150年後の敵国に転生した大将軍

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6章 学園

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しばらく挨拶やなんだで、こちらで過ごしていた兄上たちは明日とうとう領地に帰るみたい。もう学園が始まる季節になったことで、社交界もひと段落したようだ。

今回は学園が終るときに、姉上が成人となるから、とその時もこちらまで出てくるそう。状況に応じて母上も、父上も一緒に出てきて祝う予定だ。その場合、姉上はそのままエキソバート殿下のところに行くみたい。なんだか別れが近づいているように感じて寂しくなる。でも、兄上ももう結婚して、自分の家庭を持った。こうして、どんどん大人になっていってしまうんだよね。僕はまだ14歳だけれど、きっとあっという間に大人になってしまう。

そうしたら、いろんなものが今とは、そして幼い時とは違っていってしまう。いつでも一緒にいられたころがとても懐かしい。う、なんか急に寂しくなってしまった。

きっとダブルク様とそのご家族を見て、新しく築かれていく家庭を見て、こんな気持ちになってしまったのだ。基本的に結婚する予定がない僕には、きっと新しく家庭を築くことなんてない。でも、兄上たちは違うんだ、と思ってしまったのだ。

……ちょっとだけ、兄上の書斎覗いてもいいかな。

もう時間はかなり遅かったが、おそらく兄上はまだそこにいるだろう。どうにでもなれ! といった気持ちで兄上の書斎を訪ねると、やっぱりそこにいた。ちょうど飲み物を届けにきた使用人がいて、その人に声をかけたらこうして教えてくれたのだ。

「あの、兄上、少しいいですか?」

 ひょこっと、書斎を覗きそう聞いてみる。すると、兄上はすぐに僕に気が付いて、ほほ笑んでくれた。

「うん、大丈夫だよ。
 こんな時間にどうしたんだい?」

「どうって、わけではないんだけれど。
 急に兄上に会いたくなっちゃって」

「そう?」

 それ以上何かを聞くでもなく、優しく包み込むように、僕が何をしに来たのか見守ってくれている。本当に、大した用事ではないんだけれど。でも、それが何だか兄上らしくって。僕は本当にこの人の弟として生まれてこれてよかったな、なんて思ってしまった。

「明日、もう領に戻るんでしょう? 
 気を付けてね」

「ああ、もちろん。
 アランも慣れない学校生活で大変だと思うけれど、体調には気を付けてね。
 そして、たくさんの人と出会ってごらん。
 今までとは、また違ったことが見えてくるかもしれないよ」

「違ったこと?」

「うん。
 まあ、そうは言っても、アランは勤勉だから、私ほど学ぶこともないかもしれないけれど」

「そんなことはないですよ。
 でも、そうですね。 
 精一杯楽しみます」

「うん、それがいい。
 何かあったら、遠慮せずに手紙をよこしてね」

「はい、兄上も」

 ぽつぽつとそんな会話をする。ゆったりとしたその会話は妙に心地よくて、次第に僕はものすごく眠くなってきてしまった。

「おやすみ、アラン」

「はい、おやすみ、なさい、兄上……」

 もう眠気の限界。部屋に戻ると、すぐに眠りに落ちてしまった。


その次の日は兄上たちを見送ったあと、ゆっくりと過ごす。自分では気づいていなくても、新しい環境に疲れてしまっているだろうから今日は休んで、というのはこの屋敷全員の意思だったようで、僕にあらがうすべはなかった。

 まあ、確かにこれでまた熱出すのもなんか嫌だし、今日はおとなしくしておこう。時間があったら顔を出してください、と言われていた魔法師団も今日はやめておこう。そもそもとして、最初は王城へ行って情報収集する理由が欲しくて魔法師団に顔を出していただけだったのに。あそこは魔力の特性上、上級貴族とその側近たちしかいないからか、さびれていそうなのによく情報が回ってくるのだ。

 その都合のよさから頻繁に顔を出していると気に入られてしまい、今ではほとんど団員と同じ扱いを受けている、気がする。それに、学園を卒業したら当然ここに来るんだろう? とも。なんか納得いかない。それに、実は魔法師団っていまいち何しているかわからないんだよね。

 まあ、入学はいい機会だし、これをきっかけに魔法師団とは距離を置こうかな。後は正式な団員たちで頑張ってください。

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