観客席の、わたし

双子のたまご

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第四章

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獅音さんは、意外とマメな人だった。




「基本的に毎日会いに行っていい?」

「…毎日はちょっと大変かも、です。」

「じゃあ毎週末。土日休みだよね?」

「…日曜は一人でゆっくりしていいですか?」

「じゃあ毎週土曜日だね。ありがとう。
電話は毎日かけていい?
出れなくてもかけ直さなくていいよ。
出れるときだけでいいよ。」

「はい…」





「デートは家?外?」

「…家はちょっと、」

「行きたいところある?僕が決める?」

「人が多すぎないところなら、どこでも。」

「分かった。」





初めは私の許容範囲を凄く探られた。
どこまでが良くて、どこからが駄目なのか。




「…もしもし。」

『もしもし、奏ちゃん?今日もお疲れさま。』

「お疲れ様です。
すみません、昨日電話出れなくて…」

『いいんだよ。
もう家にはついた?』

「はい、これからお風呂に入ろうかと。」

『そっか。
今日はどんな一日だった?』

「いつもと変わりありませんが…
あ、数学の点数がかなり伸びた生徒がいて嬉しかったです。
あと、犬を飼っているご家庭があるんですけど、そこのワンちゃんがやっと私に慣れてきてくれたんです。
うん、今日はいい日でした。」

『犬が好きなの?』

「はい。」

『じゃあ次のデートは犬カフェにしようか。』




ちょっとした会話からデート先を決める。
いつもスマートだな、慣れてるな、と思う。





「犬、可愛かったね。」

「そうですね。」

「また行こう。」

「はい。」

「…手、繋いでいい?」

「え…えっと、」

「ごめん、嫌?」

「嫌ってわけじゃなくて、」

「…もしかして照れてるの?」

「…」

「嫌じゃないなら、繋ぐね。」

「…どうぞ。」

「ふふ、可愛い。好き。」






できる限り毎日電話して
週に一回は二人でどこかに出掛けて
外を歩くときは手を繋ぎ、
彼は私に好きだと言う。




獅音さんの恋人になって、3ヶ月が過ぎた。
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