【完結】私は駄目な姉なので、可愛い妹に全てあげることにします

リオール

文字の大きさ
4 / 6

どうか欲しいと言って(2)

しおりを挟む
 
 
「ねえお姉様」

 考え込んでいたら突然声をかけられ、私は顔を上げた。

「なに、アイリス?」
「ガザニア様って本当に素敵よね」

 きた。
 私は期待に胸を膨らませる。
 次にアイリスが何を言うのか。それを期待して待った。

「私、ガザニア様が欲しいわ。彼と結婚したい」

 心の中でグッとガッツポーズするが、表には出さずに淡々と表情を保つ。
 私は苦笑を漏らした。

「もう、アイリスったら。何を言ってるの、ガザニア様は私と婚約してるのよ?」
「そうだけど、同じ侯爵家なんだから私でもいいでしょう?ねえお姉様、ガザニア様を私に頂戴」

 王子本人を目の前にして、よくそんな事が言えるなと呆れる。
 呆れるが、本音としては期待通りすぎる言葉に笑いが漏れそうだ。必死にこらえた結果、私の顔は無表情となる。

「そんな簡単に婚約相手は変えれないのよ?」
「どうして?私だって王子様と結婚したいわ。ねえお姉様、ガザニア様を頂戴ったら頂戴」

 愛しくも愚かな妹に、あくまで困ったわね、といったスタンスを貫いていたら、それまで黙っていたガザニア様が口を開いた。

「アイリス……僕のことが好きかい?」
「好きよ!」
「そ、そうか」

 即答にガザニア様の頬が緩む。必死に引き締めようとしてるようだが、それは成功してないと言えよう。

 馬鹿ね。
 アイリスが好きなのはあなたの肩書きだけなのに。
 王子でなければ、おそらくアイリスはガザニア様との結婚を望まない。
 なんの身分もなかったとしたら、絶対に彼を選ばない。

 だって見てきたもの。
 子供の頃から散々見てきたもの。

 ガザニア様は、アイリスの好みのタイプと真逆だから。

 それにしても、と私は思う。
 アイリスは分かってるのだろうか。

 ガザニア様は確かに今の時点では王子様だ。
 王子様ではあるが、王にはならないのだ。次期王は第一王子と決定している。
 その補佐となるならまだしも、ガザニア様は王家を出る。なぜって?残念な人だからだ。
 王立学園での成績は下の下。
 文武両道の真逆ってなんて言うのかしら?
 ……あ、無能か。

 マナーの授業も嫌い、その所作は王族とはとても思えない。今も顔を赤くしながらクッキーを貪っている。その様は実に醜い。一応整った顔をしてるけれど、それがますます残念さを際立たせていた。
 王家もその扱いに困ってるのだろうな。
 ハッキリ言って厄介者を追い出したいからこそ、男子の居ないうちと婚約させたのだ。
 つまりは厄介払いというやつ。

 その残念さを当人は理解してないし、アイリスも同じく理解していない。

 王家を出れば、ガザニア様は王子では無くなる。
 王家の血筋を持ち、関係はあるが王族ではない。
 侯爵家に養子として入り次期侯爵となる。アイリスが求めてやまない王子様では無くなるのだ。
 それをアイリスはちゃんと理解出来てるのだろうか?

 きっと理解できてないのだろうな。
 完全にお花畑脳となっている二人は、そこに無いはずの花を咲かせてウフフアハハと笑いあい、私は一人シラ~っとなるのであった。

しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

【完結】『私に譲って?』そういうお姉様はそれで幸せなのかしら?譲って差し上げてたら、私は幸せになったので良いのですけれど!

まりぃべる
恋愛
二歳年上のお姉様。病弱なのですって。それでいつも『私に譲って?』と言ってきます。 私が持っているものは、素敵に見えるのかしら?初めはものすごく嫌でしたけれど…だんだん面倒になってきたのです。 今度は婚約者まで!? まぁ、私はいいですけれどね。だってそのおかげで…! ☆★ 27話で終わりです。 書き上げてありますので、随時更新していきます。読んでもらえると嬉しいです。 見直しているつもりなのですが、たまにミスします…。寛大な心で読んでいただきありがたいです。 教えて下さった方ありがとうございます。

【完結】留学先から戻って来た婚約者に存在を忘れられていました

山葵
恋愛
国王陛下の命により帝国に留学していた王太子に付いて行っていた婚約者のレイモンド様が帰国された。 王家主催で王太子達の帰国パーティーが執り行われる事が決まる。 レイモンド様の婚約者の私も勿論、従兄にエスコートされ出席させて頂きますわ。 3年ぶりに見るレイモンド様は、幼さもすっかり消え、美丈夫になっておりました。 将来の宰相の座も約束されており、婚約者の私も鼻高々ですわ! 「レイモンド様、お帰りなさいませ。留学中は、1度もお戻りにならず、便りも来ずで心配しておりましたのよ。元気そうで何よりで御座います」 ん?誰だっけ?みたいな顔をレイモンド様がされている? 婚約し顔を合わせでしか会っていませんけれど、まさか私を忘れているとかでは無いですよね!?

【完結】「お姉様は出かけています。」そう言っていたら、お姉様の婚約者と結婚する事になりました。

まりぃべる
恋愛
「お姉様は…出かけています。」 お姉様の婚約者は、お姉様に会いに屋敷へ来て下さるのですけれど、お姉様は不在なのです。 ある時、お姉様が帰ってきたと思ったら…!? ☆★ 全8話です。もう完成していますので、随時更新していきます。 読んでいただけると嬉しいです。

【完結】私の小さな復讐~愛し合う幼馴染みを婚約させてあげましょう~

山葵
恋愛
突然、幼馴染みのハリーとシルビアが屋敷を訪ねて来た。 2人とは距離を取っていたから、こうして会うのは久し振りだ。 「先触れも無く、突然訪問してくるなんて、そんなに急用なの?」 相変わらずベッタリとくっ付きソファに座る2人を見ても早急な用事が有るとは思えない。 「キャロル。俺達、良い事を思い付いたんだよ!お前にも悪い話ではない事だ」 ハリーの思い付いた事で私に良かった事なんて合ったかしら? もう悪い話にしか思えないけれど、取り合えずハリーの話を聞いてみる事にした。

【完結】私から全てを奪った妹は、地獄を見るようです。

凛 伊緒
恋愛
「サリーエ。すまないが、君との婚約を破棄させてもらう!」 リデイトリア公爵家が開催した、パーティー。 その最中、私の婚約者ガイディアス・リデイトリア様が他の貴族の方々の前でそう宣言した。 当然、注目は私達に向く。 ガイディアス様の隣には、私の実の妹がいた── 「私はシファナと共にありたい。」 「分かりました……どうぞお幸せに。私は先に帰らせていただきますわ。…失礼致します。」 (私からどれだけ奪えば、気が済むのだろう……。) 妹に宝石類を、服を、婚約者を……全てを奪われたサリーエ。 しかし彼女は、妹を最後まで責めなかった。 そんな地獄のような日々を送ってきたサリーエは、とある人との出会いにより、運命が大きく変わっていく。 それとは逆に、妹は── ※全11話構成です。 ※作者がシステムに不慣れな時に書いたものなので、ネタバレの嫌な方はコメント欄を見ないようにしていただければと思います……。

婚約を破棄して妹と結婚?実は私もう結婚してるんです。

京月
恋愛
グレーテルは平凡だ。しかし妹は本当に同じ血が流れているのかと疑いが出るほど美人で有名だった。ある日婚約者から一言「俺はお前との婚約を破棄してお前の妹と結婚する」→「ごめんなさい、実は私もう結婚しているんです」

腹に彼の子が宿っている? そうですか、ではお幸せに。

四季
恋愛
「わたくしの腹には彼の子が宿っていますの! 貴女はさっさと消えてくださる?」 突然やって来た金髪ロングヘアの女性は私にそんなことを告げた。

処理中です...