美食倶楽部クーラウ ~秘密は甘い罠~

米原湖子

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第2章 愉快な仲間たち

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でも……あの時の切ない顔って――神乃マネージャーの視線の先にいたのは……思い違いではないと思う。マミさんだった。もしかしたら……。

「ちょっろぉ、寧々、聞いてるぅ?」

呂律の回らないマミさんが、一生懸命恋愛論らしきものを唱えている。

「マミさん、もう飲むのは止めましょう!」

懸命に止めるが全く言うことを聞かない。

「浮気者は成敗ら!」

「やっ!」と刀を振り下ろすような動作をしたとき、テーブルの上にあったマミさんのスマートフォンがブルブルと震え始めた。どうやら電話らしい。

「もひもひ、られぇ?」『もしもし、誰?』と言っているらしい。

酔って操作を間違えたのか、スピーカー対応になっている。聞き覚えのある声がハッキリ聞こえた。

「あっ、浮気者らぁ」

マミさんがふにゃりと相互を崩す。その瞬間、ポロリと涙が零れた。
涙というのは一度流し始めると決壊したダムのよう溢れ出る。

もう話をするのも無理なようだ。
嗚咽を漏らす彼女の代わりに電話に出る。

「もしもし、お電話代わりました。私、聖天です」
〈あっ……〉

電話の向こうで息を飲むのが分かった。
二人の仲は内緒らしい。どうしようと思ったのだろう。

「あの、大丈夫です。知っていますから」と控えめに言うと、〈そっかぁ〉と神乃マネージャーが溜息を吐いた。

〈マミ、酔って言っちゃったのね〉

いや、そうではないが……そういうことにしておいたほうがスムーズに話ができそうなので何も答えなかった。
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