美食倶楽部クーラウ ～秘密は甘い罠～

第５章 解雇

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どうしたものかと考えた挙げ句。黙っていることにしたのだが……それが私にとって大きなストレスになってしまった。

その証拠に……できてしまったのだ。頭部に十円玉大の無毛地帯が。

この前、それは美容師によって発見された。先月はなかったのにだ。
このままいけば丸坊主になってしまう。それは嫌だ。でも……。

ハーッと溜息を吐き、「カツラって高いですか？」とマミさんに訊ねると、「クリスマスに変装でもするの？」と訊ね返された。

そうだった。先日の食事会でその話も聞かされた。

十二月に入って、西園寺関連のパーティーはもう三回も開催された。まだまだ続くそうだ。その中の一つが一風変わったもののようだ。

『毎年、クリスマスイブに開催されるパーティーなの』

富美乃様が愉しそうに告げた内容は――。

『仮装パーティーですか？』
『そう。でも、仮装をするのはゲストだけじゃないのよ。貴女たちもよ』

どうやら従業員の慰労も兼ね、富美乃様が企画したパーティーらしい。
「でもねぇ」とマミさんが困り顔になる。

「ちょっとありがた迷惑なパーティーでもあるのよね」

ビュッフェ形式のパーティーなので、フードもホールも気持ちに余裕はあるが……。

「カツラを用意しても無駄じゃない？　仮装用の衣装って自分で用意するんじゃないから」

そうなのだ。

『楽しみだわぁ。今年のテーマは“お伽の国の美女と野獣”にしたの』

何だそれと思ったが、このパーティーには夏乃お嬢様や関係者の子どもたちも参加するので、毎年メルヘンチックなテーマになるそうだ。