汽車にて
―――照和三年、弥生月である。
帝都大学一年の樽谷 正治(たるや まさじ)は汽車のなかで、艶やかな着物を召した美人に出会う。
白い肌に切れ長の目、形の良い鼻梁とふっくらとした頬。
……それはかつての幼馴染、茶久間 三郎(さくま さぶろう)であった。
女装の旧友と語り合う話。
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