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第6章 再就職
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西園寺オーナーの義父と亡くなった父親は、中学生までご学友で親友だったらしい。
大財閥の息子と一般市民の息子が? という疑問はすぐに解かれた。実父の家も由緒正しい家柄だったようだ。しかし、時代の波に乗りきれず没落したという。
(父さんに命を救われた? だから僕を助けたい?)
河原で溺れかけた養父を実父が救ったらしい。
寝耳に水の話に西園寺オーナーは訝しがった。
しかし、養父の家に連れて行かれたとき、一気にその思いは払拭された。富美乃様と会ったからだ。その後、すぐに養子縁組の手続きが取られた。
だが、西園寺オーナーが養子に同意したのは富美乃様のことだけではなかった。
母親は内緒にしていたが、多額の借金があったらしい。
まだ18歳だった彼にそんな大金、返せる当てなど無かった。
――ん? 確か法的な手続きさえすれば、そんなもの背負う必要ないのでは?
当時、西園寺オーナーがそれを知らなかったとしても仕方がない。だが――。
なるほど、と吹き出しを見て分かった。
義父は敢えてそれを教えなかったのだ。後に西園寺オーナーもそのことを知った。そして、義父の真意を悟った。
養父は溺愛する一人娘が悩んでいることを知っていた。
好きな者と引き裂かれる思いも知っていた。
だから、彼は娘を一族の重圧から解いてやりたいとずっと思っていた。そんな時、訃報が届いた。親友の妻が亡くなったと。
彼は親友の息子がとても優秀なことを知っていた。そして、閃いた。その息子を養子にして西園寺を継がせようと。だから嘘を言ってでも彼を欲したのだ。
結果、義父の願いどおり、義息は西園寺を背負って立てるほど立派に育った。
(僕がいなくても京極氏が上手くやっていく!)
義父と西園寺オーナーの間に亀裂が入ったのは、富美乃様の結婚話が持ち上がったときだった。
病を患った義父は、まだ学生だった西園寺オーナーに負担をかけまいと、繋ぎのつもりで京極氏をCEOとして企業のトップに指名したのだ。
大財閥の息子と一般市民の息子が? という疑問はすぐに解かれた。実父の家も由緒正しい家柄だったようだ。しかし、時代の波に乗りきれず没落したという。
(父さんに命を救われた? だから僕を助けたい?)
河原で溺れかけた養父を実父が救ったらしい。
寝耳に水の話に西園寺オーナーは訝しがった。
しかし、養父の家に連れて行かれたとき、一気にその思いは払拭された。富美乃様と会ったからだ。その後、すぐに養子縁組の手続きが取られた。
だが、西園寺オーナーが養子に同意したのは富美乃様のことだけではなかった。
母親は内緒にしていたが、多額の借金があったらしい。
まだ18歳だった彼にそんな大金、返せる当てなど無かった。
――ん? 確か法的な手続きさえすれば、そんなもの背負う必要ないのでは?
当時、西園寺オーナーがそれを知らなかったとしても仕方がない。だが――。
なるほど、と吹き出しを見て分かった。
義父は敢えてそれを教えなかったのだ。後に西園寺オーナーもそのことを知った。そして、義父の真意を悟った。
養父は溺愛する一人娘が悩んでいることを知っていた。
好きな者と引き裂かれる思いも知っていた。
だから、彼は娘を一族の重圧から解いてやりたいとずっと思っていた。そんな時、訃報が届いた。親友の妻が亡くなったと。
彼は親友の息子がとても優秀なことを知っていた。そして、閃いた。その息子を養子にして西園寺を継がせようと。だから嘘を言ってでも彼を欲したのだ。
結果、義父の願いどおり、義息は西園寺を背負って立てるほど立派に育った。
(僕がいなくても京極氏が上手くやっていく!)
義父と西園寺オーナーの間に亀裂が入ったのは、富美乃様の結婚話が持ち上がったときだった。
病を患った義父は、まだ学生だった西園寺オーナーに負担をかけまいと、繋ぎのつもりで京極氏をCEOとして企業のトップに指名したのだ。
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