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第112話:絶対に無理
しおりを挟む「・・・・・・ナチェルさんは、今まで好きになった人はいないんですか?」
愛那が不思議に思ったことをそのまま訊ねると、ナチェルは少しだけ考えるそぶりを見せ、答えた。
「好ましいと感じる男性なら幾人かいましたが、それが恋かと訊かれると、違うと答えますね。・・・・・・こういった所はライツ様と通じるものを感じていました。ライツ様もそういったことには興味を示されない方でしたので」
(うっ、興味がないのは困るなぁ)
「昔と違い、今は貴族の結婚観はさまざまだと言われています。結婚していても恋人を作るのは互いに暗黙の了解といったご夫婦もいらっしゃいますし、家同士の釣り合いがとれていなくても構わず結婚する場合もあります。または釣り合いのとれる家の養子に入るなどしてもらってから改めて結婚することも。まあ、初代国王であるロベリル様がハイリ様を選んだように、好きな人と結婚出来るのであればそれが一番幸せなことなのでしょう。学生時代は特に、恋愛結婚に憧れるお嬢様方はたくさんいらっしゃいましたから」
「そうなんですね・・・・・・」
(私だったら、家のためでも好きでもない男の人と結婚なんて絶対に無理。好きな人がいるならなおさら、その人以外の人に触れられるなんて・・・・・・)
ふと、自分の運命の恋人である(と思い込んでいる)王太子の顔が脳裏に浮かび、(無理無理無理無理っ!! 絶対にイヤっ!!)と愛那が首を勢いよく横に振り、驚いたナチェルが「マナ様? どうかなさいましたか!?」と声を上げた。
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