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ストーカーは今日も続く
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グッタリとした顔で私が扉を開けると、座っていたビャクが自分の隣の椅子を引いた。
「今日の客入りは異常だな。」
「大公様のおかげだよ。しばらくの間は続くかも。」
私がそう言って苦く笑うと、オデコの汗を軽く拭いてくれた。
いや待て、それ今の泥拭き取るやつじゃないか!
私が仕返しに、固定された足を蹴るとビャクは大袈裟に悲鳴を上げた。
クールな見た目とは裏腹に、結構痛がりなのだ。
あははと笑うと、恨めしそうに私を見るビャク。
「楽しんでるところ悪いが、俺はこいつに用がある。」
そう言って、私の首根っこをつまんだのは大公。
ビャクが眉を寄せて彼を睨むと、後ろのワンコくんが睨み返し、ピリッとした空気が走った。
辛辣なビャクと、横暴な大公が口論になっては恐ろしい事態に発展しかねないと思ってはいたが、どうやら先にワンコくんと喧嘩になりそうだ。
私が誤魔化すように、ビャクの顔を覗き込むと舌を打ちながらワンコくんから視線を外した。
「昨日の事を大公様にお話ししたいんだけど、目撃者はビャクだから。」
お願いできる?と笑顔で言うと、ビャクははぁと息を吐いて大公に向き直った。
「昨晩は、俺とアダムが家にいた。ちょうど俺が銃の手入れをしている最中に、隣のこいつの部屋から物音がした。」
そう言ってチラリと私を見ると、口籠って続きを言うのをやめてしまったビャク。
続けてと促せば、またため息を吐いて口を開いた。
「おそらく人数は一人、あんたの下着や服や日用品なんか盗んでった。」
アダムから伝えられなかった報告に、思わず目を見開いた。
私の反応を見て、アダムには言っていないと言うビャク。
「俺の判断だ。アンタの名誉に関わると思った。」
「私の?」
「自分の下着やらが盗まれてなに使われてるかなんて、誰かに知られたいか?」
すごむビャクに聞きたくないですと素直に答えると、呆れたようにため息を吐かれた。
確かにちょっと嫌な気もする。
私がふわっとした気分に襲われる中、大公は真剣な面持ちでビャクを見ていた。
「相手の特徴は?」
「分からん。顔を隠していたし、全身黒い服で手袋までつけていた。追ったが巻かれるし、足跡も残していなかった。」
相当慣れてると言うビャクに、私は首を傾げた。
「慣れてるなら、私が狙われてるとは限らなくない?」
「確かに、要人を狙う人物なら下ドロなんかしないっすよね。」
私の見解に乗っかってくれたワンコくん、後でパフェでも奢ってあげよう。
大公は何か考える素振りをして、ふむと唸った。
「用心に越したことはないだろう。出来るだけ早いうちにその家を引き払え。」
大公の思わぬ持ちかけに、思わず私の声が漏れた。
いやいやいや、引き払ってどうするのよ。
流石にホームレスなんてことは避けたい。
「私、一応元貴族だから野宿とか嫌なんだけど。」
「?俺の屋敷の部屋があるだろ。」
「じゃなくて、この件が片づいたら私達住む場所無くなるじゃない!」
「……なら、この件が済んだら新しい家を用意させる。」
お前らとしても、所在がバレた家じゃ安心できんだろうと、最もらしい理由をつけてきたが絶対に監視しやすいようにだ。
この後、ハジメまで丸め込まれ結局家は引き払い、しばらくの間大公邸でお世話になることになった。
「今日の客入りは異常だな。」
「大公様のおかげだよ。しばらくの間は続くかも。」
私がそう言って苦く笑うと、オデコの汗を軽く拭いてくれた。
いや待て、それ今の泥拭き取るやつじゃないか!
私が仕返しに、固定された足を蹴るとビャクは大袈裟に悲鳴を上げた。
クールな見た目とは裏腹に、結構痛がりなのだ。
あははと笑うと、恨めしそうに私を見るビャク。
「楽しんでるところ悪いが、俺はこいつに用がある。」
そう言って、私の首根っこをつまんだのは大公。
ビャクが眉を寄せて彼を睨むと、後ろのワンコくんが睨み返し、ピリッとした空気が走った。
辛辣なビャクと、横暴な大公が口論になっては恐ろしい事態に発展しかねないと思ってはいたが、どうやら先にワンコくんと喧嘩になりそうだ。
私が誤魔化すように、ビャクの顔を覗き込むと舌を打ちながらワンコくんから視線を外した。
「昨日の事を大公様にお話ししたいんだけど、目撃者はビャクだから。」
お願いできる?と笑顔で言うと、ビャクははぁと息を吐いて大公に向き直った。
「昨晩は、俺とアダムが家にいた。ちょうど俺が銃の手入れをしている最中に、隣のこいつの部屋から物音がした。」
そう言ってチラリと私を見ると、口籠って続きを言うのをやめてしまったビャク。
続けてと促せば、またため息を吐いて口を開いた。
「おそらく人数は一人、あんたの下着や服や日用品なんか盗んでった。」
アダムから伝えられなかった報告に、思わず目を見開いた。
私の反応を見て、アダムには言っていないと言うビャク。
「俺の判断だ。アンタの名誉に関わると思った。」
「私の?」
「自分の下着やらが盗まれてなに使われてるかなんて、誰かに知られたいか?」
すごむビャクに聞きたくないですと素直に答えると、呆れたようにため息を吐かれた。
確かにちょっと嫌な気もする。
私がふわっとした気分に襲われる中、大公は真剣な面持ちでビャクを見ていた。
「相手の特徴は?」
「分からん。顔を隠していたし、全身黒い服で手袋までつけていた。追ったが巻かれるし、足跡も残していなかった。」
相当慣れてると言うビャクに、私は首を傾げた。
「慣れてるなら、私が狙われてるとは限らなくない?」
「確かに、要人を狙う人物なら下ドロなんかしないっすよね。」
私の見解に乗っかってくれたワンコくん、後でパフェでも奢ってあげよう。
大公は何か考える素振りをして、ふむと唸った。
「用心に越したことはないだろう。出来るだけ早いうちにその家を引き払え。」
大公の思わぬ持ちかけに、思わず私の声が漏れた。
いやいやいや、引き払ってどうするのよ。
流石にホームレスなんてことは避けたい。
「私、一応元貴族だから野宿とか嫌なんだけど。」
「?俺の屋敷の部屋があるだろ。」
「じゃなくて、この件が片づいたら私達住む場所無くなるじゃない!」
「……なら、この件が済んだら新しい家を用意させる。」
お前らとしても、所在がバレた家じゃ安心できんだろうと、最もらしい理由をつけてきたが絶対に監視しやすいようにだ。
この後、ハジメまで丸め込まれ結局家は引き払い、しばらくの間大公邸でお世話になることになった。
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