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結局眷属がいなくなり、力も大きく失ってしまったダンジョンでも冒険者や人々の糧になる相互に必要な存在である事から、“番のダンジョン”と言う呼ばれ方が定着し始めた湯原と水野のダンジョンからの援助で、ダンジョンマスターに危険が及ばない程に対処できる力を持つ召喚魔物を貸与した。
侵入者が途切れると内包魔力が無くなり召喚魔物や鉱石等の冒険者側への糧が無くなるので、安定して冒険者達が侵入できるように、番のダンジョンの1階層から各ダンジョンの1階層入り口付近に相互に飛べる転移魔方陣Cまで設置したのだ。
この情報が流れると確実に番のダンジョン1階層への転居希望は殺到し、残念ながら今のメンバーでは裁けないと受付側ではヒカリから、1階層の管理を任せている側からはジッタから泣きの連絡が来ていた。
「主様、カーリ様。今回のコッタ帝国の観光ですが、我らがダンジョンの人材不足の対策もできればと考えております。あの1階層の建屋を内包魔力で改造するのは侵入者の関係からもう不可能ですので、住民の一部に増築の依頼を出しております。出来上がる頃に、受付と1階層管理業務の増員が完了できるのが最良です。時間的にも、情報が流れるのと同じくらいで建屋の増築は完成できそうです」
「受付ってさ、住民の登録と冒険者活動の説明でしょ?あ、そう言えば未だに素材って近くの村のギルドに納めているんだっけ?」
「そうです、主様」
「そっか。じゃあ当初の構想通りにあの建屋にギルドが入ってくれれば良いね。でも、あの村の職員のような人は御免だ」
「それは当然ですよ、セーギ君。イーシャちゃんとプリマちゃんから回復薬を奪おうとする人達なんて、絶対にダメです」
「「ありがとうなの!」」
こう話しながらも美智のダンジョンを出てコッタ帝国の町を歩いている湯原達。
少し前に神保も自らのダンジョンに戻ったのだが、インキュバスにおんぶしてもらって移動していった。
ラスリ王国に来るときも同じようにしていたらしく、確かにそうでなければあの距離をレベル1であるダンジョンマスターの神保が一日で来られるわけがないと納得した湯原達。
少々情けない格好だとは少しだけ思っても口にはしなかった。
「じゃあさ、仕事を始めに終わらせようか?」
「そうですね。先ずはこの町のギルドの人達の人柄が知りたいですね」
眷属に頼めば一発なのだが、観光も兼ねて自分達で行きたい気持ちがあるのだと理解しているハライチ達は異を唱えずに、主である二人について行く。
「わぁ~、村のギルドよりもとっても大きいなの!」
「そうなの。王都のギルドよりも大きいかもしれないなの」
帝都のギルドに入ると、何度もギルドに行った事のあるイーシャとプリマが率直な感想を漏らす。
「そうなんだ。確かに広いよね。でも混雑している感じはしないし……」
「お?兄ちゃん達、随分と大勢だが新入りか?少し前にダンジョンの戦闘があっただろ?それで近くの美智のダンジョンや神保のダンジョン、弦間のダンジョンは暫く危険だと判断されて、今噂になっているラスリ王国の番のダンジョンに大勢が向かったんだよ。だから人がいないけど、前までは結構混んでいたんだぜ」
「そうなんですか?情報ありがとうございます」
確かに言われれば、空いていると言うよりも寂しいと言う感じがしないでもない。
「そうだ!ギルドって国とは繋がっていないけど、基本的には一つの国の中で纏まって成果を出しているんだよね?」
「その通りです、主様」
「じゃあさ、このコッタ帝国のギルドから派遣してもらえれば、このギルドの収益になるから人数が減った補填になるのかな?」
微笑みながら頷くハライチ。
「流石はセーギ君。そうしましょう!寂しくなってしまった原因の一端は私達にもありますし……」
「では、私が交渉してまいります」
主二人の希望を叶えるべく、ハライチが受付に向かう。
何かを話しているのだが、レベル1の湯原と水野には聞こえないが、傍にいるレインとデルから教えてもらっている。
今回神保の件が落ち着いた事によって、兼ねてから決めていた湯原と水野がダンジョンマスターである事を明かすと言う決意を明確にしていたので、その旨を受付に伝えているらしいのだが、当然の如く信じてもらえないようだ。
しかし冷静に考えれば、奴隷紋のない<淫魔族>と鑑定できないこの場の眷属達と幼いイーシャとプリマ、そしてレベル1の二人がいれば普通の存在ではない事は理解できたようだ。
「ギルドマスターと面会できるようです」
湯原と水野の元に戻ってきたハライチに告げられ、直後に受付側から呼ばれて全員で向かう。
「こちらになります」
THEギルドマスターの部屋と言う、武骨な部屋に案内される湯原と水野達。
侵入者が途切れると内包魔力が無くなり召喚魔物や鉱石等の冒険者側への糧が無くなるので、安定して冒険者達が侵入できるように、番のダンジョンの1階層から各ダンジョンの1階層入り口付近に相互に飛べる転移魔方陣Cまで設置したのだ。
この情報が流れると確実に番のダンジョン1階層への転居希望は殺到し、残念ながら今のメンバーでは裁けないと受付側ではヒカリから、1階層の管理を任せている側からはジッタから泣きの連絡が来ていた。
「主様、カーリ様。今回のコッタ帝国の観光ですが、我らがダンジョンの人材不足の対策もできればと考えております。あの1階層の建屋を内包魔力で改造するのは侵入者の関係からもう不可能ですので、住民の一部に増築の依頼を出しております。出来上がる頃に、受付と1階層管理業務の増員が完了できるのが最良です。時間的にも、情報が流れるのと同じくらいで建屋の増築は完成できそうです」
「受付ってさ、住民の登録と冒険者活動の説明でしょ?あ、そう言えば未だに素材って近くの村のギルドに納めているんだっけ?」
「そうです、主様」
「そっか。じゃあ当初の構想通りにあの建屋にギルドが入ってくれれば良いね。でも、あの村の職員のような人は御免だ」
「それは当然ですよ、セーギ君。イーシャちゃんとプリマちゃんから回復薬を奪おうとする人達なんて、絶対にダメです」
「「ありがとうなの!」」
こう話しながらも美智のダンジョンを出てコッタ帝国の町を歩いている湯原達。
少し前に神保も自らのダンジョンに戻ったのだが、インキュバスにおんぶしてもらって移動していった。
ラスリ王国に来るときも同じようにしていたらしく、確かにそうでなければあの距離をレベル1であるダンジョンマスターの神保が一日で来られるわけがないと納得した湯原達。
少々情けない格好だとは少しだけ思っても口にはしなかった。
「じゃあさ、仕事を始めに終わらせようか?」
「そうですね。先ずはこの町のギルドの人達の人柄が知りたいですね」
眷属に頼めば一発なのだが、観光も兼ねて自分達で行きたい気持ちがあるのだと理解しているハライチ達は異を唱えずに、主である二人について行く。
「わぁ~、村のギルドよりもとっても大きいなの!」
「そうなの。王都のギルドよりも大きいかもしれないなの」
帝都のギルドに入ると、何度もギルドに行った事のあるイーシャとプリマが率直な感想を漏らす。
「そうなんだ。確かに広いよね。でも混雑している感じはしないし……」
「お?兄ちゃん達、随分と大勢だが新入りか?少し前にダンジョンの戦闘があっただろ?それで近くの美智のダンジョンや神保のダンジョン、弦間のダンジョンは暫く危険だと判断されて、今噂になっているラスリ王国の番のダンジョンに大勢が向かったんだよ。だから人がいないけど、前までは結構混んでいたんだぜ」
「そうなんですか?情報ありがとうございます」
確かに言われれば、空いていると言うよりも寂しいと言う感じがしないでもない。
「そうだ!ギルドって国とは繋がっていないけど、基本的には一つの国の中で纏まって成果を出しているんだよね?」
「その通りです、主様」
「じゃあさ、このコッタ帝国のギルドから派遣してもらえれば、このギルドの収益になるから人数が減った補填になるのかな?」
微笑みながら頷くハライチ。
「流石はセーギ君。そうしましょう!寂しくなってしまった原因の一端は私達にもありますし……」
「では、私が交渉してまいります」
主二人の希望を叶えるべく、ハライチが受付に向かう。
何かを話しているのだが、レベル1の湯原と水野には聞こえないが、傍にいるレインとデルから教えてもらっている。
今回神保の件が落ち着いた事によって、兼ねてから決めていた湯原と水野がダンジョンマスターである事を明かすと言う決意を明確にしていたので、その旨を受付に伝えているらしいのだが、当然の如く信じてもらえないようだ。
しかし冷静に考えれば、奴隷紋のない<淫魔族>と鑑定できないこの場の眷属達と幼いイーシャとプリマ、そしてレベル1の二人がいれば普通の存在ではない事は理解できたようだ。
「ギルドマスターと面会できるようです」
湯原と水野の元に戻ってきたハライチに告げられ、直後に受付側から呼ばれて全員で向かう。
「こちらになります」
THEギルドマスターの部屋と言う、武骨な部屋に案内される湯原と水野達。
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