道具屋のおっさんが勇者パーティーにリンチされた結果、一日を繰り返すようになった件。

名無し

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二十七話 道具屋のおっさん、寛容になる。

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 レベル175まで上がった俺の電撃は、そりゃもう凄まじいもんだった。

 一発で視界全体にいるモンスターが全て蒸発するほどだ。魔法攻撃力が21から378まで上がった結果だ。

 ちなみに魔法耐性も255ある。試しにエレネから電撃を食らってみたんだが、ちょっとピリッとするくらいで全然平気だった。エレネも5レベルとはいえ、素質があるのか魔法攻撃力が30もあるんだけどな。

「また一歩神に近付いたな、エレネ……」

「ですね……」

「「ちゅー」」

 桁違いなレベルの上がり具合に味をしめた俺たちは、それからもっとスノードラゴンを倒すべく山の中腹を目指そうとしたんだが、霧が深くなってきたし予定の狩り時間である30分が経過しそうだったから戻ることにした。

 まだ夜まで時間はあるんだが、あのハーフエルフに電撃が通用するか試したいから早く武器屋に行きたいんだ。あいつならズレてるから今回も誤爆として食らわせれば許してくれるだろうし。



 早くも武器屋『インフィニティ・ウェポン』に到着したわけだが、御者の爺さんは心臓発作で既に亡くなっていた。あまりにも急がせたからだろうか。それでもここまで耐えたのはさすがのプロ意識だ。レベルが高いだけある。

「「ちゅうぅ……」」

 爺さんの死体の後ろでねっとりとキスをし合う俺とエレネ。

 早速店の中に入って少し待ったんだが、ハーフエルフは姿を見せなかった。もしかしたらもう立ち寄ってて、迅雷剣がないもんだからすぐ出ていった可能性があるな……。

 一応占いのカードで30分前後の過去と未来をざっと覗いたんだが、誰も来る気配はなかった。やはりもう立ち寄った可能性が高いな。狩りで結構時間費やしたし……。

「……行こう、エレネ。今から追いかければまだ間に合うかもしれない」

「んー……」

「エレネ、どうした?」

「追いかけてどうするんですか? モルネトさんも強いですけど、あの子も滅茶苦茶強いですよ」

「そうだけど、試しに電撃を食らわせてみたいんだよ。今の時点でどれくらい効くか」

「……そんなことより、モルネトさんっ、ここで兄さんが帰ってくるまで楽しみましょう……」

 エレネがうっとりとした顔で脱ぎ始めた。……もう開き直ってるなこいつ……。

「待て待て……。あとでたっぷりスケベしてやるから今は我慢しろって」

「……は、はい」

「オーダー、聞いてやるから。暴力と変態成分、どれくらいの割合がいいんだ?」

「んーと……それじゃぁ暴力7、変態3でお願いしますっ……」

「……」

 ……俺はほんの少しだけエレネが怖くなった。だ、だが俺は神に最も近い男モルネトだ。こいつの変態エネルギーを丸ごと受け入れてやるつもりだ……。



 ハーフエルフのメスガキが去っていったであろう方向に走るも、一向に姿が見えなくて舌打ちが止まらない。

 俺は以前電撃でやられた交差点近くで立ち止まり、占いのカードを使ってみることにした。ここの30分前を見れば何かわかるかもしれない……お、いたいた。何やら茫然自失とした様子でフラフラ歩いていったかと思うと、近くにある狭い路地に入っていった。

 おそらく迅雷剣が売り切れてると思ってがっかりしたんだろうな。

「エレネ、行くぞ!」

「は、はぃ……」

 なんだ、エレネのやつ目をトロンとさせやがって。あれか、路地裏だからか。そういやこいつを初めてボコったのもこれくらい狭いところだったな。もう見失ったっぽいし、あのハーフエルフは諦めてエレネを可愛がってやるか。

「……エレネ、俺の拳が欲しいのか?」

「……はぃ」

 仕方ねえなあ。じゃあ十発くらいぶん殴って……あれ?

「「「へへっ……」」」

 いつの間にか俺たちはナイフを手にした三人の男に囲まれていた。なんかいかにも凶悪そうな面だな。まあ俺のほうがヤバいんだが……。

 しかしこいつら、持ってるナイフにしたって錆びたり欠けたりしてるし、やたらと痩せこけてるし服もボロボロで同情したくなる。多分スラム街のほうから出張してきたんだろう。

「……な、なんだというんだ、あんたたちは……」

 どうせだから遊んでやろうと思って俺が怯える振りをしてやると、あいつらは一様に目を細めて喜んでくれた。脳みそが本当に入ってるのかと疑うほど単純な連中だ……。

「い、いやぁっ……」

 エレネも悲鳴をあげて俺に抱き付いてくる。ノリがいいやつだ。

「へへ……おう、おっさん。悪いことは言わん。その可愛いお嬢ちゃんをこっちによこしな。丹精込めて育てたから疲れてるだろ? だから代わりに俺たちが育成してやるよ……」

 そうか、俺の娘だと思われてるのか。まあそうだよな。

「はぁはぁ。兎ちゃん可愛い、可愛いよぉっ」

「おいらたちが沢山可愛がってやるぜえぇ! じゅるっ」

「だめぇっ……」

「へへっ……あ、でもおっさん、俺たちのプレイをじっくり見たいならそこにいてもいいんだぞ……?」

「「「ギャハハッ!」」」

「……エレネ、ごめんよ。俺、まだ死にたくないんだ……」

 俺はわざとらしく足を震わせつつエレネから離れる。

「そ、そんなぁ……」

「おっと、お嬢ちゃん、待ちな。そんな頼りないお父さんなんかもう捨てたほうがいいって……」

「そうだよ兎ちゃん、おいらが本当のパパになってあげりゅ。だから、いっぱい楽しもう? 楽しもうよぉっ」

「も、もうおいら我慢できねえ!」

「いやー!」

 エレネが男の一人に捕まってしまった。やつらの下卑た視線はすっかりエレネに集中している。溜まってるってやつかな? しょうがないにゃあ。

 ……さて、そろそろ飽きてきたし終わらせてやろう。
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