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箱庭世界『ヴィシュヌ』
鬼畜、ドS、俺様なひと
しおりを挟む「頑張れ~薬師。貴方そっち系からしたらどつぼにはまってますからね。それでなくても男が殆どのこの世界ですから私達の世界は。私が此処で独りで瞑想しているのも理由が有りますし、って、聞いてます? 薬師? 」
やたらと饒舌に話す弥勒は、実は男受けする美しい青年です。
その辺の宗教の女神様も真っ青、と言っても言い過ぎではない程に。
本人は、嫌だろうが『抱きたい男』No.1は彼に間違いない。
そして、多分、『抱かれたい男No.1』なんだろうな、薬師様は。
二人はどことなく顔を見合わせると、溜め息を吐いた。
「去なす相手があのじゃじゃ馬とやんちゃ坊主。何か、勝てる自信ねぇ……… 」
「頑張っ、薬師様。勝てなきゃあいつらどっちか、一方無いしは両方が混じった凪ちゃんっと、今はナディアちゃんか……… 、と交合する羽目になりますよ」
「そ・れ・は・嫌だ。ってか、ハッキリ言うなぁお前、交合って………、もう少しこう、オブラートにだな、」
「はいはい。そこんとこはどうでも良いですから、これ持ってさっさとナディアちゃんとこに帰って下さいよ」
そう言って弥勒は身に着けていたピアスを両耳から取って薬師に差し出した。
反射的に受け取って、薬師は首を傾げる。
弥勒はにんまりと笑っていた。
「コレは捕縛の鎖です。二人を捉えたら私の所へ送って下さい」
「はぁ、それは別にかまわないがどうする気だ? 」
「そりゃお仕置きですよ。私の夢を土足で踏み荒らしたのですから、それ相応の罰をね。受けて貰います。私はね、こんな見掛けですがタチなんですよ。バリバリの攻めって奴です。何か、ちまたでは鬼畜、S、俺様と三拍子揃っていると言われているそうです」
そりゃ、弥勒様も怒り心頭ですよね。
此処で、二神の結託が決まりました。
本当に馬鹿な愛染と哪吒ですよね。
薬師は初めて聞く友の性癖に、肩をすくめコッソリご愁傷様と呟いて手を合わせた。
神界では男色は普通にまかり通っている。
女人禁制であった事が殆どだったし、ましてや男ばかりの神様世界。
女性神と言えば、弁財天と鬼子母神だけですから、当然と言えば当然の成り行きなのかも知れません。
「もう嫌だもうしませんって泣いて縋っても許してあげませんから。今から楽しみです。数百年は足腰立たなくして差し上げましょうねぇ。私もそっちとはかなりご無沙汰してますから、二人相手でも楽勝ですね」
聞いてもいないのに、あぁ楽しみと話す弥勒に、薬師は、今初めて身震いした。
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