美食倶楽部クーラウ ~秘密は甘い罠~

米原湖子

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第2章 愉快な仲間たち

04

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初めて賄いを食べたときにマミさんが教えてくれたのだが、賄い作りは一種のテストだそうだ。

スタッフに人気だった賄いは、後日、西園寺オーナーに食してもらえるそうだ。彼がそれを気に入れば、メニュー変更時に新メニューとして加えてもらえるらしい。

「試食する身にもなって欲しいわ」

だから、奇抜な料理がよく登場するのだという。マミさんの『ウゲッ!』みたいな顔で分かるが、彼女は過去、相当酷い料理に出会ったのだろう。

「まぁ。今日みたいなのばかりだったら文句はないけど」

白戸さん作の賄いは、今までに五つほど新メニューとして登場したらしい。そして、その中の二つが定番メニューになっているそうだ。どうりで美味しいはずだ。

「見てよ、樫野チーフのあの顔」

白戸さんは樫野チーフの一つ下らしいが全然そう見えない。西園寺オーナーを除けば、フードスタッフの中で一番の老け顔イケメンだ。とにかく寡黙で実直な人で、オネエ様の樫野チーフとの対比は実に面白い。

マミさん情報によると、樫野チーフは白戸さんにホの字なのだそうだ……でも、白戸さんの方はハテナらしい。表情が読めないからだ。

〈聖天寧々!〉

確かにと樫野チーフと白戸さんに目をやっていると、スタッフルームに設えられたスピーカーから私を呼ぶ声が聞こえた。

バリトンの渋い声……顔は見ずとも分かる。西園寺オーナーだ。またか、と溜息が零れ出る。

「お呼びみたいね」

マミさんがモグモグと口を動かしながら肩を竦めた。
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