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第三章 魔法学園

私が知らないロベリア・ハフスの胸の内

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(今回はロベリア・ハフス視点のお話です。)






「ねぇ、おかしいじゃない。」

私はギュッとスカートを握りしめた。

「あの眼差しを受けるのは私のはずでしょ?あの優しい手つきでエスコートされるのは私じゃなきゃおかしいじゃない。」

「ええ。本当に。」

「それにさっきのイライザとリーク殿下。周りの学生たちがまるで物語の一場面みたいって騒いでたけど、あれだってリーク殿下に抱き上げられているのは私のはずだわ。」

「本当に。」

「カミル先生もアンディーブ様もエドワード殿下もアロイス様も。皆んな私に夢中になるはずなのに!
だって私は世界一可愛くて優秀で、望めばどんなものも手に入れられるくらい皆んなから愛されてるはずでしょ?お父様やお母様、お姉様だっていつもそう言ってくれるじゃない。」

「お嬢様のおっしゃる通りですわ。」

「何故なの?他の生徒たちは皆んな私の言うことを聞くのに何で私が付き合ってあげてもいいと思う人は私を見ようとしないの?」

メアリーはにっこり笑って私の肩を優しく抱いた。その温もりを感じただけでトゲトゲしていた気持ちが少し落ち着いていく。

「ご覧くださいお嬢様あの娘。」

彼女が見つめる先にはだらしなく頬をゆるめた変な髪色の子がいる。マリーベル・スリジェ。初日にわざわざ私から声をかけてあげたのに素っ気ない態度をとられて腹が立ったから最近はあまり話しかけてあげないようにしている。
アロイス様を婚約者にもちながらリーク殿下にも色目を使ってたからアロイス様に目を覚ましてもらおうと皆んなに話してあげていたら何だか仲間をゾロゾロ引き連れてリーク殿下もわざわざ呼びつけて私に恥をかかせるし。

あの子がいるとろくな事がない。

「あの娘はお嬢様が持つべきものを奪っているのです。高貴で見目麗しい男性たち、聡明で忠実な同性の友人。希少な魔力。全てお嬢様にこそ相応しいものです。」

「そう…そうよね?あの子さえいなければ…全部、全部私のものなのに。あの子のせいで…何とかしなくちゃ。この私がこのまま学園の生徒の一人として埋もれてるわけにはいかないのよ。」

「もちろんですわお嬢様。微力ながら私もお手伝いさせていただきます。」

メアリーは本当に頼りになる。お父様に言ってお給金を上げてあげよう。
あれ、違う…メアリーはハフス家の使用人じゃなくて学園から派遣されてる侍女なんだっけ?だって悔しいけど家の使用人を連れてくることができるのは伯爵家以上の家格の生徒だけで…

「どうなさいました?お嬢様。」

優しく微笑むメアリーを見ていたらそんなことどうでもよくなった。

「頼りにしてるわね。メアリー」

「お任せください。」

笑った彼女の目に一瞬背筋が寒くなったけどもう一度よく見るとそこにいるのは従順な頼りになるメアリーだった。

私疲れてるみたい。それもこれもみんなあの子のせいだわ。それにあの子と仲がいい皇女。あの子もいつも偉そうで気に入らない。私が受けたようにクラスで恥をかかせてやるんだから。

私たちはその足で三年のおしゃべり好きな令嬢たちが集うサロンに向かう。
招待もなく入り口に現れた私に最初は驚いたような視線を向けてきたお姉さまがたもすぐに私を受け入れ仲間に入れてくれる。
ほら、私はこういう扱いを受けるのが当然なのよ。
ニヤケそうになる顔を必死に引き締めてオロオロしたような表情を浮かべる。

「聞いてください、お姉さま方。私、こちらへお邪魔しようと向かっている途中で見てしまったんです。」

「まぁ、何を?」「何をご覧になったの?」「可哀想に怯えているみたい。私たちに話してごらんなさい。」

彼女たちはすぐさま私の話に食いついてきた。
本当に扱いやすい人たち。
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