上 下
123 / 126

 第123話:恋のキューピット

しおりを挟む


「マナ!?」
「マナ様!」
 驚いたライツがすぐに片膝をついて愛那に寄り添い、その反対側はナチェルが駆け寄りライツと同じように寄り添う。
 しかし愛那は周囲に気を配るような精神状態ではなかった。
(最っ低だ・・・・・・! 最低だわ私!! 何の非もない神様に対し、何てことを言ってしまったの!!)
 勢いよく再び深く頭を下げ、愛那が謝罪を声にする。
「神様! 誤解していたとはいえ、失礼極まりないことを言ってしまい、本当に申し訳ありませんでした!」
「落ち着いて下さいマナ様」
 優しく声をかけるナチェル。
「落ち着いている場合じゃないんです! ナチェルさん!」 
 ガバッと顔を上げ、ナチェルに向かい涙目の愛那が訴える。
「私ってば・・・・・・私ってば、神様のくせにあなたの目は節穴ですか!? とか言っちゃったんですよ!?」
「え?」
 ・・・・・・・・・・・・。
 皆が唖然とする中、リオルートだけがサッと掌で口を覆い、己の声が漏れるのを防いだ。
「人の恋路を邪魔するなんて、神様だって許しませんよ。・・・・・・なんて! 何様なの私!? 馬鹿なの!? 邪魔するどころか恋のキューピットじゃない! 神様なのに!」
 それを聞いたリオルートが、体を揺らしながら笑いをこらえる。
 モランは唖然としたまま。
 ナチェルは困った表情で愛那の背をさすっている。
 そしてライツは・・・・・・。
(邪魔するどころか恋のキューピット? どういう意味だ?)
「ああっ! そうだ!」
 更に思い出した愛那が、祭壇に向かって声を上げる。
「撤回! 撤回を撤回いたします神様! さっきの撤回要求はなかったことにして下さい! 私の運命の恋人がライツ様なら何の問題もありません! むしろ大歓迎です! さすが神様! ちゃんとわかってる! 私の恋心なんかお見通しですね!」
(・・・・・・!?)


しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

婚約破棄宣言は別の場所で改めてお願いします

恋愛 / 完結 24h.ポイント:78pt お気に入り:914

ねぇ?恋は1段飛ばしでよろしいかしら

恋愛 / 完結 24h.ポイント:35pt お気に入り:1,004

婚約破棄された公爵令嬢と泥棒猫の兄

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:1,352

【完結】婚約破棄されかけた令嬢は、走る。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:277

前世の因縁は断ち切ります~二度目の人生は幸せに~

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:129,349pt お気に入り:4,367

処理中です...