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78話
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「今年は一段と華やかですわねぇ」
「ふふっ、ありがとうございます。お越しいただき感謝いたしますわ」
王城での誕生祭翌日、ホルマトロ家の誕生祭にはいくつもの貴族たちがあつまりハスクやカリーナなどホルマトロ家の面々に挨拶をしにきて対応に追われていた。
「セイそっちはどうだ?」
「もうすぐやきあがります!」
そしてホルマトロ家の厨房ではセイジュとアンドレがいつものように料理にせいをだしていた。
「じゃあ、こっちを先に出すぞ…セルジュ様おねがいします!」
「かしこまりました」
生き生きとしているセイジュを見て満足げにセルジュが何人もの執事やメイドたちに料理を運ぶ指示を飛ばしていた。
「ホルマトロ家は例年よりもずっと賑やかですね」
「はぁ~…うれしいことだが出迎えからもう疲れてきたわ」
「はっはっは!皆さんホルマトロ家とお近づきになりたいでしょうし…やはりホルマトロ家といえばですからね」
「ふっ!わかっておるわ」
「まぁホルマトロ家であからさまなことはしないとは思いますがね」
「ん?ブルリック様なにをそのように楽し気にはなしておいでなのですか?」
「あぁハンス様、いやなにね…」
アメリアとともに現れたハンスにブルリックが面白そうに話の内容をつたえた。
「それはそうですね、言ってしまえばここは彼のホームみたいなものですし」
「この家のものが誰かしら見ている前でセイちゃんにそのような事があったら、その方々がおかわいそうなことになりますわ」
「ふっ!アメリアの言う通りだな」
「はははは…」
一瞬殺気のようなものをたぎらせたアメリアと近くで話を聞いていたメイドたちの力強くうなずく姿をみてブルリックが乾いた笑いをうかべた。
「セイジュ様そろそろ会場のほうへお顔出しをお願いいたします」
「え?もうそんな時間ですか!」
「セイこっちは大丈夫だ!あとはまかせろ!」
「はい!」
リコーが迎えに来てセイジュは会場へと向かった。
「セイ、こちらですわ」
「アンジェリーナ様おまたせして」
「セイジュ様少々おまちを、ネクタイがまがっておいでです」
「あ、すみませんありがとうございます」
「いえ」
「…………」
リコーがネクタイの曲がりをなおし見上げる形で笑顔で話しているのははたから見ると笑顔でイチャイチャしながら見つめあっているようでアンジェリーナは驚いた顔をしていた。
「おませていたしました……ん?アンジェリーナ様どうなさいましたか?」
「いえ、なんでもありませんわ。まいりましょう」
セイジュに声をかけられ我に返ったアンジェリーナがセイジュと腕を組み会場へと向かった。
「うわぁ……例年よりだいぶ多いですね……」
「ふふっ、大丈夫ですわ。皆さんセイと私達を興味本位で見に来た方々ですから適当にあしらっておけばよいですわ」
「そうはいってもですね」
「対応は私がしますわ、セイは私の夫なのですから堂々と隣に立っていてくれればよいですわ」
「え?」
「なにか?」
「いえ、改めてアンジェリーナ様ご本人から面と向かって言われると急に実感して緊張してしまいますね」
「え?!……もぅ!いきますわよ」
「は、はい」
さらっと何事もなく夫と言われ急に照れだしたセイジュを見てアンジェリーナも顔を赤くしながらも咳ばらいを一つして二人は会場の中へと進んでいった。
「セイ様もう!おそいです!」
「メリダ様申し訳ありません」
会場に入るとすぐにセイジュをみつけたメリダが近づき満面の笑みで開いているほうの腕に抱き着くのを慣れた様子で受け止め笑顔であやまるセイジュに先ほどまでメリダと話していた人々が驚きの表情をうかべていたが、その後マーリンやカリンそしてマチルダもセイジュの元へ笑顔で寄ってきてセイジュは一人一人に柔らかな笑顔で全員に変わらぬ態度で接していることで参加していた貴族の人々は微笑ましくもセイジュへは誠実で優しい人物だという認識をしていった。
「カリン様はお幸せそうですな」
「ええ、側室とはいえ正室の方々とかわらぬ扱いをしていただいておりカリン本人も毎日幸せそうにしておりますよ」
「マチルダ様も素敵なレディーにおなりになられて」
「ええ、セイジュ様がマチルダの良いところをほめて伸ばしてくださっているそうでマチルダも笑顔を絶やすことなく暮らしていると毎日たのしそうに報告してくれております」
婚約者それぞれの親も貴族から声をかけられどこか自慢げに対応していた。
「セイ様!あちらにお母様やお兄様がいらっしゃいますよ!」
「え?ではご挨拶にいきましょう」
「少々おまちになって、セイ?召し物が崩れておりますわ」
「あ、すみませんありがとうございます」
「ふふっ、これでいいですわ。まいりましょ?」
「「「「 ………… 」」」」
セイジュを引き留め、抱き着かれた拍子に曲がったネクタイやローブの留め具をなおし優しく胸をトントンとたたき笑顔で顔を見上げたアンジェリーナと照れながらも笑顔で礼をいうセイジュ二人を見て他の婚約者4人は先ほどのアンジェリーナと同じように驚いた顔で固まっていた。
「皆様もまいりましょう」
「は、はい」
満足げにどこか誇らしい感じすら醸し出すアンジェリーナに声をかけられ我に返った4人も後に続いた。
「アンジェ、次は私がセイ様のお洋服をお直ししますからね!」
「私もやります」
「こういうのは順番なのではなく妻として夫のために気づいたときにしてさしあげるものですわ」
「くぅ~!!」
メリダとマーリンが小声でいうとアンジェリーナはいつもどおりセイジュの左腕と腕を組み優雅に勝ち負けではなくセイジュのためにやるものだと暗に答えてみせ、4人は悔しそうな顔をした。
「さすがにお二人それぞれ本日はおとなしくなさっておりますわね」
「それはそうですわ、お父様とお母さまそれにお兄様も家のものに言っておりましたもの」
「アンジェリーナ様なにをですか?」
「どのような地位のものであろうともセイや私たちに何か仕掛けてくるものをみかけたら容赦せず排除せよとですわ」
「え゛…大丈夫なのですか?」
「ええ、カリン様?私たちに手をかけるということはこの国や他の4国に歯向かうことになるそうですわ」
「な、なるほど…そうですわね」
「ええ、ですから私達が全員そろっているときは常にセルジュとリコーがついていてくれているのですわ」
「セルジュはわかりますがリコーでは」
「いえ、リコーは無手も剣も使いこなしますので安心して大丈夫ですわ」
「そ、そうなのですね」
挨拶回りがひと段落し6人で軽く飲食をしているときにアンジェリーナがさらっと言ったことでセイは顔を蒼くさせ4人も驚きの表情をしていた。
「ちっ!さすがにとりつくしまもないな……これではダリアも無理か」
「ぜんぜん近寄れる雰囲気がないわ…アキュオス様わたしどうしたらいいの?」
お互い少し離れた場で会食していたがセイジュ達が一向に隙をみせずアキュオス様はイライラし、ダリアはどうしていいのわからずお互いの動きを確認しあうように何度も見合っていた。
「やはりお二人は仲睦まじいようですわねぇ」
「ええ、あのように何度も視線がおあいになられて素敵だわ」
そんな二人を見て前回二人の関係を勘違いした貴族の娘たちがひそひそ話しているのですら二人の耳には入っていなかった。
「くっくっく!人の先入観とはあいまいで怖いものだねぇ」
「まったくです」
「はぁ~…それは先入観ではなく印象操作というんだ」
「どうやらカリン様がお動きになられるようです」
アキュオスとそれを取り巻く周りの状況を見てハンスたちがにこやかに話す中、エドワードがカリンたちの動きをとらえていた。
「あら、ダリア様ごきげんよう」
「え?カリン様、それにメリダ様、マーリン様、アンジェリーナ様、セイジュ様、マチルダ様ごきげよう、アンジェリーナ様にあってはご招待いただき本日はありがとうございます」
「ダリア様ごきげんよう、お越しいただきうれしく思いますわ。お楽しみいただいておりますか?」
「え?はい、それはもうこのような豪華な誕生祭、夢の国にいるようです」
「そうですか、お楽しみいただけているのであれば幸いですわ」
「あら、アキュオス様もいらっしゃってたのですね」
「え、ええ。本日はお誘いいただき感謝しております」
「いえいえ、ささやかな場ですが楽しんでいただければ幸いですわ」
「こ、これがささやかですか…さすがホルマトロ家ですね」
メリダ達に目配せしたカリンが優雅にダリアの元に向かい話しかけタイミングを見計らい、こちらの様子を伺ってチラチラとみていたアキュオスにわざとらしくマーリンが声をかけた。
「ダリア様、こちらのアキュオス様は私の幼馴染のような方で幼少のころからの顔見知りなんです」
「そ、そうなのですね。知りませんでした」
「こちらにいる期間が定められているとはいえよろしくお願いしたします」
「え?えぇ…わかりました?」
意味深に言ったマーリンの言葉に意味が分からずダリアはうなずいた。
「お二人は随分と仲睦まじいようで羨ましいですわ、お二人とも是非終わりまで楽しんでくださいませ」
「お気遣いいただき…ありがとうございます」
アンジェリーナが満面の笑みで二人に言いそれぞれが礼をしその場を後にした。
「さすがカリンちゃんですわね」
「あははは、カリンのことですからまだまだこれからでしょうね、学園での誕生祭までに仕留めるつもりでしょうけどね」
様子を見ていたエミリーとスタークが楽しそうに話しているのをリカルドはげんなりした顔で見ていた。
「皆様こちらを」
「あらセルジュなにかしら?」
「セイジュからのご招待状にございます」
「え?このタイミングで?」
「はい、それにつきましては申し訳ございませんがハスク様がこの場でとおっしゃられたもので」
婚約者の母親達があつまっているのを見計らいセルジュがセイジュからの封書を手渡しそれぞれが開いてみた。
「まぁ!」
「ふふっ、セイちゃんったら気を使ってくれたのね」
「でもたまにはいいかもしれないわね」
「そうね、たのしめそうね」
セイジュからの招待状をみた母親たちは想像し楽し気にすごすことができた。
「ふふっ、ありがとうございます。お越しいただき感謝いたしますわ」
王城での誕生祭翌日、ホルマトロ家の誕生祭にはいくつもの貴族たちがあつまりハスクやカリーナなどホルマトロ家の面々に挨拶をしにきて対応に追われていた。
「セイそっちはどうだ?」
「もうすぐやきあがります!」
そしてホルマトロ家の厨房ではセイジュとアンドレがいつものように料理にせいをだしていた。
「じゃあ、こっちを先に出すぞ…セルジュ様おねがいします!」
「かしこまりました」
生き生きとしているセイジュを見て満足げにセルジュが何人もの執事やメイドたちに料理を運ぶ指示を飛ばしていた。
「ホルマトロ家は例年よりもずっと賑やかですね」
「はぁ~…うれしいことだが出迎えからもう疲れてきたわ」
「はっはっは!皆さんホルマトロ家とお近づきになりたいでしょうし…やはりホルマトロ家といえばですからね」
「ふっ!わかっておるわ」
「まぁホルマトロ家であからさまなことはしないとは思いますがね」
「ん?ブルリック様なにをそのように楽し気にはなしておいでなのですか?」
「あぁハンス様、いやなにね…」
アメリアとともに現れたハンスにブルリックが面白そうに話の内容をつたえた。
「それはそうですね、言ってしまえばここは彼のホームみたいなものですし」
「この家のものが誰かしら見ている前でセイちゃんにそのような事があったら、その方々がおかわいそうなことになりますわ」
「ふっ!アメリアの言う通りだな」
「はははは…」
一瞬殺気のようなものをたぎらせたアメリアと近くで話を聞いていたメイドたちの力強くうなずく姿をみてブルリックが乾いた笑いをうかべた。
「セイジュ様そろそろ会場のほうへお顔出しをお願いいたします」
「え?もうそんな時間ですか!」
「セイこっちは大丈夫だ!あとはまかせろ!」
「はい!」
リコーが迎えに来てセイジュは会場へと向かった。
「セイ、こちらですわ」
「アンジェリーナ様おまたせして」
「セイジュ様少々おまちを、ネクタイがまがっておいでです」
「あ、すみませんありがとうございます」
「いえ」
「…………」
リコーがネクタイの曲がりをなおし見上げる形で笑顔で話しているのははたから見ると笑顔でイチャイチャしながら見つめあっているようでアンジェリーナは驚いた顔をしていた。
「おませていたしました……ん?アンジェリーナ様どうなさいましたか?」
「いえ、なんでもありませんわ。まいりましょう」
セイジュに声をかけられ我に返ったアンジェリーナがセイジュと腕を組み会場へと向かった。
「うわぁ……例年よりだいぶ多いですね……」
「ふふっ、大丈夫ですわ。皆さんセイと私達を興味本位で見に来た方々ですから適当にあしらっておけばよいですわ」
「そうはいってもですね」
「対応は私がしますわ、セイは私の夫なのですから堂々と隣に立っていてくれればよいですわ」
「え?」
「なにか?」
「いえ、改めてアンジェリーナ様ご本人から面と向かって言われると急に実感して緊張してしまいますね」
「え?!……もぅ!いきますわよ」
「は、はい」
さらっと何事もなく夫と言われ急に照れだしたセイジュを見てアンジェリーナも顔を赤くしながらも咳ばらいを一つして二人は会場の中へと進んでいった。
「セイ様もう!おそいです!」
「メリダ様申し訳ありません」
会場に入るとすぐにセイジュをみつけたメリダが近づき満面の笑みで開いているほうの腕に抱き着くのを慣れた様子で受け止め笑顔であやまるセイジュに先ほどまでメリダと話していた人々が驚きの表情をうかべていたが、その後マーリンやカリンそしてマチルダもセイジュの元へ笑顔で寄ってきてセイジュは一人一人に柔らかな笑顔で全員に変わらぬ態度で接していることで参加していた貴族の人々は微笑ましくもセイジュへは誠実で優しい人物だという認識をしていった。
「カリン様はお幸せそうですな」
「ええ、側室とはいえ正室の方々とかわらぬ扱いをしていただいておりカリン本人も毎日幸せそうにしておりますよ」
「マチルダ様も素敵なレディーにおなりになられて」
「ええ、セイジュ様がマチルダの良いところをほめて伸ばしてくださっているそうでマチルダも笑顔を絶やすことなく暮らしていると毎日たのしそうに報告してくれております」
婚約者それぞれの親も貴族から声をかけられどこか自慢げに対応していた。
「セイ様!あちらにお母様やお兄様がいらっしゃいますよ!」
「え?ではご挨拶にいきましょう」
「少々おまちになって、セイ?召し物が崩れておりますわ」
「あ、すみませんありがとうございます」
「ふふっ、これでいいですわ。まいりましょ?」
「「「「 ………… 」」」」
セイジュを引き留め、抱き着かれた拍子に曲がったネクタイやローブの留め具をなおし優しく胸をトントンとたたき笑顔で顔を見上げたアンジェリーナと照れながらも笑顔で礼をいうセイジュ二人を見て他の婚約者4人は先ほどのアンジェリーナと同じように驚いた顔で固まっていた。
「皆様もまいりましょう」
「は、はい」
満足げにどこか誇らしい感じすら醸し出すアンジェリーナに声をかけられ我に返った4人も後に続いた。
「アンジェ、次は私がセイ様のお洋服をお直ししますからね!」
「私もやります」
「こういうのは順番なのではなく妻として夫のために気づいたときにしてさしあげるものですわ」
「くぅ~!!」
メリダとマーリンが小声でいうとアンジェリーナはいつもどおりセイジュの左腕と腕を組み優雅に勝ち負けではなくセイジュのためにやるものだと暗に答えてみせ、4人は悔しそうな顔をした。
「さすがにお二人それぞれ本日はおとなしくなさっておりますわね」
「それはそうですわ、お父様とお母さまそれにお兄様も家のものに言っておりましたもの」
「アンジェリーナ様なにをですか?」
「どのような地位のものであろうともセイや私たちに何か仕掛けてくるものをみかけたら容赦せず排除せよとですわ」
「え゛…大丈夫なのですか?」
「ええ、カリン様?私たちに手をかけるということはこの国や他の4国に歯向かうことになるそうですわ」
「な、なるほど…そうですわね」
「ええ、ですから私達が全員そろっているときは常にセルジュとリコーがついていてくれているのですわ」
「セルジュはわかりますがリコーでは」
「いえ、リコーは無手も剣も使いこなしますので安心して大丈夫ですわ」
「そ、そうなのですね」
挨拶回りがひと段落し6人で軽く飲食をしているときにアンジェリーナがさらっと言ったことでセイは顔を蒼くさせ4人も驚きの表情をしていた。
「ちっ!さすがにとりつくしまもないな……これではダリアも無理か」
「ぜんぜん近寄れる雰囲気がないわ…アキュオス様わたしどうしたらいいの?」
お互い少し離れた場で会食していたがセイジュ達が一向に隙をみせずアキュオス様はイライラし、ダリアはどうしていいのわからずお互いの動きを確認しあうように何度も見合っていた。
「やはりお二人は仲睦まじいようですわねぇ」
「ええ、あのように何度も視線がおあいになられて素敵だわ」
そんな二人を見て前回二人の関係を勘違いした貴族の娘たちがひそひそ話しているのですら二人の耳には入っていなかった。
「くっくっく!人の先入観とはあいまいで怖いものだねぇ」
「まったくです」
「はぁ~…それは先入観ではなく印象操作というんだ」
「どうやらカリン様がお動きになられるようです」
アキュオスとそれを取り巻く周りの状況を見てハンスたちがにこやかに話す中、エドワードがカリンたちの動きをとらえていた。
「あら、ダリア様ごきげんよう」
「え?カリン様、それにメリダ様、マーリン様、アンジェリーナ様、セイジュ様、マチルダ様ごきげよう、アンジェリーナ様にあってはご招待いただき本日はありがとうございます」
「ダリア様ごきげんよう、お越しいただきうれしく思いますわ。お楽しみいただいておりますか?」
「え?はい、それはもうこのような豪華な誕生祭、夢の国にいるようです」
「そうですか、お楽しみいただけているのであれば幸いですわ」
「あら、アキュオス様もいらっしゃってたのですね」
「え、ええ。本日はお誘いいただき感謝しております」
「いえいえ、ささやかな場ですが楽しんでいただければ幸いですわ」
「こ、これがささやかですか…さすがホルマトロ家ですね」
メリダ達に目配せしたカリンが優雅にダリアの元に向かい話しかけタイミングを見計らい、こちらの様子を伺ってチラチラとみていたアキュオスにわざとらしくマーリンが声をかけた。
「ダリア様、こちらのアキュオス様は私の幼馴染のような方で幼少のころからの顔見知りなんです」
「そ、そうなのですね。知りませんでした」
「こちらにいる期間が定められているとはいえよろしくお願いしたします」
「え?えぇ…わかりました?」
意味深に言ったマーリンの言葉に意味が分からずダリアはうなずいた。
「お二人は随分と仲睦まじいようで羨ましいですわ、お二人とも是非終わりまで楽しんでくださいませ」
「お気遣いいただき…ありがとうございます」
アンジェリーナが満面の笑みで二人に言いそれぞれが礼をしその場を後にした。
「さすがカリンちゃんですわね」
「あははは、カリンのことですからまだまだこれからでしょうね、学園での誕生祭までに仕留めるつもりでしょうけどね」
様子を見ていたエミリーとスタークが楽しそうに話しているのをリカルドはげんなりした顔で見ていた。
「皆様こちらを」
「あらセルジュなにかしら?」
「セイジュからのご招待状にございます」
「え?このタイミングで?」
「はい、それにつきましては申し訳ございませんがハスク様がこの場でとおっしゃられたもので」
婚約者の母親達があつまっているのを見計らいセルジュがセイジュからの封書を手渡しそれぞれが開いてみた。
「まぁ!」
「ふふっ、セイちゃんったら気を使ってくれたのね」
「でもたまにはいいかもしれないわね」
「そうね、たのしめそうね」
セイジュからの招待状をみた母親たちは想像し楽し気にすごすことができた。
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