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46話
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「なんだてめぇらっ!ぐはっ!」
「何があった!」
「誰かきやがったか!」
リカルドたちは建物の中に入るとエドワードを先頭に一気に奥の部屋へと向かい見張りをしていた賊2名をエドワードが吹き飛ばし、騒ぎを聞いた賊がマチルダを背に武器を抜いて入り口から入ってくるであろうエドワード達を待ち構えた。
「マチルダ!そこにいるな?今すぐ助ける!」
「てめぇ!下手な真似したらこのちんちくりんがどうなっても知らねぇぞ!」
扉の前でリカルドが中に声をかけると焦ったような男の声が聞こえ、ちんちくりんという言葉にエドワードの表情と雰囲気が一気に変わった。
「エド、合図にあわせるんだ」
「わかっている!」
「あちゃぁ~…レオ、エドが限界だ」
「ちっ!仕方ない!準備はいいな!」
「く!来るなら気やがれ!!」
エドワードをなだめようとしたハンスが諦めるとリカルドはセイジュとエドワードに向かって声をかけたが賊はそれを突入するという脅しだと勘違いした。
「セイしくじるなよ…タイミングが遅れたら今のエドの餌食になってしまう…」
「はぁぁぁぁ!!」
「くっ!しかたない!!突入だ!」
エドワードが鎧の右肩の装甲と小手を外しドアから距離を最大限に取り姿勢を低くし槍を構えるの見てリカルドが作戦開始の合図をした。
「合図だ!」
「んぐっ!?」
「おちついて!助けに来たよ!」
「なんだてめぇ!どっから気やがった!」
合図とともに2階から飛び降り驚くマチルダを抱きかかえ、気づいた賊が驚きながらも武器を向けてきた。
「マチルダ、飛ぶから気を付けて」
部屋の外から異様な雰囲気を感じ取った俺はマチルダを抱きかかえたまま全力で2階へと飛び上がった。
「なっ!?化け物か!」
「なっ!! ぐはっ!!!」
俺が飛び上がると同時にエドワードがドアどころか周辺の壁すらも粉砕し勢いそのままに入り口に背をむけて俺に驚いていた賊を一気に吹き飛ばした。
「エドやりすぎだ!」
「セイジュ様!マチルダは無事ですか!」
「はい!」
ハンスたちの声を無視しエドワードが声をかけてきたので埃が収まったのを確認しマチルダを抱きかかえたまま1階へおり猿轡と拘束を解いた。
「お兄様!!」
「マチルダ無事か!」
「はい!それよりもアンジェリーナ様はご無事ですか?」
「ああ、アンジェは君のおかげで無事だ。マチルダありがとう」
「ほわぁ~…よかった…」
アンジェリーナの無事を知りマチルダはへなへなと床に座り込んだ。
「マチルダ様、ご無事でよかったです。アンジェリーナ様をお助けしていただきありがとうございました」
「セイジュ様!そ、そんな!アンジェリーナ様は私をご友人だとおっしゃり私のために怒ってくれたんです。私もご友人を守りたくてしただけです…結果みなさんのお手を煩わせてしまいましたが…」
「マチルダ=グラドス様」
「へ?は、はい!」
申し訳なさそうに涙目で言ったマチルダの言葉を聞いたハンスが雰囲気を変えマチルダを呼んだのに合わせ俺はハンスの斜め左横に並んで立った。
「此度の我が妹への厚い信頼と友情、そしてそれに伴った勇気ある行動…我らホルマトロ家一同、心より感謝申し上げる。またこの御恩は忘れない」
「いっ!?ハ、ハンス様!セイジュ様もそのようなことはならさらず!」
「マチルダ」
「お、お兄様!…は、はい!」
「ハンス=ホルマトロ様、並びにセージ、セイジュ様のお言葉グラドスを代表しまして感謝いたします」
あたふたするマチルダにエドワードが声をかけるとマチルダは落ち着きを取り戻し立ち上がりエドワードの隣に並ぶとエドワードがハンスに感謝の言葉を述べた。
「では、次の作戦に移ろうか…」
「ああ、見張りをやっていた者たちを連れて外へ行こう」
「ここの賊は?」
「地獄に行かねば話は聞けそうにない」
「はぁ~…エド……」
「も、申し訳ありません…」
マチルダにはとても見せれる状態ではない賊を応援隊に任せることにしたリカルドが縛り上げられ気絶している見張りをしていた賊をエドワードに運ばせ建物の外にでた。
=============================
「おまたせしました!」
「速かったなスターク」
「マチルダ!無事か!」
「お、お父様!!」
乗ってきた馬の場所で待機しているとグラドスの騎士十数名を引き連れたスタークが到着しエドワードとマチルダの父ダンが急いで馬から降りるとマチルダの安否を確認した。
「そうか…」
「ゴーダの件もあるから城に引き渡すのは避けたい」
「そうですな…今回は我が家の問題として我が家が尋問させてもらいます」
ハンスの言葉にダンが頷き目線で合図を送るとグラドスの騎士が馬車に賊を運び込んだ。
「では、私は着替えてきます」
「セイ一人で大丈夫かい?」
「はい、多分ですが貴族…しかも上級貴族が絡んでいると思われますので、顔を知られていない私がやります」
「セイはっきり言って構わないよ」
「そうですねリカルド様には申し訳ありませんがアンジェリーナ様がターゲットだったことを考えるとホーネット家のどなたかの可能性がありますからね」
「ふぅ~…そのようなことを言わずとも私がその可能性を一番うたがっているよ」
ハンスとスタークの言葉を聞きリカルドが深いため息とともに心情を吐露した。
「とりあえず…先ほどの賊の服がほしいのですが」
「うむ、すぐに用意させる」
「そうだ、マチルダ様」
「はい?なんですかセイジュ様……あっ……ありがとうございます」
「いえ、気休めになれば幸いです」
「うれしいです!ありがとうございます!」
着替えが来る前に俺はマチルダの全身にヒールをかけた。治療院で聞いた話では少し精神安定にも効果があるらしい。
「セイジュ様、心づかい感謝いたします」
「い、いえ!それよりも早くマチルダ様をホルマトロ家へお連れしてあげてください。きっとアンジェリーナ様が気が気でなく心配なさっておりますから」
「そうだな、そうしてやってくれ」
「わかりました」
俺とハンスの言葉にグラドスの騎士数名に守られながらマチルダが馬車でホルマトロ家へと向かった。
「さてさて…どのような獲物がかかるか楽しみですね」
「どのような相手でも…今宵のホルマトロとグラドス…容赦する気はないよ」
「当然です」
スタークが意味深な笑顔でいうとハンスが目を細め険吞な雰囲気へと変わるとエドワードも信念を込めた目で頷き槍をとんと地面についた。
「セイ一人でやりすぎるなよ?」
「え?はい、大丈夫です」
「ある意味一番注意しなければならないのはセイジュ様だからね」
「ええ?」
「そうですね」
「エドワード様まで…」
全員から辛辣な言葉と視線を受けながら俺はがっくりとしながら配置についた。
===============================
「作戦はうまくいったか?」
「へ、へい!中に閉じ込めてありまさぁ」
「そうか、では案内しろ」
「へい!こちらで!」
しばらくするとフードをかぶった男たち数名が現れ俺はダン率いるグラドスの騎士が待ち構える部屋へと案内した。
「こちらでさぁ」
「うむ、ごくろう…なっ!ぐはっ!」
俺が扉を開け先頭の男が部屋の中にはいりダンたちをみて驚いた隙に後ろから全開で体当たりをし男たちすべてを部屋の中に押し込むとドアを勢いよくしめた。
「セイジュ様、おわりました開けてください」
「はい!さすがですね!こんなに早く拘束するなんて!!」
「ふふっ、セイジュ様の体当たりで全員のびていたので」
「え゛…」
珍しくダンが冗談めかして言い放ち、驚いている俺をつれ外へときた。
==========================
「随分はやかったな」
「さすがはグラドスといったところですね」
俺たちを見たリカルドとスタークが少し驚いたような顔をしていたが、ハンスとエドワードはまるで分っていたかのような顔をしていた。
「さて、この者達は誰か…」
「この顔は…」
そこには俺以外が知った顔があったようだった。
「何があった!」
「誰かきやがったか!」
リカルドたちは建物の中に入るとエドワードを先頭に一気に奥の部屋へと向かい見張りをしていた賊2名をエドワードが吹き飛ばし、騒ぎを聞いた賊がマチルダを背に武器を抜いて入り口から入ってくるであろうエドワード達を待ち構えた。
「マチルダ!そこにいるな?今すぐ助ける!」
「てめぇ!下手な真似したらこのちんちくりんがどうなっても知らねぇぞ!」
扉の前でリカルドが中に声をかけると焦ったような男の声が聞こえ、ちんちくりんという言葉にエドワードの表情と雰囲気が一気に変わった。
「エド、合図にあわせるんだ」
「わかっている!」
「あちゃぁ~…レオ、エドが限界だ」
「ちっ!仕方ない!準備はいいな!」
「く!来るなら気やがれ!!」
エドワードをなだめようとしたハンスが諦めるとリカルドはセイジュとエドワードに向かって声をかけたが賊はそれを突入するという脅しだと勘違いした。
「セイしくじるなよ…タイミングが遅れたら今のエドの餌食になってしまう…」
「はぁぁぁぁ!!」
「くっ!しかたない!!突入だ!」
エドワードが鎧の右肩の装甲と小手を外しドアから距離を最大限に取り姿勢を低くし槍を構えるの見てリカルドが作戦開始の合図をした。
「合図だ!」
「んぐっ!?」
「おちついて!助けに来たよ!」
「なんだてめぇ!どっから気やがった!」
合図とともに2階から飛び降り驚くマチルダを抱きかかえ、気づいた賊が驚きながらも武器を向けてきた。
「マチルダ、飛ぶから気を付けて」
部屋の外から異様な雰囲気を感じ取った俺はマチルダを抱きかかえたまま全力で2階へと飛び上がった。
「なっ!?化け物か!」
「なっ!! ぐはっ!!!」
俺が飛び上がると同時にエドワードがドアどころか周辺の壁すらも粉砕し勢いそのままに入り口に背をむけて俺に驚いていた賊を一気に吹き飛ばした。
「エドやりすぎだ!」
「セイジュ様!マチルダは無事ですか!」
「はい!」
ハンスたちの声を無視しエドワードが声をかけてきたので埃が収まったのを確認しマチルダを抱きかかえたまま1階へおり猿轡と拘束を解いた。
「お兄様!!」
「マチルダ無事か!」
「はい!それよりもアンジェリーナ様はご無事ですか?」
「ああ、アンジェは君のおかげで無事だ。マチルダありがとう」
「ほわぁ~…よかった…」
アンジェリーナの無事を知りマチルダはへなへなと床に座り込んだ。
「マチルダ様、ご無事でよかったです。アンジェリーナ様をお助けしていただきありがとうございました」
「セイジュ様!そ、そんな!アンジェリーナ様は私をご友人だとおっしゃり私のために怒ってくれたんです。私もご友人を守りたくてしただけです…結果みなさんのお手を煩わせてしまいましたが…」
「マチルダ=グラドス様」
「へ?は、はい!」
申し訳なさそうに涙目で言ったマチルダの言葉を聞いたハンスが雰囲気を変えマチルダを呼んだのに合わせ俺はハンスの斜め左横に並んで立った。
「此度の我が妹への厚い信頼と友情、そしてそれに伴った勇気ある行動…我らホルマトロ家一同、心より感謝申し上げる。またこの御恩は忘れない」
「いっ!?ハ、ハンス様!セイジュ様もそのようなことはならさらず!」
「マチルダ」
「お、お兄様!…は、はい!」
「ハンス=ホルマトロ様、並びにセージ、セイジュ様のお言葉グラドスを代表しまして感謝いたします」
あたふたするマチルダにエドワードが声をかけるとマチルダは落ち着きを取り戻し立ち上がりエドワードの隣に並ぶとエドワードがハンスに感謝の言葉を述べた。
「では、次の作戦に移ろうか…」
「ああ、見張りをやっていた者たちを連れて外へ行こう」
「ここの賊は?」
「地獄に行かねば話は聞けそうにない」
「はぁ~…エド……」
「も、申し訳ありません…」
マチルダにはとても見せれる状態ではない賊を応援隊に任せることにしたリカルドが縛り上げられ気絶している見張りをしていた賊をエドワードに運ばせ建物の外にでた。
=============================
「おまたせしました!」
「速かったなスターク」
「マチルダ!無事か!」
「お、お父様!!」
乗ってきた馬の場所で待機しているとグラドスの騎士十数名を引き連れたスタークが到着しエドワードとマチルダの父ダンが急いで馬から降りるとマチルダの安否を確認した。
「そうか…」
「ゴーダの件もあるから城に引き渡すのは避けたい」
「そうですな…今回は我が家の問題として我が家が尋問させてもらいます」
ハンスの言葉にダンが頷き目線で合図を送るとグラドスの騎士が馬車に賊を運び込んだ。
「では、私は着替えてきます」
「セイ一人で大丈夫かい?」
「はい、多分ですが貴族…しかも上級貴族が絡んでいると思われますので、顔を知られていない私がやります」
「セイはっきり言って構わないよ」
「そうですねリカルド様には申し訳ありませんがアンジェリーナ様がターゲットだったことを考えるとホーネット家のどなたかの可能性がありますからね」
「ふぅ~…そのようなことを言わずとも私がその可能性を一番うたがっているよ」
ハンスとスタークの言葉を聞きリカルドが深いため息とともに心情を吐露した。
「とりあえず…先ほどの賊の服がほしいのですが」
「うむ、すぐに用意させる」
「そうだ、マチルダ様」
「はい?なんですかセイジュ様……あっ……ありがとうございます」
「いえ、気休めになれば幸いです」
「うれしいです!ありがとうございます!」
着替えが来る前に俺はマチルダの全身にヒールをかけた。治療院で聞いた話では少し精神安定にも効果があるらしい。
「セイジュ様、心づかい感謝いたします」
「い、いえ!それよりも早くマチルダ様をホルマトロ家へお連れしてあげてください。きっとアンジェリーナ様が気が気でなく心配なさっておりますから」
「そうだな、そうしてやってくれ」
「わかりました」
俺とハンスの言葉にグラドスの騎士数名に守られながらマチルダが馬車でホルマトロ家へと向かった。
「さてさて…どのような獲物がかかるか楽しみですね」
「どのような相手でも…今宵のホルマトロとグラドス…容赦する気はないよ」
「当然です」
スタークが意味深な笑顔でいうとハンスが目を細め険吞な雰囲気へと変わるとエドワードも信念を込めた目で頷き槍をとんと地面についた。
「セイ一人でやりすぎるなよ?」
「え?はい、大丈夫です」
「ある意味一番注意しなければならないのはセイジュ様だからね」
「ええ?」
「そうですね」
「エドワード様まで…」
全員から辛辣な言葉と視線を受けながら俺はがっくりとしながら配置についた。
===============================
「作戦はうまくいったか?」
「へ、へい!中に閉じ込めてありまさぁ」
「そうか、では案内しろ」
「へい!こちらで!」
しばらくするとフードをかぶった男たち数名が現れ俺はダン率いるグラドスの騎士が待ち構える部屋へと案内した。
「こちらでさぁ」
「うむ、ごくろう…なっ!ぐはっ!」
俺が扉を開け先頭の男が部屋の中にはいりダンたちをみて驚いた隙に後ろから全開で体当たりをし男たちすべてを部屋の中に押し込むとドアを勢いよくしめた。
「セイジュ様、おわりました開けてください」
「はい!さすがですね!こんなに早く拘束するなんて!!」
「ふふっ、セイジュ様の体当たりで全員のびていたので」
「え゛…」
珍しくダンが冗談めかして言い放ち、驚いている俺をつれ外へときた。
==========================
「随分はやかったな」
「さすがはグラドスといったところですね」
俺たちを見たリカルドとスタークが少し驚いたような顔をしていたが、ハンスとエドワードはまるで分っていたかのような顔をしていた。
「さて、この者達は誰か…」
「この顔は…」
そこには俺以外が知った顔があったようだった。
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