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第一話 転生先で人形作ります
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痛い...痛い...
全身が痛む、息がうまくできない... 視界の端に映る雪が次第に赤く染まっていくのがわかる。
少しその先に目線を移すと野次馬が続々と集まってきていた。
俺の名前は片村裕仁、大学2年生だ。たった今車にひかれて死にかけている。
薄れていく意識の中、ありふれた人生の走馬灯が見え始めた。それなりに勉強を頑張って、それなりに友達もできた。心残りがあるとするなら彼女が全然できなかったことくらい。大した人間ではないのに俺をひいた人は一生このことを引きずって生きるんだろうな。少し申し訳ない。
死ぬことに対する恐怖心は薄いほうだったが、いざその時になるとやっぱり怖くなってくる。まだ読み切ってない漫画があったし、最後までやってないゲームもあったな。 大学のかわいい子に一度くらい告白しとけばよかったな...親は悲しむだろうな、友達は悲しんでくれるかな?...
やっぱり、死にたくないな
そんなことを思ってもこの状況が変わることはなく、ただひたすらに消えていく指先の感覚と意識に震える。そんな恐怖もすぐに終わりを迎え、俺、片村裕仁の短い人生は幕を閉じた。
目が覚めるとそこには見知らぬ天井が広がっていた。少し周りを見渡すとすぐに病院ではないことが分かった。分厚い派手なカーテンがかけられた窓の向こうには広い庭が広がっている、俺の知る限りこんな病院は近くにないはずだ。今寝ているベッドも明らかに患者用ではない。まるでゆりかごだ...いやこれゆりかごじゃないか?と、とにかく誰かいないのか、
「ういあえう~あえぁいあえんぁ~」
(すいませんー誰かいませんかー)
!?
いまの俺の声か?!もしかして...
恐る恐る自分の頬を触る。このもちもち感、この小さな手...お、俺、赤ちゃんになってるーー!?!?
「おや?カイラ坊ちゃんミルクですか?今用意しますねぇ」
いきなり部屋にメイド服の女性が入ってきた、その後ろには5歳くらいの少女がくっついている。
「かいらおぼっちゃん、おなかすきましたか?」
少女が駆け寄ってきた。カイラって俺のことか? や、やっぱり、これがうわさに聞いていた転生ってやつ?!
そんなこんなで俺はこの異世界での生活を満喫することにした。俺が転生したのはラーク男爵家、多くの優秀な人形師を輩出し富を築いた貴族だ。ここでの人形とは子どもが遊ぶような人形ではなく、いわゆるゴーレムのようなもののことを指す。上に三人兄がいるが、三人ともとても優秀で、将来を期待されている。俺はというと...
「はあ!ゴーレム創造!」
ポフンっ
もう10歳になるというのに小学生が作ったような弱弱しい小さなゴーレムしか作れない。ゴーレムの役目は魔物を退治したり、重いものを運んだり...とにかくパワーが必要になってくる。つまり僕の作るゴーレムは何の役にも立たないただの不良品なのだ。
「坊ちゃん!頑張ってください!」
この世界にきた初日に合った少女は僕の専属メイドになった。名前はミラ。彼女のおかげでここまで頑張ってこれたといっても過言ではない。
「おいおい、またごみ作ってんのか?」
次男のザカリーが屋敷から出てきた。一番俺に絡んでくるのがこいつだ、長男はもう家を出て国家魔導士として働いているし、三男の兄は部屋に引きこもっていて顔を見せない。
「ゴーレムってのはこう作るんだよ!」
ザカリーが右手を地面にかざすと次第に土が盛り上がり、自分と同じ背丈くらいの土でできたゴーレムを作った。
「お前もせいぜいお手伝いゴーレムくらい作れるように頑張れよ!あはははは!!」
笑いながら俺の作ったゴーレムを踏みつぶして奴は言った
「坊ちゃん...」
「大丈夫だよ、このくらい。大したことない」
実際そこまでダメージはない。あんなのにいちいち構っていられない。去っていくザカリーを横目にグチャグチャになったゴーレムを片付けた。
全身が痛む、息がうまくできない... 視界の端に映る雪が次第に赤く染まっていくのがわかる。
少しその先に目線を移すと野次馬が続々と集まってきていた。
俺の名前は片村裕仁、大学2年生だ。たった今車にひかれて死にかけている。
薄れていく意識の中、ありふれた人生の走馬灯が見え始めた。それなりに勉強を頑張って、それなりに友達もできた。心残りがあるとするなら彼女が全然できなかったことくらい。大した人間ではないのに俺をひいた人は一生このことを引きずって生きるんだろうな。少し申し訳ない。
死ぬことに対する恐怖心は薄いほうだったが、いざその時になるとやっぱり怖くなってくる。まだ読み切ってない漫画があったし、最後までやってないゲームもあったな。 大学のかわいい子に一度くらい告白しとけばよかったな...親は悲しむだろうな、友達は悲しんでくれるかな?...
やっぱり、死にたくないな
そんなことを思ってもこの状況が変わることはなく、ただひたすらに消えていく指先の感覚と意識に震える。そんな恐怖もすぐに終わりを迎え、俺、片村裕仁の短い人生は幕を閉じた。
目が覚めるとそこには見知らぬ天井が広がっていた。少し周りを見渡すとすぐに病院ではないことが分かった。分厚い派手なカーテンがかけられた窓の向こうには広い庭が広がっている、俺の知る限りこんな病院は近くにないはずだ。今寝ているベッドも明らかに患者用ではない。まるでゆりかごだ...いやこれゆりかごじゃないか?と、とにかく誰かいないのか、
「ういあえう~あえぁいあえんぁ~」
(すいませんー誰かいませんかー)
!?
いまの俺の声か?!もしかして...
恐る恐る自分の頬を触る。このもちもち感、この小さな手...お、俺、赤ちゃんになってるーー!?!?
「おや?カイラ坊ちゃんミルクですか?今用意しますねぇ」
いきなり部屋にメイド服の女性が入ってきた、その後ろには5歳くらいの少女がくっついている。
「かいらおぼっちゃん、おなかすきましたか?」
少女が駆け寄ってきた。カイラって俺のことか? や、やっぱり、これがうわさに聞いていた転生ってやつ?!
そんなこんなで俺はこの異世界での生活を満喫することにした。俺が転生したのはラーク男爵家、多くの優秀な人形師を輩出し富を築いた貴族だ。ここでの人形とは子どもが遊ぶような人形ではなく、いわゆるゴーレムのようなもののことを指す。上に三人兄がいるが、三人ともとても優秀で、将来を期待されている。俺はというと...
「はあ!ゴーレム創造!」
ポフンっ
もう10歳になるというのに小学生が作ったような弱弱しい小さなゴーレムしか作れない。ゴーレムの役目は魔物を退治したり、重いものを運んだり...とにかくパワーが必要になってくる。つまり僕の作るゴーレムは何の役にも立たないただの不良品なのだ。
「坊ちゃん!頑張ってください!」
この世界にきた初日に合った少女は僕の専属メイドになった。名前はミラ。彼女のおかげでここまで頑張ってこれたといっても過言ではない。
「おいおい、またごみ作ってんのか?」
次男のザカリーが屋敷から出てきた。一番俺に絡んでくるのがこいつだ、長男はもう家を出て国家魔導士として働いているし、三男の兄は部屋に引きこもっていて顔を見せない。
「ゴーレムってのはこう作るんだよ!」
ザカリーが右手を地面にかざすと次第に土が盛り上がり、自分と同じ背丈くらいの土でできたゴーレムを作った。
「お前もせいぜいお手伝いゴーレムくらい作れるように頑張れよ!あはははは!!」
笑いながら俺の作ったゴーレムを踏みつぶして奴は言った
「坊ちゃん...」
「大丈夫だよ、このくらい。大したことない」
実際そこまでダメージはない。あんなのにいちいち構っていられない。去っていくザカリーを横目にグチャグチャになったゴーレムを片付けた。
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