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しおりを挟む「何故気づかれたかお聞きしても?」
打ちひしがれている俺へと凛とした声が問いかけた。
これ以上要らぬ墓穴を掘りたくない俺はだんまりを決め込みたいのだが…………。
「私も知りたいな」
「そうですな」
にっこりと王太子殿下に微笑まれ、宰相サマの鋭い視線を受けたらそうもいかない。
「違和感を感じた理由はあの場に居らっしゃった皆さまです。あの程度の男たちを捕らえるのに皆さまが手こずるとは思えませんし、それならそこに理由があるはずでしょう?
次にスネーク様の言動と、あの男の反応。わかりやすくスネーク様は男を煽ってましたし、あの男は焦ってはいるものの何処か余裕があった。特に証拠の押収の話を出したとき、歪な笑みを浮かべた。だから証拠は邸宅以外にあるんじゃないかと、同時にこの茶番は証拠を探るためなんじゃないかって思っただけです」
「まぁ、大事なモノならあの男自身が持ってそうだなと思ったこともありますが」と続ける。
「私はあの男のことを知りませんが、他人を信用しないタイプに見えました。切り札は常に自分の目の届く所にないと安心できないような、ね。ただの当てずっぽうですけど」
なにせ仲間を捨ててあっさり逃げ出したし、表情や態度からも傲慢さが滲み出てたしね。
あと追いつめられた犯人が隠し持ってるとか、ドラマや映画なんかでありがちパターン。
一応、納得していただけたようだ。
ただの好奇心の面々はともかく、騎士さんたちには「何か情報を知っていたのか?」って警戒も孕んだ視線向けられてちょっと怖かったんだよね。
マジで完全なる推測です、なんも知りませんよー!
「流石はラファエルです。素晴らしい洞察力ですね」
まるで我がことのように誇らしげなレイヴァンは可愛いんだけど、この場でどう返せば……。
ああ、驚いてる。
晴れやかな笑みを浮かべるレイヴァンに周囲がめっちゃ驚いてる。
「なーんか前よりイチャついてるケド、お前ら付き合いでしたん?」
「そうですよ。だから二度とラファエルにちょっかいかけないで頂けます?あなたも!」
「レイヴァンッ?!!」
スネークからの質問に驚いていると、レイヴァンの返しに更にギョッとした。
ちょっ!!
レイヴァン~??!!!
ちなみに俺だけでなく周囲も当然驚いている。
睨まれたゼリファンは涼しく肩を竦め、王子とカイルはちょっと楽しそうに見物してるが。
「え~、ソッチの兄ちゃんは興味満々だけど、俺アンタも全然イケるよ?試してみる?」
「お断りします!!」
唇をペロリと舐めるスネークを一刀両断。
俺も思わず睨んだ。
「ちなみにアンタはちょっとナシかな。顔は別にイイんだけど……自分よりガタイいい奴は悪ィけど食指動かねぇんだわ。隊長もナーシ!」
「や、悪いも何もこっちだってムリっすよ」
ナシ判定されたカイルがいやいやと手を振る。
ゼリファンも「こっちだって御免だ」と顔をしかめている。
なに、このカオス…………。
騎士や宰相サマはあまりのやりとりにポカンとしており、王族兄弟は完全に楽しみだした。
その後、この場から解放されるまで数十分。
ちなみに……スネークが今回の件に関わってたのは近衛からの依頼だった。
そんでもって、俺らを巻き込んだのは急遽人出が欲しかったかららしい。
「来年からクラウ・ソラスの新人だからいーじゃん。無関係な奴を巻き込んだわけじゃねーもん」
お小言に対し、スネークは軽くそう宣いやがった。
そもそも入隊してないし、カイルはともかく俺は入隊するとも言ってねーっつの!!
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