取り出した。
「って、本当にどこから取り出したんだ?」
「はい、薪に使われていた棒を元に戻しました」
「そっか。元に戻しちゃったか」
紙を元に戻せるんだから、薪くらい元に戻せるよな?
「この紙、ここに穴が開いていますよね? そしてこの角材にも。だから、この穴を合わせて、くるくると角材に紙を巻き付けていくと――はい、文章が浮かび上がりました」
本当に文章になった。
で、一体何が書かれているんだ?
「ニンムミカドノコウケイハッケンシスミヤカニトウゲンキョウヘ」
……なんだこれ?
任務、帝の後継発見し、速やかにトウゲンキョウへ……だろうか?
「帝って、たしかヤマトの国の皇帝みたいなものだよな? その後継を見つけたらトウゲンキョウに連れていけってことか? ミレが帝の後継者だから、トウゲンキョウって場所に連れていった……ってことか? クルト、何かわかるか?」
「すみません。僕にわかるのは、この文字が書かれたのは約三年前で、ダンゾウさんの書く文字とは違うこと。おそらくダンゾウさんと近い年齢の人が書いたものと思われることくらいですね」
わかり過ぎだ。
どんなプロファイリングだよ。
しかし、これは明らかに誰かからの指示だ。
ダンゾウは何者かの指示で動いていた。
きっと、あいつはこの国で働くスパイだったのだろう。
スパイの中には、何世代も同じ場所で過ごし、周囲に馴染んで暮らす者もいるという。
そう思うと、水車小屋を作り、その隣に住んでいた理由もわかる。
脱穀中は暇なので、複数人が集まったら雑談を始める。
とりとめのない雑談であっても、その中に重要な情報が隠されていることだってあっただろう。
「ユーリさん、さっきの本に面白い記述がありました。なんでも、ヤマトの国には一年中桃の花が咲いている桃源郷と呼ばれる場所があるそうです」
リーゼがさっき読んでいた冒険譚の本を見て言った。
「トウゲンキョウってそこのことか……でもその本ってフィクションなんじゃないのか?」
「たとえフィクションであっても、伝承の元となった場所はあるはずです」
リーゼの言うことももっともだな。
と考えていたら、クルトがまた何かしている。
「クルト、何してるんだ?」
「ここに何か隠されているみたいなんです」
「壁の中に?」
クルトが壁の板を一枚剥がす。
すると、そこからまた紙が出てきた。
こんなところに隠しておくなんて、重要な情報が――
「これも暗号か?」
今度は文字にもなっていない、ミミズが這ったような文字だ。
これは一体何が――
「わ、わぁぁぁっ!? なんで!? なんでこれがここにあるの!?」
「シーナ、知っているのか?」
「これ、私が初めてダンゾウのところで練習に書いた文字だよ。もう処分したって言ってたのに」
「じゃあこっちのは?」
「兄さんの文字ね」
シーナが恥ずかしそうに言った。
初めて書いた文字なら、こんなことになっても当然か。
「でも、なんでこんなところに隠してあったんだ?」
「たぶん、これが見つかったらシーナさんに捨てられちゃうからじゃないですかね? ダンゾウさんにとってこの紙はきっと、シーナさんとカンスさんとの大切な思い出なんですよ」
クルトが言った。
「……ダンゾウ」
シーナが喜んでいるのか恥ずかしがっているのかわからない表情を浮かべた。いや、どちらも同時に感じているのだろう。
ダンゾウだって同じだ。
たとえスパイであったとしても、私たちと一緒に工房で過ごし、見せてきたあの姿が全て偽物だったわけではない。
「ユーリシアさん、リーゼさん、クルト……ダンゾウをお願いします」
「任せてくれ」
「はい、必ず連れ戻しますわ」
「もちろんです。僕たちは仲間ですから」
集められる情報は集まった。
目指す場所は桃源郷と呼ばれる場所だ。
きっと、その元となった場所がどこかにあるはずだ。
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