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1章:癒しを求めたはずが

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 スーザンさんからキルギスさんへと、少しは街中で遊んではどうかと提案されてそうしようとなったのはいいんだけど…

「何か見てみたいものとかあるだろうか?」

 そう聞かれて、困ってしまった。旅行なら、特産物とか観光名所とか行きたい理由とかあるから行くんだし…この世界の事全くわからないから、見てみたい物と言われても。と、悩んでいたらスーザンさんが助けてくれた。

「元の世界に戻るつもりなら、何か買っても持ち帰れないだろうし、見どころのある所と言ってもここからは遠いんだから、美味しい物でも食べればいいんじゃないかな」

 国でも大きな領地という事もあって、様々な物は勿論、料理も集まっているのだとか。
 確かにそれはありかも。キャンプからの帰りのお昼ご飯は、キャンプ場近くの料理屋さんで食べたりするし。

「では、神殿…スキルを調べた後で屋台にでも行こうか。しっかりした店でもいいんだが…どうしても味が偏る」

 屋台の方が楽しめるとあいつも言っていたという。あいつというのはあれよね、日本人の人よね。
 どこかの店に入ってもいいんだろうけど、多分多国籍料理屋という程ではないんだろう。あとはまあ…テーブルマナーなんか分からないしね。
 昨日今日の機関の食事では、ナイフとフォークという見知った物で食べられたけど…フォークは2又だったしね。果物用とかで見たことあったけど、サイズが違うし後はナイフしかないしで、それで食べたわよ。
 …今は箸があるけども。もしやこれもその日本人の影響か。



 という事で…神殿でスキルを調べて貰いました。調べると言っても、個室に通されて、その個室に備え付けられていた女神像の手の上にある球体に触れるだけなんだけどね。
 一応、立ち合いとしてキルギスさんが付いてくれてたけど、これもしきたりというか決まりなのだそうで。
 スキルをみて発狂する人とか、逆にテンション高くなって魔法を使い始めちゃう人とか。そういう問題を初期で何とかする為に誰かが付いておくものらしい。
 神殿の人ではなく、キルギスさんなのは…神殿の人も買収される可能性がない訳ではないのだそうで…コワイ。
 まあ、スキルに関しては、他人に見えない様なんだけど、ほら、これってどんなスキルなのか気になって聞いちゃったりするじゃない。そこから囲い込みが始まる、らしい。


 それはともかくとして球体に触れると頭に流れ込んでくる声。電話のガイダンスみたいな声で、スキルが読み上げられるけど…マジックバックは∞とか…え、怖い。時間停止もついてるらしいけど、多分それは普通なんだろうなぁ。だって、そうじゃないとキルギスさん曰く、僻地への任務とか、荷物運びとかで腐っちゃうもんね。
 算術S+とか、言語翻訳、属性魔法A+に、生活魔法B-とか…八方美人とかまであるんだけど、ちょっとイラっとする。え、八方美人なの、私!?
 こまごまとした物まで音声が流れて、だるくなってきた所で…世界の垣根を超越した者…って、まさかのリュック持ち込めたアレかな…戦闘機持ち込めるのか…?というか、するっと聞き逃すところだったよ!?
 これ、かなり重要なモノじゃないのか!?
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