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3話

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 アンジェリーナと初めて会ってから1週間ほどたった。公爵令嬢が自身をかばったとはいえ2年も前の平民の怪我を気にしていたとは驚いた。あれからいじめっ子たちは下手なことをして公爵にばれたら何をされるかわからないと虐めてくるのをやめたのはうれしい出来事だ。

 「けど、どこかで見たことある感じだったんだよなぁ……」

 そう、俺は初めて会ったアンジェリーナを冷静に思い返すとどこかでみたことがあるような気がしてならなった。

 「セイジュ君なにをぶつぶつ言ってるのかな?」

 「え?あぁ、モナ先生、いえ何でもないです。今日も本を貸してくれてありがとうございます」

 「っ!?いいのよぉ~、そんなこと全然気にしないで…どこかわからないところがあったら…ハァハァハァ…遠慮なくいってね?私が手取り足取り教えてあげるからぁ~ハァハァハァ」
 
 俺を見てなぜかハァハァハァと興奮し息を荒げる若くして治療院の院長をつとめるモナ先生は美人だけど優しく気さくな先生でつい甘えることもある相手だ。

 「モナ先生、魔法っていうのはこの魔法神経マーブっていうのを使うのはわかったですが誰にでもあってみんな使えるものなのですか?」

 俺はこの中世ヨーロッパのような世界でモナ先生が治癒魔法ヒールを使っているのを見て魔法が存在していることをしりそこから必死に文字を覚え本を読み魔法について調べるため先生からいろいろな本をかり読みまくりとうとう魔法関連の本を借りることに成功した。

 「あぁ、その辺はまだ難しくてわからなかったのね。マーブは誰にでもあるといわれているけどその数や強度には個体差があるの、数が多ければ魔力が多く強度が高ければより強力な魔法を使えるといわれているわ」

 「そうなんですか。そのマーブの数や強度って調べる方法はあるんですか?」

 「あるわよ?けどそれをやるのは成人の儀、18歳ときまっているの。理由は魔力などは成長期をすぎると増えたり強くなったりしないからなの」

 「なるほど」

 「ちなみにその本には書いていないけどマーブっていうのはいわば血管みたいなものでね?魔力の大元は魔力心臓マートと呼ばれていてその二つをあわせて魔力回路サーキットと呼ばれているの、だからマートの強さや大きさそれを体中に流すマーブそれぞれのバランスで魔力がきまるといわれているわ」

 「ふむふむ、なるほど」

 「セイジュ君は毎日ヒールを受けているから意識すると魔力を感じ取れるかもしれないわねぇ」

 「ほんとですか?」

 「えぇ、マートは本当の心臓の近くにあるといわれているから胸に直接流すとなおわかりやすいかもしれないわね、試してみる?」

 「ぜひ!モナ先生!お願いします!」

 「ぐっはぁっ!!」

 胸に魔力を直接流すというので俺が上着を脱いで上半身裸になるとなぜかモナ先生は吐血した。

 「大丈夫ですか先生!」

 「え、えぇ…ハァハァ…そ、それじゃあ流すわね!い、行くわよ!ハァハァ」

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 興奮したモナ先生から魔力を流してもらい数日、感じ取ることができるようになり毎日魔力を身体中に巡らせていた。
前世で読んでた異世界ものに書いていたようにマートの容量を超える魔力を使うと意識を失った。

 「いらっしゃいませ」

 「失礼いたします。不躾で申し訳ありませんがセイジュ様はいらっしゃいますか?」

 「えっとセイジュは先ほど戻ってきておりますがすいませんが、そちらは…」

 「申し遅れました。私ホルマトロ公爵家にお仕えいたしておりますセルジュと申します」

 「えっ!?大変失礼いたしました!すぐにお呼びいたしますので少々お待ちください」

 店番をしていた母が焦ったように俺の部屋にきて公爵家に何か粗相をしたのかと階段を下りながら尋ねられた。

 「大変お待たせしてしまい申し訳ございません。こちらがセイジュでございます」

 「こ、こんにちわ」

 「セイジュ様お久しぶりにございます」

 「それでこの子はどんな粗相を…」

 「え?セイジュ様は何もなさっておりませんよ?本日は当主よりこちらをお預かりしてきたのでございます」

 焦る母親に一通のきれいな封筒と紙で包まれた荷物のようなものを手渡した。

 「あのこれは…」

 「この場で読んでいただいてもよろしいですがもし字を読むのがお苦手のようでしたら内容を伝えておられますので私がご説明いたしますが」

 「あ、では…申し訳ありませんが内容をお教え願えますでしょうか」

 「はい、手紙の内容は……」

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 「準備はよろしいでしょうか」

 「は、はい…よろしくお願いいたします」

 「今からそのように硬くなられずとも大丈夫にございます。手紙にあるように本日はハスク様がアンジェリーナお嬢様よりセイジュ様の怪我の現状をお聞きになさり会ってみたいというだけですので」

 セルジュさんが公爵様からの手紙をもってきた翌日、公爵家で用意してくれた服を両親ともども着て迎えに来た馬車に乗り込んだ。お父さんは昨日の夜から緊張し寝れなかったのか目の下に尋常ではないクマをつくり冷や汗をたらしていた。基本的におかあさんもそうだが女性はやはり肝が据わるのが早いのか公爵家からのきれいな服を着れて少し嬉しそうにしていた。俺はもっか緊張により胃が痛い中、馬車は公爵家に出発した。
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