美食倶楽部クーラウ ~秘密は甘い罠~

米原湖子

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第5章 解雇

01

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私は基本正直者なので、隠し事が得意ではない。

「ハーッ」
「十三回目」

マミさんが笑いながら指を折る。

「何がですか?」
「溜息」
「何か悩みでもあるの?」

神乃マネージャーが心配そうな顔で訊ねるが……『実は』なんて、あんなこと言えない。「いえ、ちょっと昨夜夜更かししてしまって」と誤魔化す。

「そう? ならいいけど、寧々ちゃんが食事中に他ごとを考えているなんて初めてだから」

私もこんなことは初めてだ。

富美乃様たちと食事をして一週間ほど経った。後十日もしないうちにクリスマスイブだ。

今夜は女子会と称した忘年会に参加している。
『全員参加だからね!』とマミさんが店の女子皆に命令したからだ。

会場はカラオケ居酒屋“蝶よ花よ”。マミさん曰く『女子御用達の美味なカラオケ店』だそうだ。

しかし……皆タフだ。あれだけ多忙な毎日なのに、それをものともせず飲むわ歌うわ。

『ストレスを発散しなくちゃやってらんない!』と会の言い出しっぺマミさんは言うが――。

しょっちゅう発散しているのにストレスなんて溜まるのだろうか?
溜まっているのは私だ。だが、私は飲むより歌うより、寝たい。

夜更かしというのは満更嘘ではなかった。寝れないのだ。西園寺オーナーの吹き出しがぐるぐる頭中をローテーションするから。

「ハーッ」とまた無意識に溜息が零れる。

吹き出しが視えたということは、思い入れのある食べ物が分かったということだが……。

それを伝えたら恋人役を降りてもいいのだろうか? それなら嬉しいが、と思いつつ――いやいや、西園寺オーナーに言えない、いや、言ってはいけない気がする、と思いが堂々巡りなのだ。
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