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しおりを挟むおーキッラキラ。
入学式の会場は広く、主役であるぴっかぴかの新入生たちとはかなりの距離があるにもかかわらず、その集団は抜きんでて目立っていた。
周囲の視線と抑えた歓声を辿れば一際派手な集団がいた。
同じ制服を着用しながらそれはもう驚くばかりの目立ちっぷりだ。
金の髪に焔に燃える赤い瞳。自信に溢れた表情をしたリアル王子。
隣に寄り添うのは淡く紫がかった銀髪が美しい、王子の婚約者でもある公爵令嬢。
プラチナブロンドに碧い瞳の宰相の息子でもある侯爵子息は、人形のように整った顔立ち故に人を寄せ付けないような雰囲気で。
騎士然として王子の側に立つ、新入生の中では頭一つ分飛び抜けて長身な少年は面立ちも似通ったカイルの実弟。
ゲームで見知った姿よりやや幼く成長途中ではあるものの、間違いなく彼らだった。
遠目でその姿を眺めながら、ほんの小さく唇の端に浮かぶ笑み。
懐っかしっ。
気分的には芸能人に遭遇した感じ。
それぞれプレイしただけに思い入れもあるし、なんせビジュアルが無茶苦茶いい。
自然に眸は彼らを追う。
表面上は冷静そのものだが、「すげー〇〇見かけちゃったよ!」的に実はテンション上がってる。
はじめてカイルにあった時もそうだった。
まぁ、だからといって関わる気はねーんだが。
あーいうキラキラは遠目で目の保養ぐらいが丁度いい。
そもそも俺、モブだしね。
……そう思っていたのがつい2時間ちょっと前。
はて、そのモブの前になんでキラキラ集団がいるんですかね?
いるんですかね?とか質問系でいってみたが、原因は明白だ。
悪いのは俺でもキラキラ新入生sでもない。
「一緒に飯食おうぜ!」とか言って、俺の肩に腕をまわしてきたカイルの所為だ。
昼休み、それは学生たちの戦場だ。
貴族だろうとなんだろうと腹は減る。
育ち盛りさんたちが群がる食堂は混みに混み会っていた。
なんせ初日、勝手のわからない新入生はとりあえず食堂で食事なのだろう。
これが慣れてくると適当なお気に入りスポットを発掘したりで多少はバラけるんだが。
うっかり失念してて昼食を持参しなかった俺はあまりの混みようにげんなりした。
一瞬踵を返そうか迷い、いやでも腹へったし……と、せめてテイクアウトにするかと足を踏みだかけたところでカイルに捕まった。
それはまだいい。
良くないのは、俺を捕獲したカイルがこの混み会う食堂でもやっぱり目立ちまくりなキラキラ集団を発見して声をかけやがったことだ。
まて、俺を巻き込むな。
この手を放せ、お願いだから置いていけ。
「おぅ、お前らもここで昼食?一緒に食おうぜ!」
カイルよ……。
弟もいるし、他の面々とも顔見知りなんだろうが、王族もいるんだぞ?
その誘いかたはありなのか……?
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