美食倶楽部クーラウ ～秘密は甘い罠～

第４章 美しい女性

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「ようこそお出で下さいました。京極様、西園寺様、お久し振りでございます」

料理が並ぶとコック姿の男性が姿を現した。オーソドックスな白い制服だが、胸に付けられたネームプレートには金色に輝く星が三つ付いていた。

「河瀬料理長、お久し振りです。今日はよろしくお願いします」
「賜りました」

深々とお辞儀をすると、「では、前菜のご説明を致します」と円卓の方に腕を伸ばし、まずピータンを指した。

「こちらは宝玉の特性醤油で味付けしたピータンでございます。万人に好まれるようにより研究を重ね、以前よりさらに食べやすく美味しくなっていると思います」

私もピータンは苦手だ。以前食べた物が硫黄臭かったからだ。でも……ここのはどんな味なんだろう。ワクワク感が止まらない。

「続いて」と河瀬料理長がその右隣を指して「豚耳と胡瓜の春雨サラダです」と言った。
豚足は食べたことがある。でも、豚耳は初めてだ。思わずゴクリと喉が鳴る。

「こちらは蒸し鶏のレタス巻きです。芝麻醤チーマージャンでお召し上がり下さい」

そして、続けて紹介されたのは、牛ハチノスを甘辛味噌で炒め煮した物だった。
見た目はグロテスクだが、こういう珍味っぽい物が意外に美味なのだ。

「最後はお馴染みの宝玉特性ザーサイです」
「これが旨いんだよ」

京極氏の弾んだ声に河瀬料理長の布袋顔がクシャリと緩む。

「ありがとうございます。ご説明は以上です。私は厨房に戻らせて頂き、さらに美味しい物を作ると致します。この後は副料理長がご説明に参ります。ごゆるりとお食事をお楽しみ下さい」

そう言って河瀬料理長がその場を後にすると、「さぁ、どんどん召し上がれ」と京極氏自らザーサイに箸を伸ばした。待ちわびていていた私も彼に倣い、目の前にある豚耳と胡瓜の春雨サラダを皿に取った。