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温泉旅行
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### 温泉旅行
ハヤトが帰宅した後、カズがハヤトに尋ねた。
「新作の原稿の打ち合わせ、うまくいったのか?」
「もちろん。快くOKをくれたよ」
「そうか。なら休みも取れるよな?」
「休み?」
「あぁ、骨休めに三人で温泉にでも行こうかと思ってな。今、マサシが予約を取ってる」
ハヤトはカズの言葉に目を丸くした。
「三人で? 温泉? マサシが予約? ちょっと待てよ、今何の話をしてる?」
カズはソファに深く腰を下ろし、片眉を上げて笑った。
「今度の週末だ。新作の打ち合わせも無事に決まったって話だったろ? なら、ちょっとくらい休んでもいいだろ。オレたち、最近、息ぴったりだったし。せっかくだから、のんびりしようって話になってな」
「マサシが? マサシが温泉の予約? 冗談だろ」
「いや、本気だよ。しかも、露天風呂付きの離れを取ったって。『大人の時間』って言ってたぞ、あの男」
ハヤトは思わず吹き出した。
「マサシが『大人の時間』? そいつは笑えるな。あの男、前回の飲み会で『俺のモノ、最近デカくなってね?』とか言い出して、店中の注目浴びてたじゃんか」
「あれはあれで、自信の表れだろ。まあ、実際、ちょっとは大きくなった気もするが」
カズは平然とそう言って、自分の股間を軽く叩いた。
ハヤトは呆れながらも、思わず視線をその方向へ滑らせてしまった。
そして、慌てて顔を背ける。
「⋯⋯お前ら、またそれかよ」
「何が? 男なら、当然の話だろ。サイズは、誇りだ」
「誇りって⋯⋯お前ら、もうすぐアラサーの大人だろうが」
「だからこそだ。若い頃は適当だったけど、今はちゃんと意識してる。マサシも、最近、ストレッチやってるって言ってたぞ。『温泉で比べるとき、恥ずかしくないように』って」
「⋯⋯マジで?」
ハヤトは頭を抱えた。
「お前ら、本当にそれでいいのか? 俺たち、小説家だろ? 創作の話とか、今後の方向性とか、そういうのを温泉で語り合うもんじゃないのか?」
「もちろんそれもある。でもな、男と男の絆ってのは、言葉より、むしろそういう“実物”で測られるもんなんだよ」
カズは真剣な顔で言った。
ハヤトは、その真剣さに逆に笑いが込み上げてきた。
「⋯⋯お前、本気で言ってんの?」
「当たり前だ。マサシもそう思ってる。だから、離れにしたんだ。誰にも見られないように。純粋な比較のために」
「純粋な⋯⋯」
ハヤトは絶句した。
翌週末。
山あいの静かな温泉郷に、三人は到着した。
旅館は古き良き趣を残す木造の建物で、雪化粧をした山々が眼下に広がっていた。
離れは、小川のせせらぎが聞こえる静けさの中、ぽつんと佇んでいた。
「⋯⋯ここ、本当に大丈夫か?」
ハヤトが小声で言うと、マサシがにやりと笑った。
「もちろん。誰にも邪魔されない。完璧な環境だ」
「⋯⋯お前ら、本当にそれしか考えてないだろ」
風呂に入る前、三人はまず部屋で乾杯した。
「まあ、まずはリラックスだ。これから一晩、心ゆくまで語り合おう。仕事の話も、人生の話も、そして⋯⋯」
マサシが意味ありげに目を細める。
「そして、真の男の大きさの真実を、ここに刻もう」
「⋯⋯マジで、それしかないのかよ」
ハヤトはため息をついたが、内心では、どこか楽しみでもあった。
風呂上がり。
湯気をまとった体をタオルで拭きながら、三人は再び離れの部屋に集まった。
「さて、そろそろか?」
カズが言った。
「⋯⋯待てよ。本当にやるのか?」
ハヤトはまだ半信半疑だった。
「もちろん。約束だろ? 男の約束は、絶対だ」
マサシが真剣な眼差しで言う。
「それに、俺たち、ライバルだろ? 創作でも、プライベートでも。なら、ここはひとつ、すべてを晒して、真の勝負をしよう」
「⋯⋯お前ら、狂ってる」
だが、ハヤトも立ち上がった。
「まあ、いいか。せっかくここまで来たんだ。やるなら、やるっきゃない」
カズが笑う。
「それだ、ハヤト。覚悟を見せたな」
そして、三人は同時に、タオルを腰から外した。
部屋の中は、一瞬、静寂に包まれた。
「⋯⋯お?」
マサシがまず口を開いた。
「カズ、お前⋯⋯マジでデカくなってるな」
カズは胸を張る。
「言ったろ? ストレッチと、正しい生活習慣。あと、プロテインも毎日飲んでる」
「⋯⋯マジかよ」
ハヤトは思わず見比べてしまった。
学生の頃はまだ自分のほうがカズのモノよりは大きかった。
でも、今はどうだろう?
「いや、でも、俺も⋯⋯最近、意識してたからな」
ハヤトがそう言うと、マサシはにやりと笑った。
「じゃあ、比べてみるか。順番に並んで、客観的に評価しよう」
「⋯⋯客観的って、誰が?」
「俺が審査員だ。公平にジャッジする」
「お前が? お前のが一番小さいじゃん!」
「それは偏見だ! サイズより、存在感だ。存在感!」
マサシは声を張り上げた。
結局、三人は壁に向かって並び、カズがスマホで横からの写真を撮った。
「⋯⋯どうだ?」
ハヤトが緊張した面持ちで聞く。
カズが画面を確認し、うなずく。
「⋯⋯カズが一番でかいな。これは認めざるを得ない」
「おおっ! 勝利の女神が微笑んだか!」
カズが拳を突き上げる。
「だがな、ハヤト。お前も悪くない。マサシよりは明らかに遥かに上だ」
「⋯⋯マジか?」
ハヤトは思わず自分のを再確認した。
「いや、でも、角度の問題じゃね? もう一回撮ろうぜ」
マサシが不服そうに言う。
「いい加減にしろよ。もう十分だろ」
ハヤトが笑いながら言う。
「それに、俺たち、本当にこんなことで一喜一憂してるのか? クリエイターとして、どうなんだよ」
「いや、でも、これも人生だろ?」
カズが肩をすくめる。
「オレたち、文字で世界を創ってるけど、男としてのプライドも、ちゃんと持ってるってことだ。それが、作品にも出る」
「⋯⋯そうか?」
「当たり前だ。読者は、無意識に作家の人間性を感じ取ってる。だからこそ、俺たちは、外見も中身も、完璧を目指す」
「⋯⋯完璧って、ちょっとオーバーだろ」
マサシがまだ納得いかない様子で、自分のを手で包みながら言った。
「でもな、俺、形はいいと思うんだよ。長さはともかく、太さと、角度。これが大事なんだよ。女心をくすぐるのは、長さより、この“存在感”だ」
「⋯⋯お前、また変な理論展開しやがって」
ハヤトが笑いながら、マサシの頭を軽く叩いた。
「まあ、でも、確かに、マサシのそれは、ちょっと上向きだな。オレのはまっすぐで、ハヤトのは⋯⋯まあ、自然なカーブか」
「⋯⋯お前ら、真剣に分析しすぎだろ!」
三人はそこで、再び笑い合った。
そして、酒を飲みながら、話は自然と仕事に戻った。
「でもな、今日のこの時間、悪くなかったよ」
ハヤトがぽつりと言った。
「俺たち、最近、原稿のことでちょっとギスギスしてたよな。でも、こうやって、素のまま話せる関係って、大事だ」
「ああ。男同士ってのは、言葉より、こういう“実”を見せ合うことで、絆が深まるもんなんだよ」
カズが言った。
「それに、オレたち、これからもライバルだし、仲間だ。大きさも、作品も、互いに高め合っていこう」
「⋯⋯お前ら、まだそれかよ」
マサシが笑いながら言う。
「まあ、でも、俺も悪くないと思ってる。次は、もっと大きくしてやる。ハヤト、お前も油断するなよ」
「⋯⋯お前ら、本当に、終わってんな」
ハヤトはそう言いながらも、心のどこかで、この関係が好きだった。
夜が更け、三人は布団に横たわり、天井を見上げた。
「⋯⋯でもさ、」
マサシがふと口を開いた。
「俺たち、本当に、女にモテてるのか? サイズとか、そんなの、女は本当に気にしてるのか?」
一瞬、静寂が落ちた。
「⋯⋯知るかよ。それにマサシは女にモテたいのか?」
カズが笑った。
「でもな、女は、自信のある男に惹かれる。サイズより、その“気”だ。オレたち、これからも、自信を持って生きてこう」
「⋯⋯それなら、まあ、いいか」
ハヤトも微笑んだ。
そして、三人は、そっと目を閉じた。
翌朝。
チェックアウトの際、女将がにこやかに言った。
「皆様、よくお休みになられましたか?」
「ええ、最高でした。特に、離れの静けさが⋯⋯」
カズが答える。
「それは何より。でも、あの⋯⋯」
女将が少し気まずそうに言った。
「お風呂の湯船に、何かの⋯⋯白い痕跡が残っておりまして⋯⋯」
「⋯⋯!」
三人は同時に顔を見合わせた。
「あ、それは⋯⋯」
「いや、誤解です! あれは、ただの⋯⋯」
「影です! 照明の影です!」
マサシが必死に弁解する。
女将は苦笑いしながら、そっと手を振った。
「まあ、いいんです。若い方々の活力は、歓迎ですよ」
三人は顔を赤くしながら、急いで旅館を後にした。
車の中。
「⋯⋯あれ、どう見ても、俺たちの“射精したモノ”の跡だろ⋯⋯」
ハヤトが呆れ顔で言う。
「でも、女将、優しかったな。怒らなかったし」
「ああ。でも、二度とあの旅館には行けないな」
カズがため息をつく。
「でも、悪くない思い出だ。オレたちの絆が、また一つ深まった」
「⋯⋯お前ら、本当に、終わってんな」
ハヤトはそう言いながら、窓の外の山々を見た。
そして、ふと、微笑んだ。
男同士の、他愛ない、でもかけがえのない時間。
それが、彼らの創作の原動力でもあった。
ハヤトが帰宅した後、カズがハヤトに尋ねた。
「新作の原稿の打ち合わせ、うまくいったのか?」
「もちろん。快くOKをくれたよ」
「そうか。なら休みも取れるよな?」
「休み?」
「あぁ、骨休めに三人で温泉にでも行こうかと思ってな。今、マサシが予約を取ってる」
ハヤトはカズの言葉に目を丸くした。
「三人で? 温泉? マサシが予約? ちょっと待てよ、今何の話をしてる?」
カズはソファに深く腰を下ろし、片眉を上げて笑った。
「今度の週末だ。新作の打ち合わせも無事に決まったって話だったろ? なら、ちょっとくらい休んでもいいだろ。オレたち、最近、息ぴったりだったし。せっかくだから、のんびりしようって話になってな」
「マサシが? マサシが温泉の予約? 冗談だろ」
「いや、本気だよ。しかも、露天風呂付きの離れを取ったって。『大人の時間』って言ってたぞ、あの男」
ハヤトは思わず吹き出した。
「マサシが『大人の時間』? そいつは笑えるな。あの男、前回の飲み会で『俺のモノ、最近デカくなってね?』とか言い出して、店中の注目浴びてたじゃんか」
「あれはあれで、自信の表れだろ。まあ、実際、ちょっとは大きくなった気もするが」
カズは平然とそう言って、自分の股間を軽く叩いた。
ハヤトは呆れながらも、思わず視線をその方向へ滑らせてしまった。
そして、慌てて顔を背ける。
「⋯⋯お前ら、またそれかよ」
「何が? 男なら、当然の話だろ。サイズは、誇りだ」
「誇りって⋯⋯お前ら、もうすぐアラサーの大人だろうが」
「だからこそだ。若い頃は適当だったけど、今はちゃんと意識してる。マサシも、最近、ストレッチやってるって言ってたぞ。『温泉で比べるとき、恥ずかしくないように』って」
「⋯⋯マジで?」
ハヤトは頭を抱えた。
「お前ら、本当にそれでいいのか? 俺たち、小説家だろ? 創作の話とか、今後の方向性とか、そういうのを温泉で語り合うもんじゃないのか?」
「もちろんそれもある。でもな、男と男の絆ってのは、言葉より、むしろそういう“実物”で測られるもんなんだよ」
カズは真剣な顔で言った。
ハヤトは、その真剣さに逆に笑いが込み上げてきた。
「⋯⋯お前、本気で言ってんの?」
「当たり前だ。マサシもそう思ってる。だから、離れにしたんだ。誰にも見られないように。純粋な比較のために」
「純粋な⋯⋯」
ハヤトは絶句した。
翌週末。
山あいの静かな温泉郷に、三人は到着した。
旅館は古き良き趣を残す木造の建物で、雪化粧をした山々が眼下に広がっていた。
離れは、小川のせせらぎが聞こえる静けさの中、ぽつんと佇んでいた。
「⋯⋯ここ、本当に大丈夫か?」
ハヤトが小声で言うと、マサシがにやりと笑った。
「もちろん。誰にも邪魔されない。完璧な環境だ」
「⋯⋯お前ら、本当にそれしか考えてないだろ」
風呂に入る前、三人はまず部屋で乾杯した。
「まあ、まずはリラックスだ。これから一晩、心ゆくまで語り合おう。仕事の話も、人生の話も、そして⋯⋯」
マサシが意味ありげに目を細める。
「そして、真の男の大きさの真実を、ここに刻もう」
「⋯⋯マジで、それしかないのかよ」
ハヤトはため息をついたが、内心では、どこか楽しみでもあった。
風呂上がり。
湯気をまとった体をタオルで拭きながら、三人は再び離れの部屋に集まった。
「さて、そろそろか?」
カズが言った。
「⋯⋯待てよ。本当にやるのか?」
ハヤトはまだ半信半疑だった。
「もちろん。約束だろ? 男の約束は、絶対だ」
マサシが真剣な眼差しで言う。
「それに、俺たち、ライバルだろ? 創作でも、プライベートでも。なら、ここはひとつ、すべてを晒して、真の勝負をしよう」
「⋯⋯お前ら、狂ってる」
だが、ハヤトも立ち上がった。
「まあ、いいか。せっかくここまで来たんだ。やるなら、やるっきゃない」
カズが笑う。
「それだ、ハヤト。覚悟を見せたな」
そして、三人は同時に、タオルを腰から外した。
部屋の中は、一瞬、静寂に包まれた。
「⋯⋯お?」
マサシがまず口を開いた。
「カズ、お前⋯⋯マジでデカくなってるな」
カズは胸を張る。
「言ったろ? ストレッチと、正しい生活習慣。あと、プロテインも毎日飲んでる」
「⋯⋯マジかよ」
ハヤトは思わず見比べてしまった。
学生の頃はまだ自分のほうがカズのモノよりは大きかった。
でも、今はどうだろう?
「いや、でも、俺も⋯⋯最近、意識してたからな」
ハヤトがそう言うと、マサシはにやりと笑った。
「じゃあ、比べてみるか。順番に並んで、客観的に評価しよう」
「⋯⋯客観的って、誰が?」
「俺が審査員だ。公平にジャッジする」
「お前が? お前のが一番小さいじゃん!」
「それは偏見だ! サイズより、存在感だ。存在感!」
マサシは声を張り上げた。
結局、三人は壁に向かって並び、カズがスマホで横からの写真を撮った。
「⋯⋯どうだ?」
ハヤトが緊張した面持ちで聞く。
カズが画面を確認し、うなずく。
「⋯⋯カズが一番でかいな。これは認めざるを得ない」
「おおっ! 勝利の女神が微笑んだか!」
カズが拳を突き上げる。
「だがな、ハヤト。お前も悪くない。マサシよりは明らかに遥かに上だ」
「⋯⋯マジか?」
ハヤトは思わず自分のを再確認した。
「いや、でも、角度の問題じゃね? もう一回撮ろうぜ」
マサシが不服そうに言う。
「いい加減にしろよ。もう十分だろ」
ハヤトが笑いながら言う。
「それに、俺たち、本当にこんなことで一喜一憂してるのか? クリエイターとして、どうなんだよ」
「いや、でも、これも人生だろ?」
カズが肩をすくめる。
「オレたち、文字で世界を創ってるけど、男としてのプライドも、ちゃんと持ってるってことだ。それが、作品にも出る」
「⋯⋯そうか?」
「当たり前だ。読者は、無意識に作家の人間性を感じ取ってる。だからこそ、俺たちは、外見も中身も、完璧を目指す」
「⋯⋯完璧って、ちょっとオーバーだろ」
マサシがまだ納得いかない様子で、自分のを手で包みながら言った。
「でもな、俺、形はいいと思うんだよ。長さはともかく、太さと、角度。これが大事なんだよ。女心をくすぐるのは、長さより、この“存在感”だ」
「⋯⋯お前、また変な理論展開しやがって」
ハヤトが笑いながら、マサシの頭を軽く叩いた。
「まあ、でも、確かに、マサシのそれは、ちょっと上向きだな。オレのはまっすぐで、ハヤトのは⋯⋯まあ、自然なカーブか」
「⋯⋯お前ら、真剣に分析しすぎだろ!」
三人はそこで、再び笑い合った。
そして、酒を飲みながら、話は自然と仕事に戻った。
「でもな、今日のこの時間、悪くなかったよ」
ハヤトがぽつりと言った。
「俺たち、最近、原稿のことでちょっとギスギスしてたよな。でも、こうやって、素のまま話せる関係って、大事だ」
「ああ。男同士ってのは、言葉より、こういう“実”を見せ合うことで、絆が深まるもんなんだよ」
カズが言った。
「それに、オレたち、これからもライバルだし、仲間だ。大きさも、作品も、互いに高め合っていこう」
「⋯⋯お前ら、まだそれかよ」
マサシが笑いながら言う。
「まあ、でも、俺も悪くないと思ってる。次は、もっと大きくしてやる。ハヤト、お前も油断するなよ」
「⋯⋯お前ら、本当に、終わってんな」
ハヤトはそう言いながらも、心のどこかで、この関係が好きだった。
夜が更け、三人は布団に横たわり、天井を見上げた。
「⋯⋯でもさ、」
マサシがふと口を開いた。
「俺たち、本当に、女にモテてるのか? サイズとか、そんなの、女は本当に気にしてるのか?」
一瞬、静寂が落ちた。
「⋯⋯知るかよ。それにマサシは女にモテたいのか?」
カズが笑った。
「でもな、女は、自信のある男に惹かれる。サイズより、その“気”だ。オレたち、これからも、自信を持って生きてこう」
「⋯⋯それなら、まあ、いいか」
ハヤトも微笑んだ。
そして、三人は、そっと目を閉じた。
翌朝。
チェックアウトの際、女将がにこやかに言った。
「皆様、よくお休みになられましたか?」
「ええ、最高でした。特に、離れの静けさが⋯⋯」
カズが答える。
「それは何より。でも、あの⋯⋯」
女将が少し気まずそうに言った。
「お風呂の湯船に、何かの⋯⋯白い痕跡が残っておりまして⋯⋯」
「⋯⋯!」
三人は同時に顔を見合わせた。
「あ、それは⋯⋯」
「いや、誤解です! あれは、ただの⋯⋯」
「影です! 照明の影です!」
マサシが必死に弁解する。
女将は苦笑いしながら、そっと手を振った。
「まあ、いいんです。若い方々の活力は、歓迎ですよ」
三人は顔を赤くしながら、急いで旅館を後にした。
車の中。
「⋯⋯あれ、どう見ても、俺たちの“射精したモノ”の跡だろ⋯⋯」
ハヤトが呆れ顔で言う。
「でも、女将、優しかったな。怒らなかったし」
「ああ。でも、二度とあの旅館には行けないな」
カズがため息をつく。
「でも、悪くない思い出だ。オレたちの絆が、また一つ深まった」
「⋯⋯お前ら、本当に、終わってんな」
ハヤトはそう言いながら、窓の外の山々を見た。
そして、ふと、微笑んだ。
男同士の、他愛ない、でもかけがえのない時間。
それが、彼らの創作の原動力でもあった。
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