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始まりはいつも二人で

第2話

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 あれから3か月がたった。
 本を読んでもらってこの世界の情報を得ることができた。
『シュウ一旦情報をまとめよう!まず分かってのとおりこの世界は、剣と魔法の世界だ』
『そして両親が優しい!』
『この国はグラベル王国って名前。』
『家が広い!』
『魔族という敵対国がある』
『両親が美人だ!』
『魔族以外に魔物もいる』
『メイドさんの料理が美味しい!』
『他のも種族として獣人やエルフという同盟国がいる』
『部屋が広い!』
『シュウ!さっきからどうでもいいことばっかだな!』
『どうでもよくないだろ!大事なことだ!』
『それもそうだな!ただ自分たちがなんのスキル持ってるかわからないのが辛いが…』
『いつかわかるようになるといいな。』



 転生してから2年。
 俺達は成長して立てたり喋ったりできるようになったのだ!!
 それは行動範囲やコミュニケーションを広げるには大切なのだ!
 まじで足で立つって素晴らしい。
 歩くって素晴らしい。
 喋るって素晴らしい。
 どれほど歩くために頑張ったのだろうか。
 歩いたり聞いたりしてこの家のことがある程度分かった。
 まず2階建てであるということ。
 部屋は一階に応接室、料理室、食堂、風呂場、お客様が泊まる部屋2つがあった。
 二階には寝室、書斎、あと鍵がかかっている部屋がおおくあった。
 鍵がかかっている部屋は入れなかった。
 そして屋敷の庭を探索していたソウによれば、外はまぁまぁ広く最低でも4km²はあるらしい。
 あとメイドたちの寮や倉庫もあったそうだ。
「あなた達はとっても元気なのね。」
「はい。お母さま。」
「色々あって面白いです!」
「お前たちは頑張って元気に育つんだぞ!」
 お父さまもお母さまもとてもいい人です。
『この家に生まれてこれてよかったな。』
『ああそうだな。』
「そうだお母さま魔法の勉強がしたいです!」
「あらいいわよ。」
「お庭に出てらっしゃい。」
 庭に出るとお母さまは木の的に向かって魔法を撃った。
「命の源となる水よ目の前の的を射抜け」
 《ウォーターボール》
 その水はお母さまの手から出て的に撃ち出された。
「「すごい!」」
 お母さまは的を水の魔法で壊したのだ。
「ふふふ、魔法使いならこのくらいはできて一人前なのよ。」
 この世界の魔法使いって強すぎない?
「リサばっかりカッコいいところを見せて…」
 なんかお父さまがブツブツ言ってるけど?
「よしシュウとソウ俺のもみておけ!」
『……なんかお父さまやらかしそうなんだけど。』
『だな…。』
 お父さまは適当な木にむかって、「はぁっ!」っと言っていつの間にか抜いた剣を一振り!
 すると木はスパリと幹が斜めに切られたのだ。
「魔力を使って剣を振ればこのくらいはできるぞ。ただし魔力量によって威力は変わるがな。」
「「すごいけど危なくないの?」」
 揃った。
「魔力は体に纏うことで防具となるからな。あの斬撃程度なら防げるぞ。」
 あの斬撃を《程度》ってこの世界の怖すぎ…。
「シュウ、俺達もお母さまとお父さまに魔法を見せて上げよう!」
「そうだね!」
 この2年もちろん何もしなかったわけではない。
 俺達は異世界転生系の物語が好きだったから、頑張って魔法を極めようとした。
 結果は大人たちよりも魔力量が多くなってしまったのだ。
 魔力を隠すだけでも魔力を使う鍛錬になるからいい。
「ほう、じゃあまずはシュウがしてみなさい。」
「はい」
(「世界を回す風よ目の前の敵を撃て」)
 《ウィンドカッター》
 ザシュッ
「すごいわね、無詠唱だなんて…」
「ほお、斬られた木を狙ったのか。」
「はい、真ん中を狙ったのですが…」
「少しずれたがいいじゃないか、威力も申し分ない。」
 やったぁ~褒められた!
 やっぱり嬉しいな。
「ソウもやってみなさい。」
「はい」
 《ファイアーボール》
 ボッ
「なかなかいい火の勢いだ。」
「ふたりともよくやったわ。けどあなたも無詠唱なのね…。」
 ふたりとも褒められた!
「お父さま、お母さまこれだけではないですよ!」
「なに?」
 《複合魔法ファイアーカッター》
「なっ!?」
「えっ?」
「「すごいでしょ!」」
 複合魔法は単体ずつよりも威力が強いのだ。
 そして息がぴったり合わないと使えない。
「ああ、だが複合魔法も使えるのか…」
「あなた…」
「ああ」
 あれ驚いても喜んでくれない。
「どうしたの?」
「いや…なんでもない。」
 お父さまたち、なんか難しいことでも考えてるのかな?



 俺、シュベルド・ハルトの息子たちはとんでもないようだ。
 リサと俺は鍵のかけられた部屋で話していた。
「あの成長ぶり、どういうことだ?」
「どういうこと、とは?」
「どうしたらあの歳で無詠唱魔法や複合魔法が使えるんだ。」
「いつの間にかできてたわよね…。」
「どちらかだけならずっと頑張っていればできるかもしれんが…。」
「それでもすごいわね…。」
「ああこのままなにもないといいのだが。」
「ええ、本当になにもないといいのだけれども。」
 俺達の思いは果たして叶うのだろうか…。
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