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アカズキン(狼×女主/狩人×女主/ヘタレ/擬人化/ロリ)
*好きなら構わない_1
しおりを挟む「良かったな、ノエル」
「ええ。あの時飛び込んできたライガ、とてもかっこ良かったわ」
「う、煩いな! 必死だったんだよ」
「ふふ。……分かってる。……本当に有り難う」
「……おう」
あの後エミリーには、こちらが申し訳なくなるほど謝られた。
ジョンはそのまま、警察? に連れていかれた。引き渡したのは、誰でもないエミリーであった。
あまり深追いするのも不躾かと、気になったが自分からは聞かないようにしていた。が、ノエルの母にはエミリーから話が行き、母から自分も話を聞かれる形になったのだ。そこで黙っている訳にはいかなかったし、自分が理解している範囲で相槌を打った。
私が成り代わるまでのノエルに、一体何がされていたのかは分からない。だから主に、今日起こったことを淡々と、間違いが無い様に脚色もなく大袈裟にもせず事実だけを述べた。それが逆に、感情をそのせいで失ったかのように見えたのか、その日からもう呼ばれることはなかった。
エミリーは明らかに憔悴していた。普通にしていろと言う方が無理だろう。自分の夫が、まさか子どもを恋愛対象としており、結婚しているにも拘らずその実を結ぼうとした。それだけでもアウトだろうのに、そこに加えてその相手が自分の妹の娘だったのだから。
もし、自分の配偶者がそんなことをしていたと想像したら、頭が痛くなるどころか、嫌悪感でいっぱいになるだろう。……今の自分にそんな相手はいないから、例えばも例えばの話だが。
観念したらしいジョンは、全てを吐き出したそうだ。あの部屋にエミリーが気付かなかったのかと言う人もいたらしいが、どうも仕事で使っていると嘘を吐き、普段から人を寄せ付けないようにしていたらしい。エミリー曰く、『仕事から帰って来ても、繁忙期は確かにあの部屋に籠って何かをしていた。邪魔してはいけないと思ったし、触ったりして迷惑をかけてもいけないから、言われた通り開けようとすることは無かったし、気にしないようにしていた』そうだ。
……残念ながら、ジョンはあの部屋を仕事には使っていなかった。繁忙期にあの部屋に入っていたのは、仕事で疲れた自分を癒し、ストレスを発散させる為だったのだ。あの写真に囲まれた部屋で、ジョンが何をしていたのか、誰も何も言わなかった。ジョンは警察には言ったらしかったが、誰も積極的にその解を求めようとはしなかった。
エミリー本人は離婚もして、新しく人生をやり直すそうだ。
「私、見る目が無かったのね。優しい人だと思ってた。……確かに、優しくはあったけど、色々なものを隠す為の優しさだったのね」
そう言って、あの家を売り払い、落ち着くまでは空き家になっているノエルの祖母の実家に身を寄せるそうだ。
ハッキリと本人には伝えなかったが、それが良いとノイも思っていた。
「しかし、何もなくて……いや、あったけど、無事で良かったよ」
「ライガ、家の前で待っていてくれたんでしょう?」
「ち、ちがっ……! たまたま通っただけで……」
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