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第90話:安心のスキル
しおりを挟む「でもバリンドル家に気をつけろと言われても、私は具体的にどうすれば?」
愛那の問いにナチェルが頷いて答える。
「まず、決して一人で行動しないようにして下さい。ライツ様と私が必ず傍でお守りいたします。けれど確実にお守りするにはマナ様の協力が必要です」
(えっと、常に誰かに見張られてるっていうのは勘弁して欲しいけど、ライツ様とナチェルさんならいいかな? 部屋で一人きりになるのは大丈夫みたいだし、正直よくわからないけどバリンドル家、恐そうだからここは素直に守ってもらおう!)
「協力なら任せて下さい! 全力で守ってもらいますので!」
「・・・・・・」
ナチェルのキョトンとした表情に愛那は焦る。
(しまった! 何だか言い方間違っちゃった!)
間を空けてナチェルがクスクスを笑い出したので、愛那の頬が赤くなった。
「ありがとうございます。安心しましたマナ様」
「い、いえ・・・・・・」
「マナ様の透過スキル。そのお力を使って姿を消されたら私にはどうしようもないのです」
「え? 私ナチェルさんから逃げたりしませんよ?」
ナチェルが微笑む。
「マナ様のそのスキルは、恐くもあり、安心できるものでもあります。私にとって恐いのは今お伝えたことですが、逆に安心できるのは、敵にとっても同じということ」
「・・・・・・そう、ですね。そうか。そういう意味でもこのスキルのことを隠しておくことは大事なことになりますよね」
(もし敵に捕まっても透明人間になって逃げればいいんだから。なんて便利! よし! じゃあ私のことはとりあえず大丈夫!)
愛那は笑顔で一つ頷く。
(さて・・・・・・)
そして急に真顔になった愛那がナチェルへと訊ねる。
「それじゃあ、ライツ様を狙うバリンドル家の令嬢とやらの話を詳しくお願いします」
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