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1章:癒しを求めたはずが

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 以上。というガイダンスが終わると、もう一度確認しますかという音声が流れて、いいえ。とおもわず頭の中で答えてしまったわ。うん、終わったら手を離せばいいとはキルギスさんに言われてたのにね。
 手を離してキルギスさんの方へと向けば、心配そうな顔をしていた。

「どうだったかは、聞かないでおくが…元の世界で有用なものはあったか?」
「…どう、でしょう。今の仕事もまぁまぁ合っていたんだろうなぁとは思いますけど」

 イラっとしたりムカっとしたモノもあったけど、あれか、人から指摘されるとイラっとするやつかな。自分の性格なんて考えた事ないもんなぁ。

「発狂する程のスキルがなかった様でよかったがな」
「…発狂はしませんが、イラっとはしました」

 そう零せば、笑われた。性格に関してなのは分かっているらしく、

「この機関は向き不向きなんかもあるから…入る前に必ず受けさせられるんだ。しかも、その時は上級神官が、魔法での誓約…人にスキルの内容を漏らさないという誓約をした上で、一緒に見るんだ。それで、問題があるようなら機関へは入れない」

 うわぁ…そこまでするんだ。

「秘密を心に留めておけない者や、金に釣られたりしやすい者では、守れないのでね」

 顔に出てる、といってそう言われた。うぐ…

「一先ず出よう。ここからは少し歩くし、到着しても時間的には少し早いんだが、ゆっくり見るのは丁度いい時間だろう。昼時に行くと雑多な感じになるから、選ぶのも大変になるしな」

 あー屋台とはいえ、やっぱり混雑時間とかあるのね。世界が違うからそうでもないんじゃないかなと思ったけど。

「ちなみに、何か苦手な食材とかあるだろうか。例えば香りが強い物が苦手とか」
「苦手…辛い物もある程度なら大丈夫ですし、ハーブとかも特には」

 流石に激辛に挑戦した事はないけど、からしとかワサビとかも普通の量なら問題ないし…パクチーも…大量だとちょっととは思うけど、少しならまあ。
 とはいえ、食べた事のない物もあるだろうし、ましてや世界が違うんだもの。駄目な物もあるかもしれない。

「言えば味見させてくれるから、不安ならそう言ってくれ」
「そうします」

 なんだ。味見させてくれるなら安心ね。色々な地域の食材は、住んでいた場所によっては全く食べたことがない人もいるらしい。こんな味だと思わなかった、なんて言われてトラブルになる事もあったらしく、味見OKの文化が出来たのだとか。
 なんか試食コーナーを思い浮かべてしまったわ…突飛な味の物なんかはそうそうないから、美味しくてつい買っちゃうのよねぇ。あと、食べたから買わないと。って思ってしまうという理由もある…
 どんな料理があるんだろう。お腹の限界もあるし、食べ過ぎない様に注意しないと。後は、物珍しいもの重視で!日本でも食べられるやつは、我慢!返ってからたっぷり食べればいいんだし!

 と、まだ見ぬ異世界の料理にうきうきしつつ、キルギスさんに連れられて屋台があるという場所へと向かう。
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