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267 いや、空手スポ根じゃない。嫁ズのためだ
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1月10日の原隣商、武道館内。
勇太は仲間と柔道部に合同練習に来たが、勇太だけ空手部スペースに移動。
空手部の大山マスコが少しだけ柔道をかじったことがあるのをルナに聞いていた。
前世でも、空手の達人・マスオーヤマという人が、投げ技を使う相手、超接近戦の打開策に柔道の練習をしていたと聞いたことがある。
だから、寝技を捨てて立ち技特化で行くときに、少しスタイルを変えようと思っている。
この世界は女子主導で何もかもが成り立っている。だから戦闘職も女子。打撃系の女性格闘家もかなりいる。
不知火マイコが花京院夏樹を助けたときに考えた。
幸いに勇太は暴力で男子獲得を狙う女子には会っていない。けれど、殴りかかってきたり、武器を使う女性もいることは事実。
だから対策する。
今のような行儀がいい柔道ばかりしていても、暴女が現れた時に対抗できない。
簡単にいえば、武道でなく暴力のスイッチに切り替える頭を持っておかなければならない。
ルナやカオルは何かあれば一緒に戦おうとする。いや、他の嫁ズ5人も、戦闘力がないのに戦うと感じている。
男女比1対12のこの世界、女性が戦って男子が無傷なら勝負は勝ちらしい。
とんでもない。
勇太的にはアウトだ。ハーレムはじめ、色んな常識を受け入れるけれど、それだけはダメだ。
自分を守って、ルナ達が大怪我するなんてあり得ない。
だから、打撃に対抗できる合気道を高めた感じの格闘技を考えている。
厳密には柔道とは別口だ。
ルナの友人で原隣商空手部の、パラレルマスコと話している。
「蹴り対策、パンチ対策を考えたいんだ」
「え、じゃあ、勇太君も蹴りとかやるの?」
勇太はマスコだけ借りたつもりだけど、空手部9人全員が練習をストップして集まってきた。
「蹴りの型は自分で練習するけど、実際には対策として覚える」
「勇太君は力ありそうだし、打撃技で戦えばいいと思う・・」
「けど、それをやったら女の子に怪我をさせちゃうでしょ」
「え?」「え?」「え?」
勇太としては、至極全うな答え。
だけどこの世界の女子からしたら、女子を守ろうと本気で考えている貴重な男子が目の前にいる。
「ゆ、勇太君って、ルナのこと、そんなに大事なんだね」
「当たり前でしょ。ルナや嫁ズに怪我させたくない、俺」
どよめいた。考え方が優しい上に、それを実践しようとしている男子がいる。
「大山さん。ちょっと相手してよ」
勇太はそのまんま構えたが、マスコから待ったがかかった。
「男子を殴れないよ~」
勇太は仕方なくフェイスガードだけ装着した。マスコはフェイスガードとナックル用のグローブ。
「じゃあ大山マスコさん、よろしく」
「押忍!」
とはいってもマスコは攻撃力特化型。そして勇太は、空手家にはいない希少な男子。
男子にボクサー、空手家、拳法家はいる。ただし、先に『自称』と付くレベル。
ボクササイズ、体操レベルで護身術になれば御の字。
その講師もいるらしいが、女性から男性に反撃などあり得ないというのが、この世界の常識。
だからマスコは受けに徹しようとしている。
「どこからでもきていいよ、勇太君」
「・・いえ、大山さんの方からお願い」
「え?」
え?え?え?と女の子達の疑問が重なっていく。
だって、練習とはいえ女子が男子を殴るなんて考えられたい。
さすがに勇太も、この不文律は知らなかった。
「じゃ、じゃあジャブから」
「よっと」
軽くマスコが手を出すと、動体視力がいい勇太が軽くいなす。
これだけでも歓声が上がった。
「ちっとやりにくいな・・」
段々とリズムを上げるマスコに合わせて、勇太も手を出した。いなされた。
相手が勇太に合わせてくれるのが大きいけれど、簡単な型のようなものができた。
ぱん、ぱぱん、ぱん、と動きがいい。
4回ほど攻防を繰り返すと、マスコのギアが上がった。初の男子との組み手が楽しくなってきた。
「おっ、すげ」
勇太がマスコの右パンチを外に弾くと、それがフェイントだった。そのまんま左のパンチが飛んできた。
勇太のフェイスガードに拳が当たった。
きゃー、と女子の悲鳴が上がったが、勇太はなるほどと思っただけ。手加減したパンチではよろけもしない。
柔道で襟を掴みにくる女子の間合いに慣れていて、接近しすぎていた。
マスコは動揺している。フェイスガードの上からとはいえ、男子を殴ってしまった。
だけど勇太は、半歩後ろに下がって続行。自分から手を出した。
「よし、この間合いでお願い」
「は、はい」
勇太としては面白いし、いい練習になった。けれど、いちいち女子のどよめきが大きい。
間合い、その他の『もしものとき』の対策は思い浮かんだ。
ただ、柔道以上に人前では練習しにくい。
勇太は仲間と柔道部に合同練習に来たが、勇太だけ空手部スペースに移動。
空手部の大山マスコが少しだけ柔道をかじったことがあるのをルナに聞いていた。
前世でも、空手の達人・マスオーヤマという人が、投げ技を使う相手、超接近戦の打開策に柔道の練習をしていたと聞いたことがある。
だから、寝技を捨てて立ち技特化で行くときに、少しスタイルを変えようと思っている。
この世界は女子主導で何もかもが成り立っている。だから戦闘職も女子。打撃系の女性格闘家もかなりいる。
不知火マイコが花京院夏樹を助けたときに考えた。
幸いに勇太は暴力で男子獲得を狙う女子には会っていない。けれど、殴りかかってきたり、武器を使う女性もいることは事実。
だから対策する。
今のような行儀がいい柔道ばかりしていても、暴女が現れた時に対抗できない。
簡単にいえば、武道でなく暴力のスイッチに切り替える頭を持っておかなければならない。
ルナやカオルは何かあれば一緒に戦おうとする。いや、他の嫁ズ5人も、戦闘力がないのに戦うと感じている。
男女比1対12のこの世界、女性が戦って男子が無傷なら勝負は勝ちらしい。
とんでもない。
勇太的にはアウトだ。ハーレムはじめ、色んな常識を受け入れるけれど、それだけはダメだ。
自分を守って、ルナ達が大怪我するなんてあり得ない。
だから、打撃に対抗できる合気道を高めた感じの格闘技を考えている。
厳密には柔道とは別口だ。
ルナの友人で原隣商空手部の、パラレルマスコと話している。
「蹴り対策、パンチ対策を考えたいんだ」
「え、じゃあ、勇太君も蹴りとかやるの?」
勇太はマスコだけ借りたつもりだけど、空手部9人全員が練習をストップして集まってきた。
「蹴りの型は自分で練習するけど、実際には対策として覚える」
「勇太君は力ありそうだし、打撃技で戦えばいいと思う・・」
「けど、それをやったら女の子に怪我をさせちゃうでしょ」
「え?」「え?」「え?」
勇太としては、至極全うな答え。
だけどこの世界の女子からしたら、女子を守ろうと本気で考えている貴重な男子が目の前にいる。
「ゆ、勇太君って、ルナのこと、そんなに大事なんだね」
「当たり前でしょ。ルナや嫁ズに怪我させたくない、俺」
どよめいた。考え方が優しい上に、それを実践しようとしている男子がいる。
「大山さん。ちょっと相手してよ」
勇太はそのまんま構えたが、マスコから待ったがかかった。
「男子を殴れないよ~」
勇太は仕方なくフェイスガードだけ装着した。マスコはフェイスガードとナックル用のグローブ。
「じゃあ大山マスコさん、よろしく」
「押忍!」
とはいってもマスコは攻撃力特化型。そして勇太は、空手家にはいない希少な男子。
男子にボクサー、空手家、拳法家はいる。ただし、先に『自称』と付くレベル。
ボクササイズ、体操レベルで護身術になれば御の字。
その講師もいるらしいが、女性から男性に反撃などあり得ないというのが、この世界の常識。
だからマスコは受けに徹しようとしている。
「どこからでもきていいよ、勇太君」
「・・いえ、大山さんの方からお願い」
「え?」
え?え?え?と女の子達の疑問が重なっていく。
だって、練習とはいえ女子が男子を殴るなんて考えられたい。
さすがに勇太も、この不文律は知らなかった。
「じゃ、じゃあジャブから」
「よっと」
軽くマスコが手を出すと、動体視力がいい勇太が軽くいなす。
これだけでも歓声が上がった。
「ちっとやりにくいな・・」
段々とリズムを上げるマスコに合わせて、勇太も手を出した。いなされた。
相手が勇太に合わせてくれるのが大きいけれど、簡単な型のようなものができた。
ぱん、ぱぱん、ぱん、と動きがいい。
4回ほど攻防を繰り返すと、マスコのギアが上がった。初の男子との組み手が楽しくなってきた。
「おっ、すげ」
勇太がマスコの右パンチを外に弾くと、それがフェイントだった。そのまんま左のパンチが飛んできた。
勇太のフェイスガードに拳が当たった。
きゃー、と女子の悲鳴が上がったが、勇太はなるほどと思っただけ。手加減したパンチではよろけもしない。
柔道で襟を掴みにくる女子の間合いに慣れていて、接近しすぎていた。
マスコは動揺している。フェイスガードの上からとはいえ、男子を殴ってしまった。
だけど勇太は、半歩後ろに下がって続行。自分から手を出した。
「よし、この間合いでお願い」
「は、はい」
勇太としては面白いし、いい練習になった。けれど、いちいち女子のどよめきが大きい。
間合い、その他の『もしものとき』の対策は思い浮かんだ。
ただ、柔道以上に人前では練習しにくい。
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