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希望を後程ゆっくりと聴き取ります

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 結婚のイヤリングに、指揮権があるのだと示すと、ネルア嬢は思ってもみなかったのか茫然としてしまいましたね。

「すみません、詳しい事は後ほどきちんとお話します」
「今でもいいだろ。書類出来上がって来るまで暇だし。あとお茶」
「はいはい。かしこまりました」

 時間も経ってますし、執事へとお茶の用意と軽食を持ってくるように命令を飛ばす。すぐにカートで、パーティー会場にも出している軽食とお茶を持ってきましたね。お茶は渋みが強い物ですが、ミルクを入れると落ち着く味になる物。一息ついて話そうとはしますが…裏事情よりも。

「今話してもいいんですが…その前に、今後の事を話さねばならないのでは」
「今後、ですか?」
「ええ。まず…王太子様が書類を用意してくださるので、それをネルア嬢のご両親へ報告と許可を頂いて、サインを貰います。同じように私の両親にも、ですね」

 そう言うと、何か考えているようですが…はっとしたかとおもったら、まだ私の両親に挨拶をしていないと焦ったようですが、まあ問題ないでしょう。

「こいつの両親も、ある意味こいつの手下だしなぁ。親としての心配とかはあるだろうが、基本的に言いなりだろ?」
「確かにそうですね。なので、気にしなくて構いませんよ」
「いえ、そういう訳には…やはりきちんと挨拶はしたいですわ」
「そうですね…では、サインを貰に行った時にでも、一緒にすませればいいでしょう」

 そう提案すると、いくらか安心したようですが…それで安心してしまって大丈夫ですか?

「あ。どうせだからついでに、結婚締結をこの場で知らせればいいんじゃないの?」

 ルーヴェリア様がいい事思いついたとでもいう様に、そう言いますが…人様のパーティーを乗っ取るような事はしたくないのですが。いくら一族の者とはいえね。

「それもいいんですが…そもそもこのパーティーはうちのスウェンとネルア嬢の妹であるケニア嬢との結婚を祝うパーティーですよ。ただでさえあんたの色を出してるというのに」
「別にお前の結婚パーティーは別でやらせるし、結婚の報告もだが…名を呼ぶ許可、というか指揮権の話、するなら丁度いいし?」
「…言われてみればそうですね。ですが、パーティーをまた別でやらせる、とは…」
「お前の結婚パーティーを流れで済ますなんて、嫌だぞ?」
「ネルア嬢が嫌がるならまだしも、なんであんたが嫌がるんですか」

 本当にね。ルーヴェリア様が嫌がる意味が分かりません。まずはネルア嬢がどうしたいのか確認しましょう。

「ネルア嬢は、結婚式とパーティーどうしたいですか?」
「い、一応、夢みたいなものはあります」

 ふむ。夢、ね。それならばその夢を叶えて差し上げるべきでしょうが…今ではなく、資料等も用意したうえで、ゆっくり聞くことにします。

「では、後程それもゆっくりお伺いします。ちゃんと叶えてさしあげますので、遠慮なく言ってくださいね」

 そう言って笑いかければ、その夢をかなえられるのがうれしいのか、笑いますが…何故かぎこちないのは…ああ、あまり表情を出さないようにという貴族の教育でしょうかね。そんなもの、私はどうでもいいので、おいおいそれらも教え込みましょう。
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