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しおりを挟む「カエルぴょこぴょこ三ぴょこぴょこ。合わせてぴょこぴょこ六ぴょこぴょこ……」
別におかしくなったわけじゃないよ。──単にひまなんだ。前世で覚えてた早口言葉を言ってしまうくらいには!
今私が居るのは城の地下牢。貴族の罪人が入れられる牢屋だ。
おそらくは一般人が入るよりは清潔に保たれたここは、普通に寝具もお手洗いもある。小さいがテーブルと椅子なんかも。
ちゃんとした部屋だ。
──扉の代わりに格子があるのが、ちょっと普通じゃ無いけどね。あと、私の足首にはめられた足輪とそれに繋がった鎖も。
まあでも快適ではあった。ご飯もまともな物が出るし。
窓が無いから日光不足なのが辛いくらいかな~。あと退屈。
聖女に暴力を振るった罪で、私は投獄された。なんか結構な大問題らしいのよねえ。
親が面会に来て、誤解を解こうと方々を回ってくれてるようだけど、どうも成果は芳しくないようだ。
前世の世界にあった創作なら、この先にある可能性は2パターンだ。
私が処刑されるか。
もしくはざまぁして、フィリアをギャフンと言わせるか。
出来れば後者がいいんだけだ。無理ならせめて処刑はやめてね。せめて国外追放くらいにして欲しい。
そんなことを考えていたら。
突然目の前に訪問者が現れた。
──そう。格子の前とかじゃあない。目の前に、だ。
「アイシャ!!」
「うひゃあ!」
そりゃビックリするわ!思わず椅子から落ちますよ!お尻痛い!
「良かった、無事だったみたいだね!」
私のお尻は全然無事ではありませんが!?
突然目の前に現れた人物に文句を言ってやろうと思って。でも相手が誰か分かって開けた口を閉じた。
代わりに静かにその名を呼ぶ。
「ろ、ロビー?」
水色の髪に、紺とも見紛う紫の瞳を持った少年が。
世界最強と謳われる大魔法使いが。
今、目の前に現れたのであった。
「ど、どうしたんですか?」
「どうもこうも……!牢に入れられるなんて……なんて、酷い目に!どうして俺を呼ばないのさ!」
「どうしてって言われましても……」
むしろどうして呼ばねばならんのだ。
「私は罪人ですので。あまり近付かない方がいいですよ?」
ロビーの立場が悪くなっちゃいますよー。
そう言えば。
「世界最強の、大魔法使いである俺の立場、悪くなると思う?」
「思いませんねえ」
いや思わないけどね!だからって助けを求めるのはちょっとなあ……。
恩を受けてしまうと、何を返したら良いのか……考えるの恐いんですけどね。
「私は大丈夫ですから、安心して下さい」
安心してお引き取りを。
そう言おうと思った。思ったのだけど。
その前にガッシと腕を掴まれてしまった!
「ほへ?」
「まあいいや、とにかく一緒に来て!」
「ほへ!?」
何で!どうして!?説明求む!
そんな私の叫びは軽~く流されて。
視界は一瞬で一変するのだった。
瞬時に。
ロビーは私を連れて転移した。
目の前に広がる光景に。
居並ぶ人々を目にして。
白目むいてぶっ倒れかけた私は。
けして悪くない、と思います。
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