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第1章 発端
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「こいつが、話していた意味不明女だ」
何という紹介だ、と西園寺オーナーにキツイ視線を送るが彼は素知らぬ顔だ。
「ああ、この子が……」
柔らかな声でニッコリ微笑む……女神?
「ようこそ、“美食倶楽部クーラウ”へ。この店のフードチーフ、樫野友宏です」
この人がヨーロッパで活躍していたという人かぁ、とまじまじと見つめる。
「綾時とは同い年で幼馴染。で、腐れ縁でここにいるの。よろしくね」
いや、女神様じゃない。ふんわりと笑った樫野チーフは――そう、菩薩様だ。
背は西園寺オーナーと同じぐらいに見えるが、色白で全体的に柔らかそう。それに、きつそうなメンズ顔のオーナーと違って可愛い顔。全然、同じ歳には見えない。
「聖天寧々、お前、今、こいつのこと可愛いと思っただろ?」
何でわかったんだと西園寺オーナーを見ると、彼は唇の端を上げて「誰もが思うことだ」と意地悪く笑った。
「友宏はこんなだが、厨房に入ると鬼だぞ。覚悟しておけ」
こんな優しい顔をした人が鬼?
「やだぁ、綾時ったら、バラさないで」
樫野チーフが、いきなりクネクネと身をよじり、バシンと西園寺オーナーの背中を掌でぶっ叩いた。
へっ? 菩薩様が……オネエ様?
「痛っ! お前なぁ、いつも言ってるだろ。その馬鹿力、セーブしろって!」
本気で怒っているようだ。
呆気に取られていたが、自己紹介がまだだったと我に返る。
「あっ、聖天寧々です。よろしくお願いします」
「まずはお皿洗いからだけど、頑張ってね」
この言動……もしやこの菩薩様、本物のオネエ様じゃないのだろうか?
何という紹介だ、と西園寺オーナーにキツイ視線を送るが彼は素知らぬ顔だ。
「ああ、この子が……」
柔らかな声でニッコリ微笑む……女神?
「ようこそ、“美食倶楽部クーラウ”へ。この店のフードチーフ、樫野友宏です」
この人がヨーロッパで活躍していたという人かぁ、とまじまじと見つめる。
「綾時とは同い年で幼馴染。で、腐れ縁でここにいるの。よろしくね」
いや、女神様じゃない。ふんわりと笑った樫野チーフは――そう、菩薩様だ。
背は西園寺オーナーと同じぐらいに見えるが、色白で全体的に柔らかそう。それに、きつそうなメンズ顔のオーナーと違って可愛い顔。全然、同じ歳には見えない。
「聖天寧々、お前、今、こいつのこと可愛いと思っただろ?」
何でわかったんだと西園寺オーナーを見ると、彼は唇の端を上げて「誰もが思うことだ」と意地悪く笑った。
「友宏はこんなだが、厨房に入ると鬼だぞ。覚悟しておけ」
こんな優しい顔をした人が鬼?
「やだぁ、綾時ったら、バラさないで」
樫野チーフが、いきなりクネクネと身をよじり、バシンと西園寺オーナーの背中を掌でぶっ叩いた。
へっ? 菩薩様が……オネエ様?
「痛っ! お前なぁ、いつも言ってるだろ。その馬鹿力、セーブしろって!」
本気で怒っているようだ。
呆気に取られていたが、自己紹介がまだだったと我に返る。
「あっ、聖天寧々です。よろしくお願いします」
「まずはお皿洗いからだけど、頑張ってね」
この言動……もしやこの菩薩様、本物のオネエ様じゃないのだろうか?
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