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第124話:恋の相手
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ライツは愛那の言葉の意味を考える。
自分に都合のいい解釈をしていないかと疑うが、疑いようもないくらい愛那の言葉はストレートだった。
(マナが俺に恋をしている。それ以外思いつかない。・・・・・・だとしたら)
「マナ。マナには好きな男がいたんだろう? 俺の声にそっくりだという」
だからこそ時間をかけて愛那に好きになってもらうつもりだったライツは、いくらなんでも心変わりをするには早すぎるのでは? と疑問に思った。
その問いに愛那は目を見開いてライツを見る。
「えっ?」
見つめ合う二人。しかし徐々に愛那の表情があわあわと崩れはじめた。
(私! さっきライツ様に告白したも同然のこと口にしてたよね!?)
いっぱいいっぱいで言葉が出ない愛那を支えナチェルが口を開いた。
「ライツ様、誤解です」
「誤解?」
「ライツ様の声にそっくりだとういうマナ様の初恋の相手。おそらくその話はモランから聞いて知ったのでしょうが、私がマナ様自身に確認しました。恋人でも婚約者でもないそうです。しかもその相手には妻子がいて、マナ様とは一度も会ったことがないということでした」
「・・・・・・会ったこともないのに声は聞いたことがあって、初恋の相手だというのは無理がないか?」
「・・・・・・・・・・・・」
その疑問に対する答えをナチェルは持ち合わせていない。
「はい・・・・・・」
唯一答えを持つ愛那が力なく右手を挙げた。
「初恋の人というのは物語の登場人物です。私のいた世界では物語が絵になって動き、登場人物に声をあてます。声優という職業で、その人の名前は桂木孝貴といいます。ただのファンなので、好きだけど、恋ではないのです・・・・・・」
(・・・・・・うわ~ん! 説明下手すぎて、理解してもらえる気がしないっ!!)
「つまり・・・・・・」
その声に愛那がおそるおそる顔を上げてライツを見る。
「マナの恋の相手は・・・・・・俺?」
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