美食倶楽部クーラウ ~秘密は甘い罠~

米原湖子

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第4章 美しい女性

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「お仕事の話はそれぐらいに」

富美乃様の視線が夏乃お嬢様に向く。

「ああ、そうだったね。だから寧々さん、食べきれないと思ったら言って下さい」
「いえ、ご心配には及びません」

即答する私に、西園寺オーナーは「お前はここの料理を舐めている」といさめる。

そういえば……と思い返す。彼は知らない。私が底なしの胃を持つことを。

「そうよ。良く食べる私でも全て食べきれなくていつも持ち帰るの。私以上に細いのに……無理しないでね」

富美乃様もどうやら痩せの大食いのようだ。だが、私の意識は富美乃様の『持ち帰る』に止まった。『実はお金持ちはケチだ』の言葉を思い出したからだ。

一見、お金持ちは湯水のようにお金を使って見えるが、実は回収可能なものに使うだけで、不必要なものには一切出さないらしい。そのことがケチだと言われる所以ゆえんだそうだ。

要するに、お金持ちはお金を『生き金』にするのが上手いということだ。だから、お金持ちになれるのだろう。京極氏 しかり、西園寺オーナー然りだ。

ふむふむと独り言ちていると、京極氏の嬉々とした声が聞こえた。

「今日も前菜からボリューム満点だね」

声に釣られ改めて円卓を見る。

これが前菜? 並べられた五種の料理に流石の私も目が点になる。そんな私に西園寺オーナーは「ほらな」と言った。確かにこれは凄い。
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