なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し

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第49話

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「――うっ……?」

 襲ってきた変異種ゴーレムの拳が、俺の頬を掠める。

 な、なんだこの異次元のスピードは……? 普通に軽くかわしたつもりが、下手をすれば命中するところだった。

 このモンスターのスピードについては、クレスの記憶を読み込んだ際に大体把握していたはずだが、これほどの誤差は一体どこから来るのか。

 俺は『瞑想魔法』を使って少し考えたのち、ようやく謎が解けた。

 なるほど、そういうことだったか。これでもかと威圧感を放つ並外れた図体から来る、ゴーレムの動きが鈍いだろうというだ。それが邪魔となり、予想以上の速さに体がついていけなかったのだ。

 だが、もう大丈夫だ。イメージの幅を活性化した『想像力強化魔法』で固定観念を打破してやった。

『ウゴオオオオォッ!』

 さもなくば、次に繰り出してきたゴーレムの尋常じゃない連続攻撃に対し、かわすことは到底できなかったはず。

「さすがはラウル。偉い偉いっ。ここまでは僕の想定通りだけどねえ」

「…………」

 ハンスの余裕に満ちた台詞が鼻につく。それでもクレスの記憶で予習済みだから苛立ちは軽減されたし、俺は『探知魔法』で周りの様子を見通しながらも避けることができるようになっていた。

 というわけで、俺は変異種ゴーレムの猛攻をしのぎつつ、少しだけ離れた場所にいる仲間たちの様子を確認してみることに。

『『『『『ウゴオオォォォッ……!』』』』』

「よ、よし、大丈夫だ、これくらいなら僕でも全然耐えられるぞっ……!」

「ルエス、耐えてください……。私が少しずつ……均等に削っていきますです……!」

「いいわ、その調子よ、ルエス、ユリム。もうちょっと頑張ってくれたら、あたしの魔法で終わらせてあげるっ!」

 ルエス、ユリム、カレンの三人は、俺が思っていた以上に健闘してくれていた。

 盾使いのルエスが分裂したゴーレムたちを全て引き受け、片手剣使いのユリムと魔術使いのカレンが、事前の打ち合わせ通りにまとめて撃破してくれていたんだ。

 一体ずつ処理するようだとルエスの負担が凄いことになるし、まずはユリムの剣術で再生能力が発動しない程度に徐々に体力を削っておき、それからカレンがゴーレムの苦手とする火の魔術を使い、まとめて仕留めるというやり方だった。

 ただ、俺が戦っているこの本体のゴーレムとなると話は別だ。

 なんせリザードマン以上の再生能力で、ほぼ瞬時に体が元通りになるのはわかっている。ちょっとやそっとの攻撃を加えたところで倒れないということも。最高の攻撃力を誇っていたクレスでさえどうにもならなかったわけだしな……。

「あれれぇ……? あの天下のラウルが、進化すらしてない変異種ゴーレムに対して、なんにもできずにただ避けるだけだなんて……。いくら仇とはいえ、僕はこんなところ見たくなかった……」

 ハンスがいかにも悲しそうに言い放つが、本当は見たかったくせに。さて、と。ちょっとしてやるか。

「もうそろそろ俺の番だな」

「はあ……?」

 俺の台詞にハンスが即座に反応してくるのもわかる。俺を煽ってきたのは不安の裏返しでもあったはずだから。話の続きを聞きたいのかゴーレムの動きも止まった。

「ラウル……君ほどの大物が、小物のように強がりを見せるなんて意外すぎるね……」

「強がり? いや、俺はそんなことはしない。それはむしろ、小動物のようにビクビクと俺の様子を窺っているお前のほうだろう。その証拠にすぐ反応してくる」

「……詭弁だね。君は僕の従魔から一方的に逃げているだけ。不利な者こそが強がる。それが歴然たる事実だ」

「お前だってクレスの攻撃から逃げ続けてたが、それはいいのか?」

「……ふーん。つまり、僕の真似をしてるってこと?」

「表情に余裕がなくなってきたぞ、ハンス。もっと自信を持ったらどうだ?」

「……よく口が回るね。かわし続けることはできても、このまま変異種を放置し続けたらどうなるか、まともな頭をしてたら少しは理解できそうなもんだけど」

「これがかわしているだけだと思った時点でお前の負けだ」

「へ……?」

 俺はゴーレムの飼い主に向かって、曇り一つない笑みをぶつけてやった。
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