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第3章 事件、事件、事件
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〈聖天寧々!〉
それから三日後、久し振りに西園寺オーナーの声がスピーカーから聞こえた。
「あら? お戻りのようよ。いよいよ試食かしら?」
マミさんがワクワクしながら南瓜サラダをパクリと口に入れた。
「これってサラダというよりスイーツに近い味ですよね」
スプーンの上に載った最後のひと匙から微かにラム酒の香りがする。まるで南瓜のケーキだ。和えてあるヒマワリの種に塩気が付いているからか、それがアクセントになりより味わい深い。
〈聖天寧々、早く来い!〉
再び聞こえた呼び出しの声に、「のんびり食べてないで、さっさと行った方がいいよ」とマミさんが追い立てる。
ゴクリと飲み込み、お冷で口を潤し「ご馳走様でした」と手を合せる。
「ほらほら、後片付けはやっておくから」
そこまで言われてようやく重い腰を上げる。そして、「よろしくです」と言ってオーナーの部屋に向かい、いつものように深呼吸をしてノックする。すぐに「入れ」の声がドアの向こうから聞こえた。
中に入ってすぐ立ち止まる。樫野チーフと神乃マネージャーが、揃って西園寺オーナーのデスク前にいたからだ。
「後ほど参ります」
場違いな気がしてその場を辞しようとしたが、「いい、こっちに来い」と命令される。
「――はい」と返事をして渋々歩みを進めると、二人が間を開けたので仕方なくその中央に立った。すると前置きもなしに「お前はこれを知っていたか?」といきなり質問された。
「綾時、そんな言葉足らずじゃあ、寧々ちゃんも意味が分かんないよ」
樫野チーフが私の気持ちを代弁するように西園寺オーナーを諭す。その通りだ!
〈聖天寧々!〉
それから三日後、久し振りに西園寺オーナーの声がスピーカーから聞こえた。
「あら? お戻りのようよ。いよいよ試食かしら?」
マミさんがワクワクしながら南瓜サラダをパクリと口に入れた。
「これってサラダというよりスイーツに近い味ですよね」
スプーンの上に載った最後のひと匙から微かにラム酒の香りがする。まるで南瓜のケーキだ。和えてあるヒマワリの種に塩気が付いているからか、それがアクセントになりより味わい深い。
〈聖天寧々、早く来い!〉
再び聞こえた呼び出しの声に、「のんびり食べてないで、さっさと行った方がいいよ」とマミさんが追い立てる。
ゴクリと飲み込み、お冷で口を潤し「ご馳走様でした」と手を合せる。
「ほらほら、後片付けはやっておくから」
そこまで言われてようやく重い腰を上げる。そして、「よろしくです」と言ってオーナーの部屋に向かい、いつものように深呼吸をしてノックする。すぐに「入れ」の声がドアの向こうから聞こえた。
中に入ってすぐ立ち止まる。樫野チーフと神乃マネージャーが、揃って西園寺オーナーのデスク前にいたからだ。
「後ほど参ります」
場違いな気がしてその場を辞しようとしたが、「いい、こっちに来い」と命令される。
「――はい」と返事をして渋々歩みを進めると、二人が間を開けたので仕方なくその中央に立った。すると前置きもなしに「お前はこれを知っていたか?」といきなり質問された。
「綾時、そんな言葉足らずじゃあ、寧々ちゃんも意味が分かんないよ」
樫野チーフが私の気持ちを代弁するように西園寺オーナーを諭す。その通りだ!
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