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第91話:マリエル・バリンドル
しおりを挟む(ライツ様には特別な女性はいないと聞いて安心していたのに、よりによって警戒すべきバリンドル家の令嬢がライツ様を狙ってるって、全然安心出来ないから!)
愛那は正面に座るナチェルから語られる情報をジッと待つ。
いきなり話題を変えた愛那に動じることなく「わかりました」と言ってナチェルは話し始めた。
「最初に、今からする話に王太子が登場することをお許し下さい」
愛那がすぐに頷く。
王太子のことなど忘れたい、考えたくないと言っていた愛那を気遣ってのことだったが、愛那にとって今はライツのことが気になって、王太子のことなどどうでもよくなっていた。
「マリエル・バリンドル公爵令嬢。学生時、マリエル嬢はレディル殿下と同じ学年。本来ならば王家との繋がりを得たいバリンドル家ですから、マリエル嬢が狙うのはレディル殿下となるはずでした。しかし、レディル殿下がアレンジア公爵家のルーシェ嬢に幼い頃から片思いをしているというのは有名な話で・・・・・・」
「? 片思い? 婚約者なのに?」
愛那が首を傾げる。
「その当時はまだお二人は婚約していませんでしたので」
「へぇ、片思い・・・・・・」
(しかも子供の頃から? え~。そんな人とようやく結ばれて婚約したっていうのに、私の登場で別れさせられそうになったってこと?)
眉間を寄らせて愛那が小さく唸る。
「レディル殿下には、端から相手にされないということはわかりきった状況で、もう一人、一学年上にバリンドル家にとって魅力的な相手がいた。その人はレディル殿下と変わらぬ血筋と大きな魔力量を持つ人物。しかも特別な女性はいない」
「それが、ライツ様」
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