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第4話 定番の稼ぎ方

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目を覚ましたのは次の日の朝、屋敷から数十分下った街にある宿屋のベッドだった。

「坊ちゃん、そろそろ起きてくださーい。早めに出発しますよー」

「んー。はーい」

ミラはもうメイド服に着替えて出かける準備をしていた。俺も早く準備しなくては、

身支度を整えようと体を起こす。体が重い...

「花子、メリー。起きてくれ、そして降りてくれ。」

花子とメリーが腕にしがみついて離れようとしない。

「花子ちゃん達って坊ちゃんのゴーレムなんですよね?命令したらどうなんですか?」

「あんまり命令はしたくないんだ。この子たちとはできるだけ対等でいたいからね。それにこういうことで命令すると機嫌を悪くするんだ。」

普通のゴーレムは意志を持たない。昨日のザカリーが作ったゴーレムも自分の意志で動いていたわけではない。例えるなら、通常のゴーレムはラジコンのようにコントローラーの操作通りに動く。昨日の暴走ゴーレムはコントローラーが故障して勝手に動いている感じ、花子やメリーはコントローラーを操作する人がもう一人いる感じだ。

「...んん~」

2人が目をこすりながら目を覚ました。

今日は父さんたちの手が届かないところまで移動して、宿を見つけるのが目標だ。

「坊ちゃん。これ、着替えです。」

「ありがとう」

宿を見つけたら次はどうやって稼いでいくかだよなぁ... やっぱりここは定番の冒険者か?正直カースドールだったら結構いいところまで行きそうな気がする。少なくともB、Aランク、いやSランクも夢じゃないかもな!

「坊ちゃん、怖い顔してますよ」

「え、あっ、ごめん」

しまった、楽しみでにやけていた。

着替えが終わるころにはカースドールも影に入っていった。さて、いよいよ出発だ。

宿の扉を開け外に出てみるとすでにほとんどの店が開いていた。貴族の生活に慣れていたが、俺も学生の時はあのくらい早く起きなきゃいけなかったな。

薄れかかった前世の記憶を思い出しながら馬車に乗り込んだ。街を出るともうそこは別世界。おばあちゃんの住んでいた田舎を思い出す。異世界でこんな気持ちになるとは... 思えばずっと屋敷にいたから外のことは何も知らないな。

「どうですか?初めての外は」

「あぁ、懐かしいよ」

「懐かしい?」

「い、いや、小さいころは外に行きたがってたなぁって!」

「そうでしたか?遊びましょうって誘ってもゴーレムづくりの練習ばかりだった気がしますが。」

「そ、そんなことないよ」

別の世界から転生して来たことを隠す意味は特に無いが、俺はこの世界ではカイラだからな、ミラにもただのカイラとして接しいてほしい。

「「おぉー」」

「うわ!いつの間に」

花子とメリーが馬車の後ろから外をのぞき込んでいた。俺が見たことないってことはこの子たちも初めてってことだよな。

「どうだ?初めての外は」

「「ん~。懐かしい」」

2人そろって答えた。

「俺の真似するんじゃない」

「「フフフフ」」

笑いながら逃げるように影に入っていった。

「まあ、可愛いからいいんだけどな」

「ふふっ、まるでパパみたいですね」

それから数時間、たわいもない話をしていたらいつの間にか目的地についていた。父さんの領地を出てすぐ近くにある街、タイラスの街だ。交易が盛んなためかなり栄えている。

「とりあえず宿を探しましょうか。」

「そうだね、昼ご飯食べてないしついでに済ませよう」

時間にはかなり余裕があるから宿を見つけた後冒険者ギルドに行けるかもな。

「おい、あれ見ろよ!Aランクパーティの『深紅しんくつるぎ』だ!」

「確かワイバーン討伐に行くって聞いたぜ?すげーな」

深紅の剣?なんだその背中がぞわぞわする名前... 俺もそんな時期があったからわからなくもないけど。

「坊ちゃん、早く行きますよ」

「あ、ごめんごめん」

街を観光がてら歩いていると難なく宿屋は見つかった。一階が食堂になっており、そこで食事をして部屋で休んだ。

「ねぇ、ミラ。ずっとそのメイド服でいるつもり?」

「はい?そのつもりですが。だめですか?」

荷物の整理をしながらミラは答えた

「いやダメじゃないけどさぁ、目立つし、貴族だと思われるからさ。俺もう追放されたのに、馬車のおじさんとかめっちゃ緊張してたし。」

「そんなこと言われましても私は坊ちゃんのメイドですし、服を買うお金ももったいないです」

たしかに屋敷から少しお金も持ってきたがそれだけだと心もとない。

「ミラ、俺さ、冒険者で稼ごうと思ってるんだけど。」

言ってみたはいいものの、反対されるだろうな。危険だとか安定しないとか。どうやって説得したものか。

「冒険者ですか... いいですね!」

「え?」
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