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1章:癒しを求めたはずが

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 ということで、到着しましたが…

「はぐれると困るから、手を繋いでいてもいいか」

 と、入り口でそう言われて、何を言われているのか分かりませんでした。いや、分かるけど…分かるけど…!!!
 このイケメンと手を繋げと!?領主が納めるこの街で、その息子と手を繋げと!?

「…駄目だろうか」
「い、いえ、その、手を繋ぐ、とか…子供かと、考えてしまって」

 実際ははずか死ぬ!どうしよう!とか、そんな事ばかり考えてましたけど!

「その、貴女の同郷の者にも子供かと言われたのだが…それ以外に手がなくてな」
「いえ、そうですよね。すみません…」

 そう言って手を差し出せば、そっと握られた。あくまでも握手っぽいつなぎ方ですよ!?流石に指を絡める恋人繋ぎじゃありませんよ!?
 それでもすごいどきどきする…顔はしゅっと整ってるけど、手は大きくて硬い。そういえば剣背負ってたし、あのクマっぽいの倒してたから、あんな剣振り回してる事を考えると当然なのかなぁ。

「このエリアはおおざっぱに言えば三角形に道が通っているんだ。ところどころに、ああやって食べるスペースもある」

 確かに、入り口で左右に分かれてたけど。今は入口から右の方に伸びる道に進んでる。

「一応料理も法則があって、こちらが変わった…というとその地域の人たちに申し訳ないんだが、郷土料理というか…アクの強い料理というか。私も問題なく食べるし、大丈夫だとは思うんだが」

 珍しい料理の方がいいかと思って。と言って、進む。確かにスパイシーな香りとか、独特なハーブの香りとかする。

「何か気になった物とかあれば言ってくれ」
「…食べたいというわけではないんですが…」
「ん?なんだ?」

 そう言って立ち止まってくれましたが…いえ、随分先なんですけどね…でっかいお肉が…こう、くるくると回されながら焼かれてまして。ちょっとインパクトが。と、それを訴える。

「ああ、あれは…魔物の肉焼きだな。日によって使う魔物肉が変わるんだが…あれは牛か、鹿か、どちらだろうな。鹿なら肉の香りが独特なんだが、ああやって焼くことで炭の香りが移っていい味になって美味しいぞ」

 炭の香り…燻製みたいなものかな。周り囲ってないけど。

「いつも昼時に合わせて焼き上がるから、何か摘まみながら行けばちょうどいい頃合いか。他に何かないか?」
「あ、じゃああれ…」

 春巻きみたいな…ライスペーパーみたいな、そんな薄い皮というか生地というか、そんなもので包まれた揚げ物があって、でも中身の色が真っ赤なのよ。野菜っぽいんだけど。

「あの赤い色ってなんですか?」
「ああ、赤い色をした芋だな。獲れる地域がかなり遠くてな日持ちはするんだが…確か、ふかして潰して…店にもよって様々なんだが、スープとか酒とかですこし伸ばしてある。あれなら癖もないし大丈夫だろう」

 そう言って、その屋台で購入。そんなに大きくなくて、本当に春巻き位のサイズ。つるつるした葉っぱに包まれて渡された。油紙はこの世界にはまだないのかな。
 屋台から少し離れてお店の邪魔にならない場所でいただきます。ほんのり甘さがあるけど…スープの味なのか、塩気もあって、これはこれでおいしい。皮もぱりぱりしてる。

「一応私のおすすめもあるんだが…試してみるか?」
「はい、お願いします」

 目に付いた物とかでもいいけど、そこまで変わった物はなさそうな感じがする。例え変わったお肉だとしても、肉になってしまったら、ねぇ…
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