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第111話:貴族の結婚
しおりを挟む(恋愛話にならない!? やっぱり訊いちゃいけなかったんじゃ!?)
愛那が口を開いたまま両手をあちこちに彷徨わせ、あわあわしていると、それを見たナチェルがクスリと笑った。
「落ち着いて下さい。大丈夫ですから」
そう言われた愛那は両手を膝の上に置き、顔を赤くして俯いた。
(恥ずかしい! 取り乱しちゃったよ・・・・・・)
「別にモランと結婚することに不満があるわけではないのです。ただ・・・・・・」
「ただ?」
「そこに恋愛感情があるかと問われると、困ってしまうだけで」
愛那が首を傾げる。
「貴族の結婚では普通のことです。家同士の釣り合いを一番に考えるのは」
(・・・・・・それって二人の家が両方子爵家で、親同士の仲が良くて、同じ年の男女だから丁度いいとかそういうことですか?)
「え・・・・・・っと、じゃあ本人同士の意志じゃない、と」
「子供の頃から一緒にいますからね。貴族は18歳になれば結婚、または婚約者がいることが普通なので、そのタイミングで親から婚約の話が来たんです。それで、お互い『まあ、そうなるよな』と」
(淡白!)
愛那が口を開けていると、ナチェルが「申し訳ありません。面白くない話をしてしまって・・・・・・」と謝る。
「いいえっ! 全然! ちょっと驚いただけで!」
(そうだよね。結婚とか恋人とか、相手を選ぶのに貴族の世界は家柄重視って、そういうイメージあるよ。・・・・・・そうかぁ、そういうの好きじゃないけど、やっぱりこの世界もそうなのか・・・・・・)
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