美食倶楽部クーラウ ～秘密は甘い罠～

第３章 事件、事件、事件

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「大丈夫。記事は綾時が握り潰したから」
「それは、ありがとうございます」
「動じないわねぇ」

神乃マネージャーの言葉に樫野チーフが「本当、大したものだね」と感心する。

「で、お話はそれだけでしょうか？　でしたら休憩に戻らせて頂きます」
「おいおい」

お辞儀をして踵を返そうとする私を樫野チーフが慌てて引き止める。

「ここから早く立ち去りたいのは分かるけど……」

そして、口をへの字にしている西園寺オーナーにチラリと目をやった。

「でも、これからが本題なんだよ」

「はぁ」と気のない返事にピクリと西園寺オーナーの片方の眉が上がった。
それに気付いたのか神乃マネージャーがすぐさま話し出した。

「この間のあの時の話を覚えてる？　ほら、あのお嬢様の」
「はい、御影お嬢様の件ですね」
「今回は差し止めたから大丈夫だと思うけど……貴女、マークされたかも？」
「マークとはどういう意味でしょう？」

「まんまだ」と西園寺オーナーが突然口を挟んだ。

「お前はこれから私の意中の女性として追いかけられ、嫉妬され、挙げ句、刺される。だから、早く、店を辞めろ」