47 / 193
2章 学園生活
47話 入寮(1)
しおりを挟む
「まあ、ウェルカ!
とっても似合っているわ」
試着以降初めて制服を着てくるっとお姉様の前で回ってみると、そういってキラキラとした目を向けてくれる。くるぶしまでの長さのワンピースドレスと首元には学年を示す赤のリボンを結んでいる。シンプルなデザインだけど清廉な感じでこの制服は好きだな。
「まさかこんなに早くウェルカがその制服を着ている姿を見ることになるとは思わなかったわ。
基礎教育部の制服姿も見てみたかったわね……」
ほぅ、と少し残念そうに言われてしまう。確かに少し着てみたかったかも……?
「さあ、ウェルカ様。
あとはこちらのケープもお召しください」
初等専門部を示す色の校章がすでにつけられているケープを着ると完成。ちなみにこのケープは魔法科を示すものだ。
今日は私がこの家を出て寮に入る日。入学式は明後日なのだが、規則として入寮の今日も制服を着なくてはいけないのだ。
「ウェルカ、学園での生活を楽しんでね。
皆年上の方ばかりだけれど、きっと仲良くなれる方がいるわ」
ぎゅっと抱きしめながらそうお姉様がささやいてくれる。心配そうに私のことを見ているお姉様にはい、と返す。不安もあるけれど、きっと大丈夫だ。私の目的はしっかりしているのだから。
「ウェルカ様、そろそろ行きませんと」
「ええ」
イルナにまとめた荷物を持ってもらい別館を出ると、同じく制服に身を包んだセイットが待っていた。セイットも今日寮へと行くので一緒の馬車で向かおうということになったのだ。
「準備はできました?」
「はい」
行きましょう? とあんまりにも自然に手を差し伸べられるものだから、思わずその手をとってしまった。ああ、お姉様。そんな温かい目でこちらを見ないでください。
本邸の前についている馬車に向かうと、すでにおじい様方が揃っていた。わざわざ迎えに出てきて下さったのだ。
「ああ、よく似合っているよウェルカ」
「ありがとうございます、おじい様」
その後にお母様方もほめてくださった。お世辞とはいえ嬉しくなってしまう。
「元気でね、ウェルカ。
寮に入ると言っても屋敷は近いのだからいつでも帰ってきていいのよ」
「はい、お母様」
「ウェルカ、また学園でね。
部が違うからあまり役に立たないかもしれないけれど、何かあったら頼ってくれていいから」
「ありがとうございます、お兄様」
また、という言葉に嬉しくなりながらも別れを済ませていく。するとお父様だけはそっと近くによってほかの人に聞こえないくらいの声量で話かけてきた。
「何かセイットに困ることがあったらすぐに言ってくれ」
妙に真剣なお父様の言葉に戸惑いながらも頷くと、優しい顔をしてくれた。
「ではそろそろ行ってきますね」
存分に挨拶をすると馬車に乗り込んでいく。セイットは特に挨拶をする必要もないようでさっさと馬車に乗り込んでいたのだ。ちなみに寮には一人使用人を連れていってもよいことになっていて私はもちろんイルナを連れていく。馬車にはもう一人侍従がいるけど、この人がセイットの使用人になるのかな?
「お待たせいたしました」
「大丈夫ですよ。
行きましょうか」
外で手を振ってくれている皆に軽く手を振り返しながら馬車は出発していった。
とっても似合っているわ」
試着以降初めて制服を着てくるっとお姉様の前で回ってみると、そういってキラキラとした目を向けてくれる。くるぶしまでの長さのワンピースドレスと首元には学年を示す赤のリボンを結んでいる。シンプルなデザインだけど清廉な感じでこの制服は好きだな。
「まさかこんなに早くウェルカがその制服を着ている姿を見ることになるとは思わなかったわ。
基礎教育部の制服姿も見てみたかったわね……」
ほぅ、と少し残念そうに言われてしまう。確かに少し着てみたかったかも……?
「さあ、ウェルカ様。
あとはこちらのケープもお召しください」
初等専門部を示す色の校章がすでにつけられているケープを着ると完成。ちなみにこのケープは魔法科を示すものだ。
今日は私がこの家を出て寮に入る日。入学式は明後日なのだが、規則として入寮の今日も制服を着なくてはいけないのだ。
「ウェルカ、学園での生活を楽しんでね。
皆年上の方ばかりだけれど、きっと仲良くなれる方がいるわ」
ぎゅっと抱きしめながらそうお姉様がささやいてくれる。心配そうに私のことを見ているお姉様にはい、と返す。不安もあるけれど、きっと大丈夫だ。私の目的はしっかりしているのだから。
「ウェルカ様、そろそろ行きませんと」
「ええ」
イルナにまとめた荷物を持ってもらい別館を出ると、同じく制服に身を包んだセイットが待っていた。セイットも今日寮へと行くので一緒の馬車で向かおうということになったのだ。
「準備はできました?」
「はい」
行きましょう? とあんまりにも自然に手を差し伸べられるものだから、思わずその手をとってしまった。ああ、お姉様。そんな温かい目でこちらを見ないでください。
本邸の前についている馬車に向かうと、すでにおじい様方が揃っていた。わざわざ迎えに出てきて下さったのだ。
「ああ、よく似合っているよウェルカ」
「ありがとうございます、おじい様」
その後にお母様方もほめてくださった。お世辞とはいえ嬉しくなってしまう。
「元気でね、ウェルカ。
寮に入ると言っても屋敷は近いのだからいつでも帰ってきていいのよ」
「はい、お母様」
「ウェルカ、また学園でね。
部が違うからあまり役に立たないかもしれないけれど、何かあったら頼ってくれていいから」
「ありがとうございます、お兄様」
また、という言葉に嬉しくなりながらも別れを済ませていく。するとお父様だけはそっと近くによってほかの人に聞こえないくらいの声量で話かけてきた。
「何かセイットに困ることがあったらすぐに言ってくれ」
妙に真剣なお父様の言葉に戸惑いながらも頷くと、優しい顔をしてくれた。
「ではそろそろ行ってきますね」
存分に挨拶をすると馬車に乗り込んでいく。セイットは特に挨拶をする必要もないようでさっさと馬車に乗り込んでいたのだ。ちなみに寮には一人使用人を連れていってもよいことになっていて私はもちろんイルナを連れていく。馬車にはもう一人侍従がいるけど、この人がセイットの使用人になるのかな?
「お待たせいたしました」
「大丈夫ですよ。
行きましょうか」
外で手を振ってくれている皆に軽く手を振り返しながら馬車は出発していった。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
1,214
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる