星の少女

米原湖子

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最終章

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「おや? 何を泣いているんだい?」
「ミイちゃんね、ブランコであそびたいのに、いっちゃダメって」
「それは悲しいね」
「うん、かなしい。でも、ママにかなしいっていえないの……」
「そうかい、じゃあ、おばあちゃんに言えばいいよ」

 それからミイちゃんは、おばあちゃんとよく話すようになりました。
「そうかい、ミイちゃんは偉いね。じゃあ、お医者様になったら、おばあちゃんも治しておくれ」
 しかし、その約束は果たされませんでした。

「でも……恵は救ってくれた。ミイちゃん、ありがとうね」
 地上を見下ろしながらミイちゃんが首を横に振ります。
「せいぎのみかただもん! とうぜんだよ」
 ミイちゃんとおばあちゃんが顔を見合わせ、ニッコリと微笑みます。



「お母さん、今夜も星がきれいだよ」
 星々は今日も光り輝いています。
 愛する人たちが少しでもやされますようにと、祈りを込めて。

(了)
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