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第3章 事件、事件、事件
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「御影家って旧華族でね」と神乃マネージャーが説明してくれた。
「千華さんは生粋のお嬢様なの。だから、つい最近まで思い通りにならなかったことがなかったの……」
「でも、オーナーに会って狂っちゃった」
「マミ、言葉が悪いわよ。寧々ちゃん、恋に狂ったということよ」
「本当、オーナーも罪作りよね」
肩を竦めるマミさんに、神乃マネージャーは思わずというように頷いた。
「ほら、オーナーってあんな風に飄々と掴み所がないでしょう?」
「神乃マネージャーの言うとおりです。訳が分からない人です」
「でも、謎めいた男ってモテるのよねぇ」
マミさんが「でしょう?」と嫌味を込めて神乃マネージャーに確認を求める。
「だからぁ、あれは貴女にヤキモチを焼かせたくて言ったの!」
どうやら、喧嘩の原因となったあの発言のことを言っているらしい。
「分かってる」
ふふっとマミさんが笑うと、「もう!」と神乃マネージャーがマミさんを小突いた。
何だか惚気られているような気がするが……おそらく気のせいではないだろう。
「寧々ちゃんも西園寺オーナーがモテることは知っているでしょう?」
神乃マネージャーはマミさんに置いていた視線を私に向け訊ねる。
「はい。雑誌にそのようなことが」
「あんなの序の口よ」
ハエを払うようにマミさんが目の前で二度手を振った。
「オーナー目当てに店に入り込もうとする女もいるの。従業員としてね。あれは本当にメチャ迷惑」
だから女性を雇うときは特に注意をしているらしい。
余談だが、そんなわけで西園寺オーナーだけは神乃マネージャーやマミさんのマイノリティーを知っているという。さらに、店に勤める女性は既婚者か二次元を愛するオタクが多いようだ。
だから、最初私が危惧していた『西園寺オーナーと特別な間柄云々』で苛められるというのは、端っから心配に及ばなかったらしい。
「だからかぁ!」と思わず大声が出る。
あの日彼が言った、『私がいるからか?』はこれだったのだ。謎が解けた!
「ちょっと何よ大声で。ビックリさせないでよ!」
マミさんが睨む。
「とにかく、御影お嬢様も類に漏れずで、あんな風にオーナーを追い回しているってわけ」
「千華さんは生粋のお嬢様なの。だから、つい最近まで思い通りにならなかったことがなかったの……」
「でも、オーナーに会って狂っちゃった」
「マミ、言葉が悪いわよ。寧々ちゃん、恋に狂ったということよ」
「本当、オーナーも罪作りよね」
肩を竦めるマミさんに、神乃マネージャーは思わずというように頷いた。
「ほら、オーナーってあんな風に飄々と掴み所がないでしょう?」
「神乃マネージャーの言うとおりです。訳が分からない人です」
「でも、謎めいた男ってモテるのよねぇ」
マミさんが「でしょう?」と嫌味を込めて神乃マネージャーに確認を求める。
「だからぁ、あれは貴女にヤキモチを焼かせたくて言ったの!」
どうやら、喧嘩の原因となったあの発言のことを言っているらしい。
「分かってる」
ふふっとマミさんが笑うと、「もう!」と神乃マネージャーがマミさんを小突いた。
何だか惚気られているような気がするが……おそらく気のせいではないだろう。
「寧々ちゃんも西園寺オーナーがモテることは知っているでしょう?」
神乃マネージャーはマミさんに置いていた視線を私に向け訊ねる。
「はい。雑誌にそのようなことが」
「あんなの序の口よ」
ハエを払うようにマミさんが目の前で二度手を振った。
「オーナー目当てに店に入り込もうとする女もいるの。従業員としてね。あれは本当にメチャ迷惑」
だから女性を雇うときは特に注意をしているらしい。
余談だが、そんなわけで西園寺オーナーだけは神乃マネージャーやマミさんのマイノリティーを知っているという。さらに、店に勤める女性は既婚者か二次元を愛するオタクが多いようだ。
だから、最初私が危惧していた『西園寺オーナーと特別な間柄云々』で苛められるというのは、端っから心配に及ばなかったらしい。
「だからかぁ!」と思わず大声が出る。
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