なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し

文字の大きさ
50 / 78

第50話

しおりを挟む

『『『『『ウゴオオオォォォォッ……』』』』』

 変異種ゴーレムが咆哮するのと同時に分裂し、俺たちの前でその数を一気に激増させるが、そこからすぐに襲い掛かってくることはなかった。

 それどころか、じっとこちらの様子を窺っている感じだ。

 おそらく、飼い主である錬金使いのハンスが俺の話の続きを聞くために待機させてるんだろう。多少の動揺や威嚇の意味合いも込めて。

「フフッ、僕の負けだって……? 実に奇怪なことを言うもんだね~。ラウル、よかったらその理由を迅速に説明してくれないかなあ? あ、お得意の強がりとかジョークとかは一切なしでね」

「……ハンス、さっきも言ったはずだ。なのに信じられないっていうのか? 俺は強がりなんて言わないし、冗談を言うつもりもない。その理由はお前の近くにいるがよく知っている」

 俺は杖の先で本体のゴーレムを指し示しつつ言葉を続けた。

「学習能力が格段に優れているっていうそいつに、徹底的にを教え込んでやったからだよ」

「……負け方?」

「そうだ。ゴーレムはひたすら同じように俺を攻撃し続けることで、その動きは徐々にワンパターン化していった。それで俺自身余裕ができたのもあって、避ける際に少しずつ自分の動きも劣化させていった。つまり、鈍くなった動作を学習したゴーレムもまた比例して鈍化していったってわけだ」

「……はあぁ? そ、そんな見え透いた出鱈目をよく言えるね。たったそれだけのことで、今まで蓄えてきた膨大な戦闘経験が台無しになるわけがないだろ……!」

「ハンス、まだわからないのか? ヒントは、ゴーレムの唯一の弱点である知能だ」

「ち、知能だって……?」

「そうだ。ゴーレムは身体能力があるから戦闘面における学習能力は高いが、知能はいくら変異したところで低いものは低い。それに、知能は記憶とも関係していて、知力が低いゴーレムの頭にはもう俺をひたすら追い回した記憶しかない。疑うなら試してみるか?」

「……そ、そんなの、ハッタリだ……ハッタリに決まってるし、今からそれを証明してやる! 行けっ、ゴーレムッ……!」

『『『『『ウゴオオォォッ――!』』』』』

「――ルエス、ユリム、カレン、頼んだっ……!」

 いつもの如く、変異種ゴーレムの分身をルエスたちに託し、俺は本体だけを引き取ることにする。

「了解っ! ラウル君、僕たちはもう手慣れたもんだよ!」

「ですね。しっかり引き受けますです……!」

「丁重にお預かりするわねっ!」

 実に頼もしい声が返ってくる。

 ゴーレムは何度も分裂して増殖することができるといっても、増やせる数には限度があり、一定数減らない限り再び分裂することはできないということがわかっている。

 なので、ルエスたちが大量のゴーレムを預かってくれている間、俺は本体のみを相手にできるってことで凄く楽になるんだ。

「さて……そろそろ終わらせてやろう」

 変異種ゴーレムの進化がもうすぐそこまで近付いてきているのは、『感知魔法』によってがし始めているのでわかっている。

 とはいえ、進化が起きる前にやつを倒すにしても充分間に合う自信があるし、ゴーレムの経験値をリセットしたことでその準備は完了している。

 そういうわけで、俺は回避中に使用してなかった『筋肉強化魔法』『覚醒魔法』に加え、杖の強度を活性化させる『武器強化魔法』も使用してゴーレムに殴りかかり、文字通り緩急の差というものを見せつけてやった。

『ウグアアアアアアアァァァッ!』

「……な……な……?」

 強靭なゴーレムの体と、飼い主の余裕の表情が見る見る崩れていくのがわかる。自慢の再生能力がまったくといっていいほど追いつかないレベルで。

 それもそうだろう。それまで間一髪で避けるだけだった貧弱な獲物が、突如として屈強になり牙を剥けばこんなものだ。

 しかも、変異種ゴーレムはやたらとタフなだけに殴り甲斐もあって気分爽快だ。さあ、一気にとどめを刺して終わらせてやるとしようか。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

処理中です...