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第一章 リトア王国
公爵様にはお見通しです
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廊下を進みながら先ほどのことを考える。のんちゃんは私がチートだって言うけど私にはどう考えてもアロイスの方がチートに思える。
頑張って魔力の練習をしてる人なんてこの世界には溢れるほどいるはずなのにアロイスの前に現れたんだから。
精霊王ってどんな姿なんだろう。あとで聞いてみよっと。
廊下を進んでいたらお父様の書斎からイライラした声が聞こえてきた。
「来ちゃったじゃない。帰れ、まったくこの忙しい時に。」
「いや~忙しい時ほど情報の共有って大事でしょ?それに、そちらの王様の様子を聞いてきてって頼まれちゃってさ~何か調子いいみたいじゃない?」
「お前の息子のおかげでな。」
「え?アロイス何かやった感じ?」
「なんだ、知らなかったのか。そこらじゅうでキノコを配り歩いてるんだぞ?」
コッソリ扉のかげから中を伺っていたアロイスは顔をしかめた。
「別に配り歩いてなんかいないよね?」
「ううん、まぁ。」
配り歩いてるは大袈裟だけどあながち間違いともいえないんじゃ…
「調子がいいのは良いけど、こっちにちょっかい出してこないか気になってさ。」
「私がそなたの友人である以前に陛下の忠臣であることを忘れたか?」
「ちゃんと分かってるよ~昔から散々口説いても全然なびいてくれないんだから。」
あ、公爵様がお父様に肘で押し除けられた。なんだかちょっとかわいそう。
アロイスは額に手を置いて残念そうな顔になっている。
「ところでな~んか、結構強烈な浄化魔法の名残を感じるんだけど、さっそく何かやらかしてるの?アロイス?」
わぁ、見つかってた。
私たちはゾロゾロ扉の影から出てお父様と公爵様の前に整列した。
「浄化魔法まで使えるとは知らなかったよアロイス。」
公爵様はニヤニヤしながらアロイスと私を見ている。絶対分かってて言ってるな~
「あの…浄化魔法は私が出しました。
練習してて、あの、部屋に被害とかはないと思うんですが…」
「えぇ~、あれマリーちゃんだったのー?」
わざとらしい公爵様は放っておくとして険しい顔になったお父様が気になる。やっぱり勝手に魔力を使ったから怒ってるよね?
「マリーベル。」
お父様が近づいてくる。私は思わず肩をすくめて縮こまる。
「ごめんなさい。お父様。」
先に謝ってしまえとばかりに急いで言う
「マリーベル。怒ってはいない。
だがあまり無茶はするな。
ベルだけでなくそなたまで失えば私は…」
ここまで言ってからお父様はぴたっと口を閉ざし、エシャルロット公爵を睨んだ。
「私の娘はそなたの息子たちのように頑丈ではない。
ディル、そなたもだ。アロイスを真似て無茶をするようなことのないように。」
クルッと踵を返して執務机に戻ったお父様を公爵様が追いかける。
「アラン、僕なんかジーンとしちゃったよ~
いつも無表情やろうとか思っててごめんね。
ちゃんと愛情があるんだね。マリーちゃんにもベルさんにも。」
お父様は黙ってサラサラと何かを書き丁寧に封をすると公爵様に渡した。
「エリザベス殿に渡してくれ。」
「え、なんでエリザベスに?」
「夫君の行いに対する陳情書だ。あまり自由に動き回らせないようにと書いてある。」
「ちょっとやめてよー僕の女神が怒ると怖いの知ってるだろ?」
公爵様はまるで熱いものを触ったように手紙を机の上に戻した。
「わかったわかった帰りますよ。」
「出口はあちらだ。そう、1つ聞きたいことがある」
「はいはい最後の最後に何なのさ。」
「賢者二リーナは何をするつもりだ?」
「はん、何もしやしないさ。当然だろう二リーナ様だもの。でも、周りは勝手に怯えるだろう。皿一枚割れても、花一輪枯れても二リーナ様の怒りだと思うだろうさ。」
公爵様はお父様に背を向けたまま手を振り私にパチンとウィンクをして出ていった。
頑張って魔力の練習をしてる人なんてこの世界には溢れるほどいるはずなのにアロイスの前に現れたんだから。
精霊王ってどんな姿なんだろう。あとで聞いてみよっと。
廊下を進んでいたらお父様の書斎からイライラした声が聞こえてきた。
「来ちゃったじゃない。帰れ、まったくこの忙しい時に。」
「いや~忙しい時ほど情報の共有って大事でしょ?それに、そちらの王様の様子を聞いてきてって頼まれちゃってさ~何か調子いいみたいじゃない?」
「お前の息子のおかげでな。」
「え?アロイス何かやった感じ?」
「なんだ、知らなかったのか。そこらじゅうでキノコを配り歩いてるんだぞ?」
コッソリ扉のかげから中を伺っていたアロイスは顔をしかめた。
「別に配り歩いてなんかいないよね?」
「ううん、まぁ。」
配り歩いてるは大袈裟だけどあながち間違いともいえないんじゃ…
「調子がいいのは良いけど、こっちにちょっかい出してこないか気になってさ。」
「私がそなたの友人である以前に陛下の忠臣であることを忘れたか?」
「ちゃんと分かってるよ~昔から散々口説いても全然なびいてくれないんだから。」
あ、公爵様がお父様に肘で押し除けられた。なんだかちょっとかわいそう。
アロイスは額に手を置いて残念そうな顔になっている。
「ところでな~んか、結構強烈な浄化魔法の名残を感じるんだけど、さっそく何かやらかしてるの?アロイス?」
わぁ、見つかってた。
私たちはゾロゾロ扉の影から出てお父様と公爵様の前に整列した。
「浄化魔法まで使えるとは知らなかったよアロイス。」
公爵様はニヤニヤしながらアロイスと私を見ている。絶対分かってて言ってるな~
「あの…浄化魔法は私が出しました。
練習してて、あの、部屋に被害とかはないと思うんですが…」
「えぇ~、あれマリーちゃんだったのー?」
わざとらしい公爵様は放っておくとして険しい顔になったお父様が気になる。やっぱり勝手に魔力を使ったから怒ってるよね?
「マリーベル。」
お父様が近づいてくる。私は思わず肩をすくめて縮こまる。
「ごめんなさい。お父様。」
先に謝ってしまえとばかりに急いで言う
「マリーベル。怒ってはいない。
だがあまり無茶はするな。
ベルだけでなくそなたまで失えば私は…」
ここまで言ってからお父様はぴたっと口を閉ざし、エシャルロット公爵を睨んだ。
「私の娘はそなたの息子たちのように頑丈ではない。
ディル、そなたもだ。アロイスを真似て無茶をするようなことのないように。」
クルッと踵を返して執務机に戻ったお父様を公爵様が追いかける。
「アラン、僕なんかジーンとしちゃったよ~
いつも無表情やろうとか思っててごめんね。
ちゃんと愛情があるんだね。マリーちゃんにもベルさんにも。」
お父様は黙ってサラサラと何かを書き丁寧に封をすると公爵様に渡した。
「エリザベス殿に渡してくれ。」
「え、なんでエリザベスに?」
「夫君の行いに対する陳情書だ。あまり自由に動き回らせないようにと書いてある。」
「ちょっとやめてよー僕の女神が怒ると怖いの知ってるだろ?」
公爵様はまるで熱いものを触ったように手紙を机の上に戻した。
「わかったわかった帰りますよ。」
「出口はあちらだ。そう、1つ聞きたいことがある」
「はいはい最後の最後に何なのさ。」
「賢者二リーナは何をするつもりだ?」
「はん、何もしやしないさ。当然だろう二リーナ様だもの。でも、周りは勝手に怯えるだろう。皿一枚割れても、花一輪枯れても二リーナ様の怒りだと思うだろうさ。」
公爵様はお父様に背を向けたまま手を振り私にパチンとウィンクをして出ていった。
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