美食倶楽部クーラウ ~秘密は甘い罠~

米原湖子

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第3章 事件、事件、事件

26

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「――分かった。探偵社をリークしよう」

そして、舌打ち交じりだがそう言うと、佐藤君は「よかった……これでゆっくり眠れる」と安堵の息を吐き出した。

「お前はバカか!」

しかし、そうは問屋が卸さなかった。西園寺オーナーの怒号が飛ぶ。

「お前だって仲間だ。それは避けられない事実だ。他の奴ら同様、裁かれると肝に命じておくんだな」
「そんなの分かってる。それでも親父の亡霊に悩まされるよりはずっとまっしだ!」

思うに、夢に現われたのは父親だが、それは彼の深層心理が見せた戒めではないだろうか? 父親の思いを裏切り、悪に染まった自分への。彼はずっと前から足を洗いたかったのではないだろうか。

「綾時、佐藤君を目こぼしできないかな?」

樫野チーフも同じようなことを思ったのだろう。

「今までのことを全て水に流せとは言ってないけど……。せめてクーラウの件だけでも、未遂だったわけだし……陳情書? そんなのが書けないかな?」

「友宏は相変わらず甘ちゃんだな」

西園寺オーナーが呆れ眼で樫野チーフを見る。

「でもさぁ、こうやって犯人逮捕に協力的だし……海外でもあるじゃない、司法取引? そういうのだよ」

「あのなぁ」と言いながら西園寺オーナーが靴底で二回床を踏み鳴らした。

「ここは日本のクーラウだ。何が司法取引だ。訳の分からないことを言っていないで弁護士を呼べ。すぐに手続きを取る」

「でも……」と樫野チーフはブツブツと文句を言いながらもスマートフォンを取り出した。

「もしもし……」
「で? 聖天、お前の吹き出しとやらは、種も仕掛けもある手品か何かか?」

呆れたことに西園寺オーナーはまだ吹き出しに拘っていた。
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